東京工業大学栄誉教授の大隅良典氏が2016年のノーベル医学・生理学賞を受賞した。日本人の受賞は3年連続となり、ノーベル賞受賞者数は大隅氏を含めて25人となった。
中国では毎年この時期になると「なぜ日本はノーベル賞受賞者をこれほど多く産出できるのか」といった議論が盛り上がる。

 中国メディアの一点資訊は8日、大隅氏は自然科学分野でノーベル賞を受賞した22人目の日本人となったと伝え、この数字は英国やドイツ、ロシアを上回っていると紹介。さらに、日本がこれだけ多くのノーベル賞受賞者を輩出できた理由は「日本の紙幣」を見ればよく分かると伝えている。

 記事は、紙幣という「小さい」存在から、日本が「ノーベル賞大国」である理由が見て取れると伝え、日本の紙幣には他国のように国王や政治家などの肖像は描かれていないと指摘。確かに中国は1元札から100元札まですべての紙幣が毛沢東だが、日本の場合は「思想家や科学者、作家、教育家が紙幣に採用されている」と紹介した。

 続けて、1万円札に採用されている福沢諭吉、5000円札の樋口一葉、1000円札の野口英世、そして2007年まで発行されていた1000円札に採用されていた夏目漱石、5000円札の新渡戸稲造についてそれぞれ紹介したうえで、「彼らは日本ではエリートとして認識されており、外国の文化を導入し、日本に新しい血液をもたらした人物も多く、日本を強くすることに貢献した人物」であると紹介した。

 また、紙幣に描かれる人物はその国の意思と社会の価値観が反映されていると指摘し、政治家ではなく、「思想家や科学者、作家、教育家が紙幣に採用されている」点から日本が教育や科学を重視していることが読み取れると伝えた。

 あわせて記事は中国で義務教育の全面無償化が始まったのは2008年だったと紹介。日本は1900年には無償での義務教育制度を始めていたと伝え、「中国も伝統的に教育を重視する国ではあるものの、国家としての取り組みや教育理念という点から見て、中国の教育は日本と圧倒的な差をつけられているのが現実」と伝えている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)


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