米関税政策の警戒感が薄らぐ流れ。米国と貿易相手国の関税交渉を巡り、日本に続き欧州連合(EU)も合意に達する中、米中の交渉も進展するとの見方が一段と高まっている。香港メディアは27日、米中両国が28日からスウェーデン・ストックホルムで始まる閣僚級の貿易協議で、8月12日に期限を迎える関税の一時停止措置をさらに90日間延長する見通しだと報じた。
ただ、上値は限定的。中国企業の業績低迷が懸念材料だ。国家統計局が27日公表した工業企業利益に関しては、1~6月が前年同期比で1.8%減少し、1~5月の1.1%減から減少幅が拡大している。価格競争の激化などで、生産者物価が下落していることが一因と分析された。また、今週は中国で31日に7月の製造業PMIと非製造業PMIが発表されるほか、米国では米連邦公開市場委員会(FOMC)が29~30日の日程で開催される。結果を見極めたいとするスタンスも強まった。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、医薬の上げが目立つ。中国生物製薬(1177/HK)が7.1%高、翰森製薬集団(3692/HK)が5.8%高、石薬集団(1093/HK)が5.4%高で引けた。このほか、指数銘柄ではないが、原薬と新薬で中国トップクラスの江蘇恒瑞医薬(1276/HK)が24.5%高。
中国の保険セクターも高い。中国太平洋保険集団(2601/HK)が3.9%、中国平安保険(2318/HK)が3.5%、新華人寿保険(1336/HK)が2.8%、中国人寿保険(2628/HK)が1.8%ずつ上昇した。中国の複数保険会社が25日、生命保険の「予定利率」上限を引き下げたことも支援材料。モルガン・スタンレーは今回の引き下げについて、保険会社の金利リスクに対する懸念が緩和されると指摘した。
香港不動産セクターもしっかり。新世界発展(17/HK)が6.0%高、九龍倉置業地産投資(1997/HK)が3.7%高、恒隆地産(101/HK)が1.9%高、領展房地産投資信託基金(823/HK)と信和置業(83/HK)がそろって1.7%高と値を上げた。
半面、人工知能(AI)技術やクラウドの銘柄は安い。商湯集団(センスタイム・グループ:20/HK)が6.3%、青島創新奇智科技集団(2121/HK)が6.2%、北京第四範式智能技術(6682/HK)が2.8%、金山雲(3896/HK)が4.5%、金蝶国際軟件集団(268/HK)が0.7%ずつ下落した。ハンセン科技(テック)指数は0.2%逆行安している。
本土マーケットも反発。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)