『アバター』シリーズの主人公ジェイクを15年以上にわたって演じ続けているサム・ワーシントン。キャリアの核ともいえるこの作品に対し、彼が抱く真摯な向き合い方、尽きることのないシリーズの魅力について語ってくれた。
[サム・ワーシントン]Sam Worthington
1976年8月2日生まれ。イギリス・サリー州出身。幼少期にオーストラリアへ移住し、2000年にデビュー。2004年公開の『15歳のダイアリー』で国際的に高い評価を受ける。2009年公開の『ターミネーター4 』で注目を浴び、『アバター』シリーズの主演に抜擢。実力派俳優として活躍中。
1作めの『アバター』と2作めの『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は、全世界歴代興行収入の1位と3位に入るという偉業を成し遂げた。成功した理由はあったのか。
「ジム(ジェームズ・キャメロン)は、昔から確固たるビジョンを持つフィルムメーカーで、自分が語りたいストーリーを最もよい形で語るためのツールとしてテクノロジーを開発してきた。観る者は、どっぷりとその世界に浸ってしまうんだ。でもその奥には、観客が感情移入するキャラクターがいる。僕たちはいつもそこに最大の注意を払ってきた。
パンドラに住むナヴィたちも、人間社会と同じように、外見やほかの理由で揶揄されたりする。共感を呼ぶストーリーテリングが実現しているのも、シリーズの魅力のひとつだ。
「そこも、ジムのすごいところ。だから僕たち役者も、キャラクターを深掘りできる。ジムは役者に細かい指示は出さない。役者自身に発見してもらい、自分自身の中にある要素を持ち込んでもらおうとする。そのうえで監督として、彼はそこから出てきたディテールをさらに強調するんだ。僕たちはこれらのキャラクター、また共演者と長い時間を過ごしてきたから、その過程でさらに深めていくことができた。僕とゾーイ(・サルダナ)は、20年来の関係。人間同士としての僕たちの関係は、キャラクターにも滲み出て、スクリーン上の絆を強めている。ジムは、僕たちが自然に持つそれらの要素がキャラクターに持ち込まれることを願うんだ。それが、ストーリーをよりインパクトのあるものにしていると思うよ」
『アバター』シリーズは最高の娯楽映画のひとつながら、その奥に多くのテーマがあり、考えさせられることも多い。
「ジムは、世の中や環境問題について彼自身が感じていること、思っていることを語る。でも、そのままやったとしたら、説教くさくて、みんな見たいと思わないと思う。だから、これまで見たことのない美しいビジュアルを持つ壮大なアクション映画という形で、それをやる。まるで宇宙戦争みたいな話にしつつ、そのテーマを探っていくんだ。彼はずっとそれをやってきているよね」
前作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』では、家族を愛する父親として共感を呼んだジェイク。最新作では、どう変化していくのか。
「変化というより、彼のジャーニーが続くという感じかな。最初から彼は、自分の属するところを探していた。1作めで、ジェイクは(ナヴィの)ネイティリを通し、オマティカヤ族を知った。2作めで彼は家族を持ち、別の部族を知るようになって、ますます守る目的ができた。この3作めで彼は、真っ向から立ち向かう。
ジェームズ・キャメロンは、『アバター』シリーズが5部作であることを明かしている。これほど長く同じキャラクターを演じている俳優は極めてまれだ。サムにとっては、どんな意味を持つのか。
「とても興味深い状況だよね。僕はノンストップで映画に出るのが好きだから、この仕事をさせてもらえていることを素直に嬉しいと思っているよ。しかも、それをジムのような最高のビジョンを持つ人と一緒にやれるんだから。彼のフィルモグラフィーを見ると、自分がその中にいるということが信じられなくて、頬をつねりたくなるね。そんな人を友達と呼べて、一緒に作品を作っていけるなんて。
『タイタニック』をはじめ、圧倒的な映像美と物語で観客を魅了する、ジェームズ・キャメロン監督の大ヒットシリーズ。3D映像の新たな地平を開き、映画界に革命を起こし続けている。舞台は、地球から遠く離れた星パンドラ。人間から先住民族の“ナヴィ”になった主人公のジェイクを中心に、侵略を続ける人類と、ナヴィの戦いを描く。
神秘の星、パンドラ。息子ネテヤムを失った哀しみから、ジェイク一家は新たな地へ旅立つことを決意するが、その道中でアッシュ族に襲撃されてしまう。
監督:ジェームズ・キャメロン
出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガーニー・ウィーバー、ウーナ・チャップリン
全国公開中
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
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INFORMATION
※『Safari』2月号198~199ページ掲載
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