外部環境の不透明感が重しとなる流れ。米経済のスタグフレーション(景気の停滞とインフレの進行)が警戒される中、先週28日の米株市場では、主要株価指数が大幅に3日続落した。また、米政権が貿易相手国に同水準の関税を課す「相互関税」の発動を4月2日に控えていることも、気がかり材料として意識されている。
一方、寄り付き直後に公表された国家統計局による3月の中国景況感指数に関しては、製造業PMIが50.5と市場予想(50.4)を上回った。非製造業PMIも50.8と市場予想(50.6)を上回っている。現時点で相場に対する影響はそれほどみられていない。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、中国スポーツ用品大手の李寧(2331/HK)が8.9%安、マカオ・カジノの金沙中国(1928/HK)が5.5%安、医療サービス企業の阿里健康信息技術(241/HK)が5.2%安と下げが目立った。
セクター別では、ゼネコンなどインフラ建設関連が安い。中国中鉄(390/HK)が11.3%、
中国鉄建(1186/HK)が6.0%、中国交通建設(1800/HK)が4.4%、中国建築国際集団(3311/HK)が3.7%ずつ下落した。28日に起きたミャンマーの大地震により、タイ・バンコクで建設中の高層ビルが倒壊。中国企業が施工に携わったとの報道が不安視された。
半導体やクラウド、スマートドライブの銘柄群も急落。
半面、中国の銀行セクターはしっかり。中国建設銀行(939/HK)が3.3%高、中国銀行(3988/HK)が2.4%高、招商銀行(3968/HK)が1.6%高で前場取引を終えた。大手銀の資本増強がセクター全体の支援材料となっている。中国建設銀行、中国銀行、交通銀行(3328/HK)、中国郵政貯蓄銀行(1658/HK)の大手4行は3月30日、資本増強計画を発表した。財政部などを引受先とするA株の第三者割当増資を実施し、総額で最大5200億人民元(約10兆7300億円)を調達するという。銀行が金融緩和による利益縮小や不良債権の増加に直面する中、資本増強による経営の安定化が期待された。
本土マーケットも続落。主要指標の上海総合指数は、前営業日比0.97%安の3318.77ポイントで前場取引を終了した。ハイテクが安い。インフラ建設、軍需産業、素材、不動産、医薬、消費関連なども売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)