中国メディア「中工報」は5日「フィリピンと日本はなぜ、どんどん接近するのか」と題する論説を発表した。フィリピンのアキノ大統領が日本との緊密化を図っていることに「いらだち」を示し、特に中国をナチスになぞらえて批判したことに「怒りを爆発」させた。


 記事は、フィリピンのベニグノ・アキノ大統領が2-5日の日程で訪日したことに注目。「2010年の大統領就任以来、6回目」と紹介し、アキノ大統領は日本を「米国を別にすれば、最も重要な戦略パートナーとみなしている」と主張した。

 さらに、日本とフィリピンは経済だけでなく軍事面でさらに密接になりつつあると指摘。アキノ大統領が日本からの武器購入の動きを強めていることや、5月にはフィリピンのコレヒドール島近くで自衛隊とフィリピン軍の合同演習が実施されたことについて「第二次世界大戦後初だ。コレヒドール島は第二次世界大戦期に、在フィリピン米軍と日本軍の血戦の場だった」と論じた。

 記事は、フィリピンについて「南シナ海における中国の主権に挑戦している。しかし、東南アジア諸国連合(ASEAN)内に、フィリピンを支持する国は少ない」と主張し、日本も中国と領土問題を抱えているだけに、アキノ大統領は「両国が相互に支持しあい、中国に対抗できる」と考えていると指摘した。

 記事は、アキノ大統領が中国をナチス・ドイツと結びつけて語ったことについて、「中国は日本軍国主義の被害者だ。アキノ大統領は日本が集団的自衛権を解禁したことが、アジアに脅威をもたらすであろうことを心配していない。それどころか、第二次世界大戦で命をかけて日本に抵抗した中国を侮辱した」、「この種の理不尽な言動に、アキノ大統領のでたらめさがはっきりと出ている」などと怒りを爆発させた。

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◆解説◆
 上記論説は触れなかったが、3日に行われたアキノ大統領を歓迎する宮中晩餐会では天皇陛下が、「このことは私ども日本人が深い痛恨の心と共に、長く忘れてはならないことであり、取り分け戦後70年を迎える05年、当時の犠牲者へ深く哀悼の意を表します」と述べられた。

 天皇陛下のお言葉を受けたアキノ大統領は「過去に経験した痛みや悲劇は、相互尊重、尊厳、連帯に根差した関係構築に努めるという貴国の約束によって癒やされてまいりました」と述べた。
アキノ大統領は政権担当者として、終戦から現在に至るまでの日本を改めて評価したことになる。(編集担当:如月隼人)


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