外部環境の改善期待が相場を支える流れ。米利下げ観測が高まったことや、東欧地域の地政学リスクが後退しつつあることを材料視した。ボウマン米連邦準備理事会(FRB)副議長は9日、年内に3回の利下げを実施するべきだとの見解を示している。また、報道によると、ロシアのウクライナ侵攻を巡り、米国とロシアは15日、米国のアラスカ州で首脳会談を開催する見通しだ。中国の政策に対する期待も根強い。大手ブローカーや国際機関は、中国が追加の景気対策で中国経済を支える可能性が高いとして、今年の成長目標を上方修正している。
ただ、上値は限定的。中国のデフレ懸念などが重しだ。先週末9日に発表された7月の物価統計に関しては、消費者物価指数(CPI)が前年同月比で横ばい(予想はマイナス0.1%)、生産者物価指数(PPI)がマイナス3.6%(予想はマイナス3.3%)という結果だった。デフレ緩和の兆しはあるものの、依然として不透明感がくすぶる状況だ。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、電子機器受託製造サービス(EMS)の比亜迪電子(BYDエレクトロニック:285/HK)が6.1%高、太陽光発電(PV)用ガラス基板メーカーの信義光能HD(968/HK)が5.1%高、電動工具メーカー大手の創科実業(669/HK)が4.4%高と上げが目立った。
セクター別では、建材が高い。
リチウム関連株も物色される。江西カン鋒リ業集団(1772/HK)が20.9%高、天斉リ業(9696/HK)が18.2%高、寧徳時代新能源科技(CATL:3750/HK)が2.3%高で引けた。CATLが保有する中国江西省のリチウム鉱山で採鉱許可証を更新できず、生産が少なくとも3カ月停止するもようと報じられる中、リチウム相場が大幅上昇していることを材料視している。採鉱許可の更新ができないことに関し、市場関係者の間では、当局が過剰生産能力の是正に動いているとの見方もあった。
半面、産金セクターは安い。山東黄金鉱業(1787/HK)が8.0%、赤峰吉隆黄金鉱業(6693/HK)が6.9%、招金鉱業(1818/HK)が4.8%、中国黄金国際資源(2099/HK)が3.9%ずつ下落した。
本土マーケットも反発。主要指標の上海総合指数は、前営業日比0.34%高の3647.55ポイントで取引を終了した。ハイテクが高い。医薬、消費関連、不動産、自動車、インフラ関連、素材、証券なども買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)