内外環境の不透明感が重しとなる流れ。米物価上昇を背景に、米利下げの後ずれ観測の強まりや、中国景況感の悪化がマイナス材料だ。取引時間中に発表された7月のS&Pグローバル中国製造業PMI(民間集計)は、予想(50.2)を下回る49.5で着地。景況判断の境目となる50を再び割り込んだ。また、前日に公表された国家統計局などによる7月の製造業PMIは49.3と市場予想(49.7)に届かず、節目の50を4カ月連続で下回っている。不動産不況で内需が振るわないことや、米中貿易摩擦が続いていることなどが要因と分析された。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、石油・石炭の下げが目立つ。中国石油化工(386/HK)が5.6%安、中国石油天然気(857/HK)が3.3%安、中国神華能源(1088/HK)が1.6%安で引けた。原油相場の先安感が逆風。米関税政策が世界経済を押し下げ、エネルギー需要も鈍化するとの見方がくすぶっている。トランプ米大統領は7月31日(日本時間7月31日午前)、69の貿易相手国・地域からの輸入品に10~41%の相互関税を課す大統領令に署名した。新たな関税率は7日後に発効する。
医薬品開発受託機関(CRO)など創薬支援関連の銘柄も急落。来凱医薬(2105/HK)が6.8%安、康龍化成(北京)新薬技術(3759/HK)が4.2%安、無錫薬明康徳新薬開発(2359/HK)が3.8%安、薬明生物技術(2269/HK)が2.6%安と値を下げた。
クラウドや人工知能(AI)技術、半導体の銘柄も安い。微盟集団(2013/HK)が7.3%、金山雲(3896/HK)が2.9%、北京第四範式智能技術(6682/HK)が5.8%、青島創新奇智科技集団(2121/HK)が3.9%、華虹半導体(1347/HK)が2.8%、中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が2.1%ずつ下落した。
香港の不動産セクターもさえない。領展房地産投資信託基金(823/HK)が2.3%安、九龍倉置業地産投資(1997/HK)が2.2%安、恒隆地産(101/HK)と新鴻基地産発展(16/HK)がそろって1.9%安で取引を終えた。
半面、紙・パルプ関連の銘柄はしっかり。玖龍紙業(2689/HK)が3.7%、理文造紙(2314/HK)が1.9%、山東晨鳴紙業集団(1812/HK)が1.3%ずつ上昇した。玖龍紙業は先ごろ、複数の生産拠点で、段ボール原紙、再生クラフト紙の価格を引き上げると発表。他の製紙会社も製品価格の引き上げに動いている。
本土マーケットも続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.37%安の3559.95ポイントで前場取引を終了した。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)