取材の際に窓口となる広報やマーケティング担当者にはL社のI村さんのような味のある面白い人物が少なくないが、Cloudbase の早坂淳も同様に、記者に忘れられない印象を残した担当者の一人だった。
オンラインで取材前の打ち合わせをしていた際、突然画面に映った早坂があわてふためき始めたのがわかった。
Web 各所に散らばったバイオによれば、早坂は外資系 IT 企業やスタートアップでマーケティングの豊富な経験を持ち、近年 Cloudbase にジョインしている。オンラインと対面で何度か会う機会があったが、極めてジェントルな物腰や言葉遣いに、強い美意識を感じさせる人物だった。
この早坂が Cloudbase のパートナー企業とともに登壇し、CNAPP 導入の事例や、同社製品の運用の容易さなどについて解説する Interop Tokyo 2025 の講演が 6 月 11 日(水)幕張メッセで行われるが、事前に編集部に一部リークされた完成前のスライド等によれば、控えめに言っても面白いセッションになりそうだ。
パートナー企業の担当者が SNS でつぶやいた「CSPM を探しています」という言葉に Cloudbase 代表の岩佐がコメントし、そこから会話になってコミュニケーションが深まっていく様子が、SNS のタイムラインのスクリーンキャプチャをスライドに貼って解説していたのだ。
一般公開されている SNS とはいえ、こうした会話のタイムラインが公開されるのは、人気俳優やミュージシャン、タレント、ファッションモデルなどの著名人、それも男女の間の会話と週刊誌では相場が決まっている。職業柄瞬間的にそれを想起してしまったので、何かをのぞき見るようなスリルがそこには感じられた。しかし、本稿の主眼は実はそこではない。
この講演に登壇する早坂は 6 月 11 日の講演当日が Cloudbase株式会社の最終出社日なのである。100日後に死ぬ爬虫類を描いた漫画があったが、「100 日後」と書かれることによって、何気ない日常の出来事が、かけがえのない輝きに包まれていた。果たして「最終出社日に登壇するマーケティング担当者」は、そこで一体何を話すのであろうか。
あらゆることがパーフェクトなら会社を去ることなどないわけで、しかし同時に、あからさまに気まずいことがあったのなら、最終出社日に登壇させることなど会社としてあり得ない判断だ。つまり信頼されているのだ。
たとえばの話だが、本稿を執筆している記者が退職するとして、最後に公の場で話をする機会が会社側から与えられるかというと、そういうことはまず起こり得ないだろうことは本人がここで保証する。
早坂はアカマイ・テクノロジーズ等を経たプロ意識の高い人物である。強い美意識やプリンシプルを持ち、薔薇の花の香りと共に仕事を進める男。その日をもって実質的に会社を去る人物だからこそ見えてくる、プロダクトや会社の良さ、そして価値というものが講演で語られる可能性があるかもしれない。もともと同社製品に関心があったユーザー企業の方なら、この講演は必見かもしれない。
こんなことがあった。ある日早坂と打ち合わせ中に、ついうっかり記者は「早坂さんってすごい美意識があって、なんだかシリアルキラーみたいですよね」と言ってしまったことがある。
記者は ScanNetSecurity 初代編集長の原隆志を「人を殺さないレクター博士」と日頃から尊敬を込めて言いもしたし文章に書きもしてきた。シリアルキラーはこの文脈では(あからさまに偏ってはいるものの)褒め言葉として機能するものだ。
そのときの早坂の言葉が忘れられない。
このセッション以降は、Cloudbase の担当者として早坂に会うことはもうなくなるが、狭い業界のことだから、どこかでまたセキュリティの文脈で再会することもあるかもしれない。だが、もし大手外資セキュリティベンダーの担当者として出くわしでもしたら、そのときはきちんと胸ぐらを掴んでやるつもりだ。国産セキュリティプロダクトの誇りだの何だのと貴様が言ってたあれは何だったんだと。おまえと俺、同じ夢を見ていたと思っていたのに、と泣きじゃくりながら言ってやるつもりだ。
Interop Tokyo 2025 基調講演
6.11(水)14:15-14:55 Room KA
「日本のスタートアップによる技術革新!
