中国のポータルサイト・網易に10日、「どうして日本のゴミ捨て場にはたくさんの現金が落ちているのか」とする記事が掲載された。
 
 記事は、現在中国では現金が携帯電話内の「数字」へと変化し、現金で決済するシーンが少なくなり、日常生活の大部分においてバーコード決済が用いられるようになったと紹介。
一方で、外国では中国の現状とは異なりまだまだ「現金主義」の国があるとし、その最たる例が日本だと伝えた。
 
 また、中国ではモバイル決済が普及する以前より大量の現金を手元に置いておくことは少なく、多くの人が銀行に預けて利息を得ようとすると指摘。何よりも多額の現金が家にあれば不安だとした上で、日本ではしばしばゴミ捨て場に大金の現金が捨てられているのが発見されるという、中国ではあまり考えられない事象が起きていると紹介し、その理由について考察している。
 
 まず、ゴミ捨て場で見つかる大金の多くは、失くしたものではなく「その存在を知らない人が、ゴミだと思って捨てた」ものであると説明。このような現金は大方高齢者が家庭内で貯金していたもので、高齢者が亡くなった後で家の整理をした子どもが現金だと知らずに袋ごと捨ててしまうのだとした。その背景には「日本の家庭は中国と大きく異なり、年老いた親の面倒を子どもが見るということが少なく、家を出ていった子どもがしばしば実家に親の様子を見に行くことがあまりない」という事情があるのだと解説した。
 
 さらに、近年では深刻な高齢化が進んでおり、身寄りがなく一人で生活している高齢者が多いことも要因の一つであると指摘。日本の若い世代は単に親に薄情、ということではなく、仕事が忙しいために年長者の世話をみきれないという側面もあるとした。そして、高齢者はなんとか自活していけるようにとお金を銀行に預けることなく手元に置いておくことを選ぶのだと伝えている。
 
 記事は最後に、現金主義、親子の希薄な関係、高齢化社会などさまざまな要因が重なった結果、高齢者が死亡して子どもたちが遺品整理をする際、現金の存在に気づかずゴミと思って捨ててしまい、その「遺産」がゴミ捨て場でしばしば見つかるという現象が起きるのだとまとめた上で、「このような状況を聞くと、心が大いに痛むのを感じる」と結んだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
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