『ポケットいっぱいの涙』
製作年/1993年 監督/アレン&アルバート・ヒューズ 脚本/タイガー・ウィリアムズ 出演/タイリン・ターナー、ラレンズ・テイト、ジェイダ・ピンケット
希望なきこの街で無軌道に生きる若者たち!
一時は実写版『AKIRA』の監督として携わったこともある(実現しないまま離脱)双子のヒューズ兄弟が、スラム街を舞台に描いた青年たちの群像ギャングストーリー。「この町では何が起こるか予測がつかない」と主人公のケインは言う。
製作当時、監督はまだ20代そこそこで、同年代の多感な出演者たちと激しく衝突し合いながら撮影を進めていったとか。その結果、非常に荒削りではあるものの、90年代初頭の明日なき青春を描いた一作として高く評価され、興行的にもヒットを記録した。特徴的なのは主人公らに楽観的展望やハッピーエンドを一切与えていないところ。自らの手でチャンスを掴んで這い出ようとしなければ、この町では死が待つのみ。そんな痛烈なリアリティが胸に突き刺さる。
『バッド・チューニング』
製作年/1993年 製作・監督・脚本/リチャード・リンクレイター 出演/ジェイソン・ロンドン、ミラ・ジョヴォヴィッチ、ベン・アフレック、マシュー・マコノヒー
無名時代の若手俳優らが初々しい!
70年代後半のテキサスを舞台に、高校生たちの年度最後のハチャメチャな1日を描いた青春グラフィティの決定版。何人かの先輩たちはこれから入学してくる新入生たちに伝統行事の尻バットを食らわそうと頭がいっぱい。他の生徒も、夜にかけて足元がふらつくほどの飲酒で酔っ払ったり、マリファナで意識がぶっ飛んだり、シャイな男女が急接近したり。二度と戻ってこないこの瞬間を楽しもうと、誰もが精一杯に背伸びしながら一晩を過ごすが……。
デビューしてまだ間もない頃のリンクレイター監督が、自由な即興スタイルで自らの学生時代に思いを捧げた一作だ。
『トラフィック』
製作年/2000年 監督/スティーヴン・ソダーバーグ 脚本/スティーヴン・ギャガン 出演/マイケル・ダグラス、ベニチオ・デル・トロ、ドン・チードル
ドラッグ戦争の内幕をリアルなタッチで描く
メキシコからアメリカへと流入するドラッグをめぐり、そこにうごめく多様な人々の生き様を描いた群像劇。メキシコの国内では捜査官がギャングの取引を取り締まる中、軍の有力者が司る組織的な闇を垣間見る。一方、アメリカでは不屈の判事がドラッグ対策の陣頭指揮官に任ぜられるも、留守がちな自宅では一人娘がドラッグ中毒に陥ってしまう。また別の場所では大物ディーラーの裁判が始まる中、有力な証人を抹殺しようとする組織の手が迫り……。
開始早々、むせ返るほどの砂埃にまみれた相関図に圧倒される。ちょっとでも気を抜くと膨大な情報量に追し流されてしまいそう。でもそこは名匠ソダーバーグ。映像に黄や青などの色味をつけて表現することで、観る者がこの複雑な世界をスムーズに掌握し理解する手助けをしてくれる。無慈悲な人間模様の果てに登場人物らは何を望み、何のために生き、そして何を手に入れるのか。
『マグノリア』
製作年/1999年 製作・監督・脚本/ポール・トーマス・アンダーソン 出演/トム・クルーズ、ジュリアン・ムーア、フィリップ・シーモア・ホフマン
PTAが奏でる、20世紀最後の壮大な人間絵巻
『ブギーナイツ』(1997年)の成功により次回作の自由な裁量を与えられたアンダーソン監督が挑んだ3時間の人間絵巻。トム・クルーズが観衆を前に「女性をモノにしろ!」と絶叫するカリスマ啓蒙家を怪演し、彼が生き別れた死の淵にある父、その後妻、看護師らが絡まりあったかと思えば、また別の場所で余命わずかの名司会者や人生に悩む天才少年らがクイズ番組の生放送に臨み、さらに別の場所では司会者の娘、警官らが個々にエピソードを紡いでいく。
不意に訪れる人生の絶望と懺悔。もう前に進めない、自分はおしまいだと気づく時、それぞれ全く別の場所にいる各キャラたちの姿をエイミー・マンの楽曲『Wise Up』が優しく繋ぐ。大切なのは己の過ちや愚かさに気付き、人として成長し、賢くなること。そしていつしか運命が絡まり合ったロサンゼルスの夜に、想像を遥かに超えた物体がゲコゲコと降り注ぐ……。映画史に刻まれたこのワンシーンの破壊力は未だに健在。『ワン・バトル・アフター・アナザー』が賞レースを爆走する今、もう一度じっくり見直したい大・大・大傑作だ。
『11:14』
製作年/2003年 監督・脚本/グレッグ・マルクス 出演/ヒラリー・スワンク、パトリック・スウェイジ、レイチェル・リー・クック
同時刻がつなげた十数人の運命はいかに!?
午後11時14分。ジャックはハイウェイを運転中に何かがフロントガラスにぶつかる様に驚愕する。クルマを停止させてよく見ると、それは顔の潰れた死体。
かくも運命の同時刻に絡めとられた十数人におよぶ登場人物たちを巧みに配置した群像劇。全くの無名の新人マルクス監督が「時系列ではなく、”一瞬”を切り取った映画を作りたい」と野望を募らせ、書き上げた脚本をヒラリー・スワンクが偶然手にして「面白い!」と絶賛したことで、すぐさま製作が決まったとか。もちろんバラバラに見えたエピソードは最後に全て弧を描くようにして繋がっていく。その流麗さ、お見事!
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文=牛津厚信 text:Atsunobu Ushizu
Photo by AFLO
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