写真左からルーシー役のエラ・パーネル、父ハンク役のカイル・マクラクラン
ベストセラーゲームを実写ドラマ化し、全世界で1億人以上に視聴された『フォールアウト』がシーズン2に突入。世界の終末から200年後、不毛な地を舞台にした物語が新たな局面を迎える。
――シーズン1におけるルーシーの変化は、非常に目まぐるしいものでした。
エラ「そうですね(笑)。シーズン1の第1話では、ルーシーがとても賢い人間であることが示されます。彼女は科学の知識が豊富で、歴史の教師でもある。ただ、地上については何も知りません。経験がないからこそ、無邪気で世間知らずなんです。そんなルーシーが色々なことを知り、時に間違った選択もしながら成長していく。それはすごくいいことだし、彼女の成長を演じるのが私は楽しかったです」
――そのルーシーが必死に行方を追っていた父親があんな人だとは……。
カイル「実は、僕も最初の頃は知りませんでした(笑)。脚本家たちは限られた情報しか与えてくれませんから。シーズン1第1話のハンクは仲間たちが安全に暮らせるよう、ただ最善を尽くしているだけ。与えられた環境の中で、自分の役目を果たそうとしている人だと思っていました」
――シーズン1の最終話には、ハンクが“パワーアーマー(歩行型装甲兵器)”を身につける一幕もありました。撮影でも実際に装着したんですよね?
カイル「そうです。素晴らしい体験でしたし、着ているだけで強くなれた気もしました。でも、数時間後には、脱げる瞬間を心待ちにするだけでしたね(笑)」
――それにしても、父の正体を知ったルーシーの心境は複雑ですね。
エラ「これは脚本の素晴らしさでもありますが、ルーシーとハンクのストーリーは一見離れているようで繋がっているんです。シーズン2の開始時点で彼らはそれぞれ別の場所にいますが、対比を感じさせるシーンもあれば、逆に似ている部分が示されたりもする。そんな中、ルーシーはシーズン1とは違う理由で、父親を探す旅を再び繰り広げることになります。父親を裁くという壮大な計画を持っていて、そこに見えるのは愛憎関係にある父娘の姿ですが、彼女を本当の意味で突き動かしているのは愛。善悪を教えてくれた父が、なぜ言葉にできないほど酷いことをしたのか。
カイル「シーズン1において、脚本家たちはルーシーを通し、ハンクの存在をずっと感じさせてくれました。連れ去られてからのハンクに関する直接的な描写はありませんでしたが、最終話でルーシーに会うまでの彼は意識が朦朧としていたのだと思います。少なくとも、僕はそう演じました。だからルーシーが来た時、ハンクは“自分を見つけてくれたんだ!”と驚く。と同時に、恥ずかしさも感じるんです。しかも、自分を見る娘の目がこれまでとは違うことに気づいて。娘が抱いていた父親像を壊してしまったのですから、あのシーンは最悪な気分でした(笑)。エラ、君もだろう?」
エラ「ええ、とってもとってもとってもつらかった……」
カイル「物語的にはルーシーの成長を表してもいて、素晴らしいシーズンフィナーレになっていましたけど。演じる僕はつらかったです(笑)」
――シーズン2でも相変わらず、ルーシーは大変な目に遭っていますね。
エラ「ええ。シーズン1もそうだったように、ルーシーはとにかく打ちのめされ、傷つきます。ネタバレはしませんが、最終話は特に最悪でした(笑)。
――一方、ハンクは狂気的な面を見せはじめます。ある研究をハンク自身は真面目に重ねるのですが、その姿は傍から見ると滑稽で。少しだけ、『ツイン・ピークス』のクーパー捜査官に通ずるものを感じました。
カイル「ハンクは科学的根拠に基づいて実験しますが、クーパーは殺人鬼を特定しようと瓶に石を投げたりするので。(『ツイン・ピークス』の)あのシーンは難解というか、感覚的というか、意味が全く分からなかったです(笑)。どちらも笑えるのは同じですけどね。ハンクが実験に使っていたマウスが繰り返し爆破される描写は、残酷ですが可笑しかったですし。マウスの部屋が精巧に作られているのも、すごく面白いと思いました。ただ、その理由を知るとゾッとするんですけど」
――『ツイン・ピークス』と言うと、カイルさんは『ツイン・ピークス The Return』の放送時も日本に来てくれましたね。
カイル「私は日本に来るのが大好きなんです。
――エラさんは初来日ですよね。
エラ「ええ。なので、買い物をたくさんするつもりです! 恵比寿にも行きたいし、渋谷にも行きたいし……。昨日は、何でもある素敵な本屋さんに行きました。あと、日本料理にも興味があって、いい調理器具を買いたいんです。どんなに荷物が増えても平気なように、スーツケースを空にして来ました(笑)」
12月17日(水)よりPrime Video にて独占配信中
(C)Amazon MGM Studios
文=渡邉ひかる text : Hikaru Watanabe
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