中国の政策に対する期待感が相場を支える流れ。来年から始まる第15次5カ年計画(2026~30年)について中国共産党が議論する第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)は、23日に閉幕した。会議後のコミュニケ(声明)では、経済発展の軸足を内需に移し、人工知能(AI)産業を支える半導体など先端ハイテク分野の自立自強を加速する方針などが示されている。
米中対立の過度な警戒感が薄らいだこともプラス。米ホワイトハウスは23日、トランプ米大統領と中国の習近平・国家主席が韓国で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)にあわせ、30日に首脳会談を開くと発表した。トランプ氏は先ごろ、中国との貿易関係は不公平だったとし、予定している首脳会談が実現しない可能性に言及していただけに、ひとまず安堵感が広がっている。もっとも、会談の内容を見極めたいとするムードもあり、高寄りした指数は上げ幅をやや縮小させた。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、ICファウンドリー中国最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が5.5%高、旅行サイト中国大手の携程集団(9961/HK)が3.1%高、医薬品受託研究開発製造機関(CRDMO)の無錫薬明康徳新薬開発(2359/HK)が2.7%高と上げが目立っている。無錫薬明は米国でも事業展開しているため、関係改善のメリットが意識された。同業他社株もそろって買われた。
セクター別では、半導体が高い。SMICのほか、華虹半導体(1347/HK)が11.6%、ASMPT(522/HK)が7.9%、上海復旦微電子集団(1385/HK)が5.2%、晶門半導体(2878/HK)が4.0%ずつ下落した。
レアメタル・非鉄関連もしっかり。希土類磁石メーカー大手の江西金力永磁科技(6680/HK)が5.4%高、モリブデン中国最大手の洛陽モリブデン集団(3993/HK)が4.9%高、 銅生産で中国最大手の江西銅業(358/HK)が4.0%高、ニッケル大手の新疆新キン鉱業(3833/HK)と非鉄金属・鉱石の五鉱資源(1208/HK)がそろって3.2%高で引けた。
リチウム関連の銘柄も物色される。天斉リ業(9696/HK)が4.0%高、中創新航科技(3931/HK)が3.9%高、江西カン鋒リ業集団(1772/HK)が3.3%高、寧徳時代新能源科技(CATL:3750/HK)が2.4%高で前場取引を終えた。
半面、空運セクターはさえない。中国東方航空(670/HK)が4.0%、中国南方航空(1055/HK)が2.4%、中国国際航空(753/HK)が2.1%、国泰航空(293/HK)が1.7%ずつ下落した。ロシア制裁の影響を懸念。トランプ米政権が先ごろ、中国航空会社の米国発着便によるロシア上空飛行を禁止する案を示している。同措置により最重要路線の一部で飛行時間が2~3時間延長されることもあり、中国側は強く反発しているが、米中交渉によっては合意する可能性もありそうだ。
本土マーケットも続伸。主要指標の上海総合指数は、前日比0.42%高の3938.98ポイントで前場の取引を終了した。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)











