21日前場の香港マーケットは、主要83銘柄で構成されるハンセン指数が前日比125.65ポイント(0.53%)高の23807.13ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が58.02ポイント(0.68%)高の8647.10ポイントと続伸した。売買代金は1192億9760万香港ドルとなっている(20日前場は1211億3590万香港ドル)。

 投資家のリスク選好が継続する流れ。米中貿易摩擦が緩和に向かっていることや、中国当局が経済対策を相次ぎ打ち出したことで、中国景気の持ち直し期待も高まっている。中国人民銀行(中央銀行)は20日、最優遇貸出金利「ローンプライムレート(LPR)」を引き下げた。予想通りだったとはいえ、景気押し上げの効果は大きいとの見方も広がっている。ただ、上値は限定的。米長期債利回りが再び上昇したことや、中東地域の地政学リスクが重しとなっている。外電は日本時間21日朝方、「米国が新たに入手した情報によると、イスラエルはイランの核施設を攻撃する準備を進めている可能性がある」と米当局者の話を引用して報じた。(亜州リサーチ編集部)
 ハンセン指数の構成銘柄では、自動車ディーラー大手の中升集団HD(881/HK)が7.3%高、産金で中国最大手の紫金鉱業集団(2899/HK)が6.4%高、スポーツシューズ生産・販売の安踏体育用品(2020/HK)が5.3%高と上げが目立った。
 セクター別では、医薬が高い。三生製薬(3エスバイオ:1530/HK)が9.2%、康希諾生物(6185/HK)が8.7%、石薬集団(1093/HK)が4.0%、百済神州(6160/HK)が3.5%ずつ上昇した。新型コロナウイルス感染症の再拡大で医薬品需給がタイトになるとの見方が広がっている。三生製薬については、開発しているがん治療薬のライセンス取得に向け、米医薬品大手ファイザーが12億5000万米ドル(約1800億円)の前払い金を支払うと伝わったことも引き続き支援材料だ。

 産金や非鉄、原油など資源セクターも物色される。紫金鉱業のほか、赤峰吉隆黄金鉱業(6693/HK)が9.0%高、招金鉱業(1818/HK)が6.3%高、中国アルミ(2600/HK)が5.5%高、洛陽モリブデン集団(3993/HK)が4.1%高、中国海洋石油(883/HK)が1.6%高、中国石油天然気(857/HK)が1.4%高で引けた。中東地域の地政学リスクを背景に、商品相場の先高観が強まっている。WTI原油先物は21日朝方に急反発し、NY金先物は続伸している。
 他の個別株動向では、車載バッテリー世界最大手の寧徳時代新能源科技(CATL:300750/SZ、3750/HK)が4.4%高と続伸した。同社株は前日、香港市場に重複上昇し、公募価格比16.4%高の306.20香港ドルで取引を終えている。
 半面、マカオ・カジノはさえない。澳門博彩HD(880/HK)が2.6%、新濠国際発展(200/HK)が2.2%、金沙中国(1928/HK)が2.1%、銀河娯楽集団(27/HK)が1.6%ずつ下落した。
 本土マーケットは3日続伸。主要指標の上海総合指数は、前日比0.39%高の3393.49ポイントで前場取引を終了した。石油・石炭が高い。医薬、運輸、金融、素材、公益、消費関連、自動車なども買われた。
半面、ハイテクは安い。不動産も売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)
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