対外関係の悪化が警戒される流れ。欧州連合(EU)は20日、中国製の電気自動車(EV)について、追加関税の最終案を公表した。中国商務部の報道官は同日、「断固として反対する」と声明。対抗措置を打ち出すことも示唆した。中国製EVを巡っては、米国も輸入関税を引き上げる予定となっており、カナダも追随する方針を表明している。中国人民銀行(中央銀行)の資金吸収も逆風。人民銀は21日、リバースレポを通じ2580億人民元を供給したが、満期日との差し引きで1112億人民元の資金が吸収された。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、電子商取引(Eコマース)大手の京東集団(JDドットコム:9618/HK)が10.3%安と急落。米小売大手のウォルマート(WMT/NYSE)が保有する京東集団の株式を売却し、最大で37億4000万米ドル(約5440億円)を調達する意向――と報じられたことがネガティブ材料だ。京東の2023年度決算報告書によると、ウォルマートは京東株9.4%を保有。創業者の劉強東氏に次ぐ2位株主となっている。そのほか、オンライン医療の京東健康(JDヘルス:6618/HK)が5.7%安、バイオ医薬品開発受託会社の薬明生物技術(2269/HK)が3.9%安、宝飾小売チェーン大手の周大福珠宝(1929/HK)が3.5%安と下げが目立った。
セクター別では、自動車が安い。華晨中国汽車HD(1114/HK)が4.8%、蔚来集団(9866/HK)が3.2%、東風汽車集団(489/HK)が2.4%、吉利汽車(175/HK)が2.0%ずつ下落した。
中国不動産セクターもさえない。融創中国HD(1918/HK)が4.0%安、雅居楽集団HD(3383/HK)が3.4%安、中国海外発展(688/HK)が2.7%安、中国奥園集団(3883/HK)が2.2%安で引けた。在庫住宅買い上げのため、中央政府は地方政府に対し、専項債(公益事業向け資金調達を行う特別地方債)発行による資金調達を認めるもよう――と伝わったが、これを好感する買いは限定されている。不動産市況改善には時間がかかるとの見方が根強い状況だ。
半面、スマートフォン部材・組立の銘柄群は物色される。舜宇光学科技(2382/HK)が9.2%高、高偉電子(1415/HK)が4.9%高、瑞声科技HD(2018/HK)が3.6%高、富智康集団(2038/HK)が1.2%高で前場取引を終えた。光学部品OEMメーカーの舜宇光学科技については、中間決算の利益2.5倍が刺激材料となっている。スマホ市場の回復も連想された。
一方、本土マーケットも続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.39%安の2855.35ポイントで前場の取引を終了した。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)