中国のテーリング・ダムの数量は世界一だが、ずさんな安全管理のもと大きなリスクが潜んでいることが明らかになった。新華網が13日付で報じた。


 テーリング・ダム(鉱滓堆積ダム)とは、鉱山で採掘した鉱石から必要な鉱物を取り出した後に残る廃滓などを貯めるためのダムのこと。

  “レア・アースの郷”内モンゴル自治区包頭市には、世界最大級のレア・アース産地である白雲鄂博鉱床があり、市南西部には包頭鋼鉄集団有限公司のテーリング・ダムがある。

  しかし、周辺の村では長年深刻な環境汚染に悩まされてきた。新光八村では、各戸に元からある井戸の水が黄色く変色し、鼻にツンとくるにおいがするなど、飲用水には使えなくなった。このため村民らは、包頭鋼鉄が投資して掘った深さ120メートルの井戸まで水を汲みに行っている。

  包頭鋼鉄のテーリング・ダムは1965年に建設され、長年の使用により湖面はかなり上昇している。同社では周辺の5つの村の集団移転を計画しているが、移転先が遠いなどの理由から同意する村民はほとんどいないという。

  統計によると中国には2009年末現在で1万2523カ所のテーリング・ダムがあるが、このうち2098カ所が容積不足、堤体にひび割れがあるなどの「危険ダム」だという。専門家は、民営による小規模ダムがほとんどで、設計・施工や安全管理に深刻な問題があると指摘している。(編集担当:中岡秀雄)

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