今週末は、この映画に胸アツ!ネットフリックス『グッバイ、ジューン:幸せな人生の終い方』 ケイト・ウィンスレット監督作はこの時季にふさわしい感動作!

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毎年、年末のこの時期に多く作られるのが、クリスマスにまつわる映画。基本的にクリスマス映画といえば、誰でも楽しめるコメディやアクション系がメインのせいか、本作のように静かに深く感動を誘う作品は新鮮。
むしろ年末にぴったりなのでは?

監督を務めたのは、ケイト・ウィンスレット。『タイタニック』のヒロインなどでトップスターとなり、『愛を読むひと』ではアカデミー賞主演女優賞を受賞。申し分ないキャリアを築いてきた彼女が、満を持して監督デビューした。ある一家の、クリスマスまでの数日間の物語。しかし彼らにとって今年のクリスマスは“来てほしくない”状況となった。ガンが進行した母親が倒れ、その余命が2週間後のクリスマスあたりと宣告されたからだ。老いた父も心と身体が不安定で、3人の娘と1人の息子は、母親との最後の時間をどう過ごすか悩む。結局、母親の意思で自宅や娘の家には行かず、病室に留まることにするのだが……。ストーリーだけ紹介すると、切なく悲しい作品のようだし、もちろん家族の最後ということでリアルなエピソードもある。ただ全体としては、家族の微妙な関係に共感ポイントがたくさん発見できるし、軽いユーモアや、ほっこりする感動も詰まっており、とても観やすい作り。初監督とは思えないウィンスレットの安定の演出力に拍手を贈りたい。
  
娘の一人をウィンスレット自身が演じているほか、イギリス人俳優を中心にキャストがみな好演。
中でも母親役のオスカー女優、ヘレン・ミレンが、命の炎が消えそうな時間で驚くような名演をみせてくれる。メイクの効果もあるのだろうが、どんどん衰えていく顔を惜しげもなく画面にさらし、その“俳優魂”には恐れ入るばかり。そんな母親が、自分の苦しみはさておき、家族間のわだかまりを解消する役回りをしたりと、登場人物の関係性が絶妙なセリフとともに綴られる。その脚本を誰が書いたかといえば……なんと、ケイト・ウィンスレットの実の息子であるジョー・アンダース! 現在22歳の彼が、ここまで人生の機微を物語にできるのかと感心するも、考えてみれば父親は『アメリカン・ビューティー』や『007』シリーズを手がけた名匠のサム・メンデス監督。若きサラブレッドの才能を確認する意味でも、本作は必見だ。

『グッバイ、ジューン:幸せな人生の終い方』配信中
製作・監督・出演/ケイト・ウィンスレット 脚本/ジョー・アンダース 出演/ヘレン・ミレン、トニ・コレット、アンドレア・ライズボロー、ティモシー・スポール、ジョニー・フリン 配信/ネットフリックス
2025年/イギリス/視聴時間1時間56分

今週末は、この映画に胸アツ!ネットフリックス『グッバイ、ジューン:幸せな人生の終い方』 ケイト・ウィンスレット監督作はこの時季にふさわしい感動作!
 
  

文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
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