ユーザーの反響が大きかった映画・海外ドラマ記事を再配信(記事初出時の配信日:2023年6月3日)。
『ケス』
製作年/1969年 監督/ケン・ローチ 出演/デヴィッド・ブラッドレイ、リン・ベリー
空を舞うハヤブサと行き場のない少年の対比があまりに切ない!
イギリスの労働者階級や移民問題をテーマに重厚な映画を撮り続ける巨匠ケン・ローチによるキャリア初期の傑作。
演技経験のない現地の人々を多く起用して、素朴な味わいを地道かつ穏やかに引き出した本作。広大な丘から望む景色はさも少年ビリーの人生を決定づけているかのようで、眼前にはいつも巨大な炭鉱が横たわり、しかしいざケスを放つと思うがままに羽根を広げ、気高く空を舞う。この対比の素晴らしさ。しかし学校も社会もビリーの才能や個性には全く目もくれることはない。その現実を切々と映し出すローチならではの手法が冴え渡る。
『ぼくのエリ 200歳の少女』
製作年/2008年 監督:トーマス・アルフレッドソン 出演:カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション
孤独と希望が繊細に入り混じった少年と少女のヴァンパイア・ストーリー!
ストックホルム郊外の小さな町。学校でいじめられている孤独な少年オスカーは、殺人事件の新聞記事を集めることで日々の辛さを紛らしている。
2000年代、最高の北欧映画とも呼ばれる本作は、伝統的な吸血鬼ホラーを踏襲しつつ、そこに『小さな恋のメロディ』的なボーイ・ミーツ・ガールの趣向を巧みに織り交ぜる。ずっと押しつぶされそうだったオスカーの表情に灯る活き活きとした喜び。エリのためなら何だってできるという決意。だが、人間のオスカーに比べて、彼女は歳を取らない。そんな彼らの将来までは描かれないものの、全体を通じてオスカーの将来をほのかに暗示させる点があるのは興味深いところ。見れば見るほど味わいが増し、登場人物の感情が豊かに流れ込んでくる傑作だ。
『少年の君』
製作年/2019年 監督:デレク・ツァン 出演:チョウ・ドンユイ、イー・ヤンチェンシー
苛烈な受験戦争と壮絶なイジメの狭間で育むピュアすぎる絆に涙する!
大学受験を控えた高3のある日、同級生がいじめを苦に自殺した。この衝撃的な事件を前に誰もが無関心を決め込む中、優等生のチェン・ニェンが次なるターゲットとなり、陰湿ないじめはなおも続く。
受験戦争、いじめ問題、青少年の非行といった現代的なテーマをいくつも盛り込み、単にドラマチックなだけでなく、驚くほど丹念かつ繊細な筆致で織り上げた本作。住む世界が全く違う二人が誰よりも深く互いを想い合い、数々の試練を乗り越えながら、受験や富や成功や名誉を超えた掛け替えのない絆を結んでいくさまが胸を打つ。中国では興行的に大ヒットを記録し、香港アカデミー賞8冠を獲得するほか本場の米アカデミー賞でも国際長編映画賞ノミネートを果たした。
『ジュリアン』
製作年/2017年 監督:グザヴィエ・ルグラン 出演:トマ・ジオリア、レア・ドリュッケール
母を守ろうとする少年の心の叫びに、胸が引き裂かれる!
ジュリアンは11歳の男の子。両親の離婚後は母親と暮らしているものの、共同親権をめぐって裁判所は父子が隔週で共に過ごすことを認めてしまう。ここからが最悪の時間のはじまりだ。大嫌いな父親がやってきてクラクションを鳴らす。はじめは穏やかに息子の機嫌をとりつつ、しかしドライブ中、徐々に言葉が荒くなり、かつて家族を脅かした攻撃的な素顔を見せはじめる。あからさまに飛び出す恫喝めいた言動の連続に、ジュリアンはもう震えっぱなし…‥。
何よりもまず、この少年の演技の素晴らしさに尽きる。大好きな母親を守るため、自らが防波堤になって父を遠ざけようとするジュリアンの思いが痛いほど辛く、涙がこみ上げそうなほど切ない。DVという深刻な問題をめぐって個々の感情を剥き出しにしつつ、しかしサスペンス、いや言うなればホラーとしてもこの映画はまさに一級品で、鑑賞を進めるにつれ、生理的にこの男から逃げなければという切迫感が刻々と募っていくばかりだ。ルグラン監督の初長編作ながら、ヴェネツィア国際映画祭では見事、監督賞を受賞している。
『エレファント』
製作年/2003年 監督/ガス・ヴァン・サント 出演/アレックス・フロスト、エリック・デューレン
あまりに唐突に日常を奪われた高校生たちの群像劇
その日はいつも通り穏やかで美しく、何ら代わり映えのない一日のはずだった。高校生たちはそれぞれの目的や悩みを抱え、友人とおしゃべりし、部活に専念し、あるいは恋人と過ごしたりしながら、校内をさまよい歩く。カメラもまたその何気ない表情や周囲の景色を柔らかく写し撮っていく。そして唐突に、あまりにも唐突に、惨劇が起こるーーー。
名匠ガス・ヴァン・サントが、コロンバイン高校の銃乱射事件を題材に描いた群像劇。カンヌ国際映画祭では最高賞と監督賞を獲得するなど高評価を獲得するも、独特のスタイルゆえ観客の間では賛否が大きく分かれた作品だ。例えば、ここには物語的な起承転結がなく、オーディションで選ばれた演技未経験の若者たちが、各々の立場で「何気ない青春の1日」をほぼアドリブで演じるのみ。でもだからこそ取り返しのつかない断絶が生じ、すべてが奪われる瞬間があまりに哀しく恐ろしい。
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文=牛津厚信 text:Atsunobu Ushizu
photo by AFLO
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