中国は食文化の豊かな国だが、かつ丼や天丼のような「丼もの」という食べ方はない。近いものには、「盖飯 (ガイファン)」というご飯の上におかずを乗せたものがある。
動画が紹介した天丼店はショッピングモールの一角にあるテナントで、店構えは落ち着いていて優雅な印象だ。しかし、68元から118元(約1200円から2100円)という価格設定が、配信者には「天価(法外な値段)」に感じたそうで、天ぷらの良さも丼という食べ方も未知の世界で、良さが伝わらなかったのか「これなら道端で売っている揚げ物のほうがいい」と主張していた。
最近では見かけなくなっているが、中国ではかつて「道端」で揚げ物をして、揚げたてを売る露天商が多かった。中国の揚げ物にはベーキングパウダーが入っていて、ふっくらときれいに揚がりサクサクした食感も楽しめる。ただ、「道端」で売る揚げ物は古い油を使っていることが多く衛生面も不安で、高級天丼の店と一緒にしてしまうのはずいぶんと乱暴な話だろう。
動画に対して、「庶民には高すぎる」と文句を言う人や、シンプルすぎると思ったのか「天ぷらって素材そのものなんだな」と拍子抜けする人がいる一方、外国の料理が高いのは当然だと天丼の店を擁護する人もいた。この人は「中国では15元(約280円)で出している刀削麺も、日本では700円や800円で売られている」と指摘していた。また「これだけの食材なら180元(約3200円)で売っても良心的だ」、「本当においしい食べ物は、まずは素材の品質、次に配合と調理の過程を重視する」と反論する人もいた。
この配信者は、ただ日本の店を悪く言いたいだけなのかもしれないが、「本当においしいもの」が何かを分かっていなかったのかもしれない。