豪雅護眼商貿(上海)董事長・塚越謙太郎氏:3年内に20店まで拡大

 コンタクトレンズ専門店の「アイシティ」を展開するHOYAヘルスケアの現地法人、豪雅護眼商貿(上海)が上海でのブランド確立に力を入れている。現在、上海市内に6店舗を展開しているが、年内にも4店舗を新たに出店。
さらに、今後3年でブランドとして認知を広めるために必要と考える20店舗まで拡大し、全国展開への基礎を固める。コンタクトレンズの普及率を先進国並みの10%程度にまで高めることを目指しているという、董事長の塚越謙太郎氏に話を聞いた。

――御社は日本で「アイシティ」を約150店舗展開しており、上海には海外で初めて、05年12月に出店した。上海を選択した理由は。

 日本において、コンタクトレンズの主なユーザーは20-30歳代の若者だが、少子高齢化が進んでいるため、今後10年間でこの層の人口が約2割減ると見られている。そのため、業界として海外の市場を開拓する必要に迫られている。
コンタクトレンズの普及率は日本で15%だが、中国では富裕な沿岸地域に限ってみても1%にすら満たない。中国にコンタクトレンズの専門店がないのは、普及率の低さから単独では店舗として成立しにくいからだろう。当社は中国でコンタクトレンズの普及を目指し、沿岸部の最大都市である上海への出店を決めた。普及率を先進国並みの10%程度にまで高めることが、当社に課せられた使命だと考えている」

――現在、上海市内に6店舗を展開しているが、ショッピングセンターや路面店、郊外のスーパーマーケットなど出店場所は様々だ。

 単純な売り上げベースではなく、コンタクトレンズを普及させるためにはどういうロケーションに店舗を設置するのが効果的なのか、テストするためだ。当初は日本人客層も意識して市中心部のショッピングセンターや路面店に出店していたが、郊外のスーパーマーケットなどへも手を広げている。
過去2年間は手探り状態だったが、社内の組織や店舗管理の仕組みの点で拡大できる環境が整ってきたため、出店を加速させる。今年はすでにオープンしている1店舗を含め、商業集積地に計5店舗をオープンさせるつもりだ。

――日本では現在、使い捨てワンデイレンズの売り上げが伸びているが、上海での販売状況は。

 上海では1カ月のマンスリーレンズが売れている。消費者は店舗に足を運んだ際の交通費も含め、1日当たりでいくらになるかコスト計算をして、ワンデイレンズよりも割安と判断しているようだ。ただ、ワンデイレンズの販売も年20%程度の伸びを示しており、これは収入の伸びに沿ったものといえる。


――日本の顧客は男女比が約半々だが、上海でコンタクトレンズを付けているのは女性が多い。

 アイシティでも20―30歳代のOLが顧客の85%を占めている。小売店でこれだけターゲットが集中しているのは珍しいのではないか。日本では左右の視力が不均一であるなど特別な視力矯正のニーズから始まって、後におしゃれも追求されるようになったが、上海では当初からおしゃれのニーズが高い。黒目を際立たせ、目を大きく見せることができるサークルレンズが売れており、カラーレンズも売れ行きは好調だ。また、面白い現象もある。
福州路店の店舗外装の写真にカラーコンタクトを付けたモデルを登場させ、仮面舞踏会を意識したファッショナブルなイメージにしたところ、入店者数が格段に増加した。コンタクトレンズにもおしゃれ感覚が求められているわけだ。

――顧客が一定の層に固まっていればマーケティング戦略が立てやすい。

 夏ではミニスカートの、冬ではブーツの女性が何人通るかという通行量調査を行って、出店場所選択の参考にしている。また、語学学校の生徒とターゲット層が同じのため、学校の分布を調査するということもしている。さらに、化粧品売り場に訪れる女性とも重なることから、顧客紹介などの戦略提携も可能になるだろう。
上海の若い女性は自分や社会の“殻”から抜け出したいとの願望を持っており、その具体的な行動の一つとして眼鏡を捨て、コンタクトレンズを装用しているのではないかと分析している。アイシティでは“他人と過去を変えることはできないが、自分と未来は変えることができる”ということをメッセージとして伝え、女性が自信を持って人生を歩むのをサポートしたいと考えている。

――今後、まずは上海で店舗展開を進めていく。他の都市への進出は。

 まずは“コンタクトレンズ専門店”としてのブランドイメージを確立させることが重要だと考えている。コンサルティング会社との調査で、上海ではブランドと認知されるために最低20店舗の展開が必要だとの結果が出た。
そのため、当社も3年でこの店舗数に持っていく。全国展開はその後になるが、その際は現在の地道なマーケティングとは打って変わって、多様なメディアを駆使し、一気に店舗数を拡大させる手法を取るだろう。それに合わせ、現地化も進めていかなければならない。現在は日本人によるマネジメントで基礎固めをしているが、事業拡大期にまで絡んではいけないと思っている。志のある中国人スタッフをマネージャーとして育てていく必要がある。

このインタビュー記事は、『ウェネバー上海』による提供です。

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