投資家のリスク選好がやや強まる流れ。米中関係の改善期待が相場を押し上げている。米国のバデュー駐中国大使は23日、中国が米ボーイング機を新規に購入する交渉は最集段階に入っていると明らかにした。最大500機の航空機購入契約を結ぶ可能性があり、実現すれば、購入再開は2017年のトランプ米大統領(第1期)の訪中以来となる。また、中国の李強首相は23日、訪問先の米ニューヨークで、世界貿易機関(WTO)で受けていた「途上国」の優遇措置を放棄すると表明。トランプ氏はかねて、中国は世界第2位の経済規模にもかかわらず、優遇措置を受けているのは不当だと批判していた。そのほか、人工知能(AI)産業拡大の期待が根強いことや、中国当局が産業支援や過当競争是正、消費刺激などの対策を強めていることなども改めて材料視されている。米中の金融政策に対する不透明感や、中国に接近している猛烈な勢力の台風18号(ラガサ)が経済に与える影響などを不安視した売りが先行したものの、指数はほどなくプラスに転じ、引けにかけて上げ幅を広げた。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、中国電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団HD(アリババ:9988/HK)が9.2%高、ICファウンドリー中国最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が5.7%高、太陽光発電(PV)用ガラス基板メーカーの信義光能HD(968/HK)が4.9%高と上げが目立っている。アリババは約4年ぶりの高値、SMICは上場来高値を更新した。アリババについては、「女性版ウォーレン・バフェット」とも呼ばれるキャシー・ウッド氏がこのほど、アリババへの投資を4年ぶりに再開したことが判明し、投資家の注目を集めている。半導体やネット関連の上昇が寄与し、ハンセン科技(テック)指数は2.5%高と他の指数をアウトパフォームした。
セクター別では、半導体が高い。SMICのほか、ASMPT(522/HK)が6.2%、華虹半導体(1347/HK)が3.9%、上海復旦微電子集団(1385/HK)が3.0%ずつ上昇した。そのほか、クラウド関連の万国数拠HD(9698/HK)が6.6%高、金蝶国際軟件集団(268/HK)が6.3%高、微盟集団(2013/HK)が5.3%高と値を上げている。
家電やスポーツ用品の銘柄群も急伸。海信家電集団(921/HK)が14.4%高、TCL電子HD(1070/HK)が6.9%高、中国動向(3818/HK)が9.3%高、滔搏国際HD(6110/HK)が3.9%高で引けた。
半面、非鉄・産金セクターはさえない。山東黄金鉱業(1787/HK)が3.1%、中国黄金国際資源(2099/HK)が2.1%、招金鉱業(1818/HK)が1.1%、新疆新キン鉱業(3833/HK)が3.2%、洛陽モリブデン集団(3993/HK)が1.8%ずつ下落した。
本土マーケットも反発。主要指標の上海総合指数は、前日比0.83%高の3853.64ポイントで取引を終了した。半導体が高い。不動産、医薬、インフラ関連、自動車、消費関連、資源・素材、公益なども買われた。半面、銀行は安い。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)