大企業に採用される Cloudbase によるクラウドセキュリティとは」
https://forest.f2ff.jp/introduction/10388?project_id=20250601
オンラインで取材前の打ち合わせをしていた際、突然画面に映った早坂があわてふためき始めたのがわかった。
どうしたんですかと問うと、デスクに置いていたバラの一輪挿しの花瓶が倒れて机の上が水浸しになったのだと言う。仕事机の上に生花(せいか)の花瓶だと? しかも花の種類がバラだって? おまえはカール・ラガーフェルドか、ジャック・バンコランか? それ以上は詳しく聞かなかったが、きっと真紅の薔薇(そうび)であったと推測している。
Web 各所に散らばったバイオによれば、早坂は外資系 IT 企業やスタートアップでマーケティングの豊富な経験を持ち、近年 Cloudbase にジョインしている。オンラインと対面で何度か会う機会があったが、極めてジェントルな物腰や言葉遣いに、強い美意識を感じさせる人物だった。
この早坂が Cloudbase のパートナー企業とともに登壇し、CNAPP 導入の事例や、同社製品の運用の容易さなどについて解説する Interop Tokyo 2025 の講演が 6 月 11 日(水)幕張メッセで行われるが、事前に編集部に一部リークされた完成前のスライド等によれば、控えめに言っても面白いセッションになりそうだ。
パートナー企業の担当者が SNS でつぶやいた「CSPM を探しています」という言葉に Cloudbase 代表の岩佐がコメントし、そこから会話になってコミュニケーションが深まっていく様子が、SNS のタイムラインのスクリーンキャプチャをスライドに貼って解説していたのだ。
一般公開されている SNS とはいえ、こうした会話のタイムラインが公開されるのは、人気俳優やミュージシャン、タレント、ファッションモデルなどの著名人、それも男女の間の会話と週刊誌では相場が決まっている。職業柄瞬間的にそれを想起してしまったので、何かをのぞき見るようなスリルがそこには感じられた。しかし、本稿の主眼は実はそこではない。
この講演に登壇する早坂は 6 月 11 日の講演当日が Cloudbase株式会社の最終出社日なのである。100日後に死ぬ爬虫類を描いた漫画があったが、「100 日後」と書かれることによって、何気ない日常の出来事が、かけがえのない輝きに包まれていた。果たして「最終出社日に登壇するマーケティング担当者」は、そこで一体何を話すのであろうか。
あらゆることがパーフェクトなら会社を去ることなどないわけで、しかし同時に、あからさまに気まずいことがあったのなら、最終出社日に登壇させることなど会社としてあり得ない判断だ。つまり信頼されているのだ。
たとえばの話だが、本稿を執筆している記者が退職するとして、最後に公の場で話をする機会が会社側から与えられるかというと、そういうことはまず起こり得ないだろうことは本人がここで保証する。
早坂はアカマイ・テクノロジーズ等を経たプロ意識の高い人物である。強い美意識やプリンシプルを持ち、薔薇の花の香りと共に仕事を進める男。その日をもって実質的に会社を去る人物だからこそ見えてくる、プロダクトや会社の良さ、そして価値というものが講演で語られる可能性があるかもしれない。もともと同社製品に関心があったユーザー企業の方なら、この講演は必見かもしれない。
こんなことがあった。ある日早坂と打ち合わせ中に、ついうっかり記者は「早坂さんってすごい美意識があって、なんだかシリアルキラーみたいですよね」と言ってしまったことがある。
記者は ScanNetSecurity 初代編集長の原隆志を「人を殺さないレクター博士」と日頃から尊敬を込めて言いもしたし文章に書きもしてきた。シリアルキラーはこの文脈では(あからさまに偏ってはいるものの)褒め言葉として機能するものだ。
そのときの早坂の言葉が忘れられない。
まっすぐに目を見て「ありがとうございます」。そこには少しの照れも笑みもなく、なんならハーレクインロマンスのクライマックスシーンのような安定と静けさがあった。ディスる意図はないことは、明確に彼に伝わっていた。
このセッション以降は、Cloudbase の担当者として早坂に会うことはもうなくなるが、狭い業界のことだから、どこかでまたセキュリティの文脈で再会することもあるかもしれない。だが、もし大手外資セキュリティベンダーの担当者として出くわしでもしたら、そのときはきちんと胸ぐらを掴んでやるつもりだ。国産セキュリティプロダクトの誇りだの何だのと貴様が言ってたあれは何だったんだと。おまえと俺、同じ夢を見ていたと思っていたのに、と泣きじゃくりながら言ってやるつもりだ。
Interop Tokyo 2025 基調講演
6.11(水)14:15-14:55 Room KA
「日本のスタートアップによる技術革新!
大企業に採用される Cloudbase によるクラウドセキュリティとは」
https://forest.f2ff.jp/introduction/10388?project_id=20250601
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