投資家のリスク選好が強まる流れ。米利下げサイクルの期待が高まったことや、中国企業の業績改善が材料視されている。8月の米個人消費支出(PCE)物価指数が26日公表され、上昇率は予想に一致。インフレ圧力が想定の範囲内におさまったとの見方が広がり、米連邦準備理事会(FRB)が年内に追加利下げをするとの観測が維持された。また、中国の国家統計局は27日、8月の工業企業利益は同月比で20.4%増加し、7月の1.5%減から一転して大幅に増加したことを明らかにしている。指数は引けにかけて一段高となった。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、民営教育サービス事業者の新東方教育科技集団(9901/HK)が7.9%高、産金で中国最大手の紫金鉱業集団(2899/HK)が5.9%高、医療サービス企業の阿里健康信息技術(アリババ・ヘルス:241/HK)が5.3%高と上げが目立った。
セクター別では、中国の証券が高い。広発証券(1776/HK)がと華泰証券(6886/HK)がそろって12.5%、中信証券(6030/HK)が11.8%、東方証券(3958/HK)が11.3%ずつ上昇した。中国金融当局が26日、外国人投資家の債券取引など本土市場アクセスを拡大すると通達。収益増につながると期待された。
マカオのカジノ関連も急伸。新濠国際発展(200/HK)が11.1%高、澳門博彩HD(880/HK)が5.4%高、金沙中国(1928/HK)が4.6%高で引けた。今週始まる中国の連休では、およそ23億人が国内外に移動すると予測されている。レジャー関連の支出も増加すると期待された。
産金・非鉄セクターも物色される。招金鉱業(1818/HK)が6.7%高、紫金鉱業集団(2899/HK)が5.9%高、霊宝黄金(3330/HK)が5.1%高、洛陽モリブデン集団(3993/HK)が4.9%高、中国アルミ(2600/HK)が4.8%高、江西銅業(358/HK)が4.0%高と値を上げた。産金については、金相場の最高値更新が材料視されている。
半面、新興EV(電気自動車)関連はさえない。小米集団(1810/HK)が2.0%、蔚来集団(9866/HK)が1.6%、理想汽車(2015/HK)が1.5%、小鵬汽車(9868/HK)が1.0%ずつ下落した。産業統制の動きが懸念されている。中国商務部は26日、来年1月1日から電気自動車(EV)輸出に免許取得を義務付けると発表。
本土マーケットは3日ぶりに反発。主要指標の上海総合指数は、前営業日比0.90%高の3862.53ポイントで取引を終了した。証券が高い。産金・非鉄、ハイテク、不動産、インフラ関連、医薬、公益、保険なども買われた。半面、銀行は安い。エネルギー、運輸も売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)