外部環境の不透明感が重しとなる流れ。米経済のスタグフレーション(不況下のインフレ)が改めて意識されている。米労働市場の軟化による景気懸念や、インフレ高進の見方が強まったためだ。そのほか、米政府が新たな相互関税率を7日から適用したことで、世界景気が冷やされるとの懸念もくすぶっている。また、香港上場企業の決算報告が進む中、業績不振の銘柄が売り込まれたことも全体相場の下げ要因となった。
もっとも、下値を叩くような売りはみられない。中国の景気懸念が薄らいでいる。7日に報告された7月の中国貿易統計では、米ドル建て輸出と輸入が予想を上回り、伸びは6月から拡大した。HSBCは最新リポートで、2025年の中国GDP成長率予想を従来の4.5%から4.9%に引き上げた。追加の支援策が打ち出される可能性が高いと分析している。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、ICファウンドリー中国最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が8.2%安、不動産投資会社の九龍倉置業地産投資(1997/HK)が8.1%安と下げが目立っている。SMICの4~6月期決算は19%減益、九龍倉置業地産の中間決算は赤字拡大とさえなかった。
セクター別では、半導体やクラウドが安い。SMICのほか、蘇州貝克微電子(2149/HK)が3.4%、上海復旦微電子集団(1385/HK)が2.9%、金山雲(3896/HK)が5.8%、金蝶国際軟件集団(268/HK)が4.1%ずつ下落した。ハンセン科技(テック)指数は1.6%安と他の主要指数をアンダーパフォームしている。
マカオ・カジノ株も急落。永利澳門(1128/HK)が7.4%安、美高梅中国HD(2282/HK)が6.9%安、澳門博彩HD(880/HK)が4.3%安、新濠国際発展(200/HK)が3.7%安で引けた。永利澳門の親会社が発表した4~6月期決算によると、マカオ事業の営業利益は前年同期比で20.8%減少。セクター全体の売り材料となった。
中国の銀行セクターもさえない。招商銀行(3968/HK)が1.5%安、中国郵政貯蓄銀行(1658/HK)が1.2%安、中国建設銀行(939/HK)と交通銀行(3328/HK)がそろって1.1%安で取引を終えた。
半面、ゼネコンや建機、セメントなどインフラ建設関連は物色される。中国中鉄(390/HK)が2.3%高、中国鉄建(1186/HK)が2.1%高、中聯重科(1157/HK)が5.8%高、中国龍工HD(3339/HK)が3.2%高、安徽海螺水泥(914/HK)が3.5%高、華新水泥(6655/HK)が3.3%高と値を上げた。
本土マーケットは5日ぶりに反落。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)