中国ではもともと教育熱心な親が多いが、近年は早期教育ブームが過熱しており、「スタートラインで負けてはいけない」を合言葉に、英才教育の低年齢化が進んできた。幼稚園では英語を教え、小学校の内容を先取りして、互いに少しでも相手よりリードしようとしているが、最近では行き過ぎた競争を抑えるために教育分野の規制が行われている。
中国メディアの網易はこのほど、日本の幼稚園を見れば、中国の子どもは「スタートラインで負けていることが分かる」と紹介する記事を掲載した。

 記事の中国人筆者は、日本の幼稚園は「知識の伝達だけでなく、安全教育も同時に行う」ことに日頃から感心しているそうだ。日本の幼稚園を参観した際、特に感銘を受けた点をいくつか紹介している。まずは「危険に気が付いたら、すぐに周りの大人に知らせるように教えている」ことで、普段から危険が潜んでいそうな場所を教え、自分でも最大限注意させているとした。

 また日本では「道具の安全な使い方」を教えていて、はさみなどの道具を触らせないのではなく、正しい使い方を教えていると感心している。あるとき、床にはさみが落ちていたのに先生は手を出さず、通りがかった子どもが安全な場所に戻すのを見届けていたそうだ。刃物には近づけさせない、中国の教育方針とはずいぶん違うと言えそうだ。

 また「リスクを減らす」工夫も見られ、遊具に柵を付けるなど安全に配慮しつつ、ちょっとした不便をあえて取り入れて、過保護にならないようにバランスを取っていると称賛した。また、定期的な「防災訓練」や「交通安全」の教室を開いたりして、「日常生活における全面的な安全教育を施している」と中国との違いを伝えている。

 中国でも子どもの安全は非常に重視されているが、誘拐を恐れて登下校に送り迎えをすることや、刃物など危険なものには近づけさせないといった方法で、子どもを守ろうとしているようだ。しかしそれでは過保護になりやすく、自分で危険を察知して自分の身を自分で守るように教える日本の幼稚園は、良い参考になるのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
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