10日の香港マーケットは、主要88銘柄で構成されるハンセン指数が前日比262.13ポイント(1.01%)高の26200.26ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が85.76ポイント(0.93%)高の9328.16ポイントと4日続伸している。ハンセン指数は2021年9月10日以来、約4年ぶりの高値水準を回復した。
売買代金は2882億860万香港ドル(約5兆4586億円)となっている(9日は2940億3290万香港ドル)。
 米株高が好感される流れ。米利下げペースの加速が期待される中、昨夜の米株市場では、主要3指数が史上最高値をそろって更新した。香港市場にも買いが波及している。また、中国当局が人工知能(AI)技術を軸とした産業支援、「AI+」政策に注力していることや、消費刺激、「内巻」(過当競争)是正など景気対策を相次ぎ打ち出していることも改めて安心材料となった。
 ただ、上値は限定的。米国の対中圧力が懸念されたほか、中国のデフレも不安視されている。寄り付き直後に発表された8月の中国物価統計は、消費者物価指数(CPI)が前年同月比でマイナス0.4%と前月の横ばいから下落に転じた。内需の弱さが指摘されている。(亜州リサーチ編集部)
 ハンセン指数の構成銘柄では、パソコン(PC)世界最大手の聯想集団(レノボ:992/HK)4.6%高、ネット通販大手傘下の京東物流(JDロジスティクス:2618/HK)が4.4%高、香港不動産デベロッパー大手の新鴻基地産発展(16/HK)が4.3%高と上げが目立った。
 セクター別では、中国の金融が高い。中国農業銀行(1288/HK)が3.5%、中国建設銀行(939/HK)が2.8%、中国人民財産保険(2328/HK)が3.3%、中国太平洋保険集団(2601/HK)が2.8%、交銀国際HD(3329/HK)が9.3%、東方証券(3958/HK)が2.7%ずつ上昇した。

 クラウドや半導体の銘柄群も物色される。金山雲(3896/HK)が8.8%高、万国数拠HD(9698/HK)が6.1%高、微盟集団(2013/HK)が3.4%高、中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が3.6%高、上海復旦微電子集団(1385/HK)が3.5%高、華虹半導体(1347/HK)が2.0%高で引けた。
 半面、消費セクターの一角は安い。茶飲料チェーンの滬上阿姨(上海)実業(2589/HK)が5.0%、テレビ(TV)メーカーの創維集団(751/HK)が4.6%、フィギュア・玩具の泡泡瑪特国際集団(ポップ・マート:9992/HK)が4.5%、アヒル肉加工の周黒鴨国際HD(1458/HK)が3.3%、組み立てキャラクター玩具の布魯可集団(325/HK)が2.8%、日用雑貨チェーンの創優品集団HD(9896/HK)が1.7%ずつ下落した。
 リチウム関連の銘柄も急落。天斉リ業(9696/HK)が8.0%安、江西カン鋒リ業集団(1772/HK)が7.0%安、中創新航科技(CALB:3931/HK)が6.8%安、寧徳時代新能源科技(CATL:3750/HK)が1.2%安と値を下げた。外電が10日、消息筋情報として伝えたところによると、CATLは一時生産停止した中国江西省の大型リチウム鉱山について、予想より早く再稼働する見通し。供給増による価格下落が警戒された。中国のリチウム相場は10日に急落している。
 本土マーケットは反発。主要指標の上海総合指数は、前日比0.13%高の3812.22ポイントで終了した。ハイテクが高い。
軍需産業、銀行、不動産、通信なども買われた。半面、医薬は安い。資源・素材、公益、自動車、消費関連の一角も売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)
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