世界中の新興国から選ばれたメガシティ15都市の中で、中国の4都市は全て「先進的」に区分され、他の国と比較して、そこで働く人々の満足度が高いことが分かった。これは、組織・人事分野、資産運用、福利厚生におけるサービスを提供するグローバル・コンサルティング会社であるマーサーが行った調査結果で明らかになったもの。


 調査対象の15都市は、人口300万人から1,500万人を有し、今後10年間の予測GDPと人口増加は堅調で、年に40億ドル以上の海外直接投資を受けているという条件で選んだ。2018年7月から8月にかけて、オンラインと対面式の面談の組み合わせによって、7,200人の従業員と、577人の雇用主を調査した。

 15都市は、中国の青島、杭州、南京、成都、インドのハイデラバード、コルカタ、チェンナイ、アーメダバード、ブラジルのベロオリゾンテ、クリチバ、メキシコのモンテレー、グアダラハラ、ナイジェリアのラゴス、ケニアのナイロビ、モロッコのカサブランカ。中国とインドから各4都市、ブラジルとメキシコから2都市、そして、アフリカの都市が選ばれた。

 この調査では、「人」、「健康」、「資産」、そして、「仕事」という4つの柱に対するパフォーマンスについて、その地域で働いている従業員に「期待を満たしているかどうか」の観点から採点してもらって、各都市の評価をランキングした。そして、評価の高いグループから、「先進的」、「発展中」、「台頭中」の3つのグループに分けた。

 「先進的」は、4つの要因全てのスコアが高く、従業員の期待と都市のパフォーマンスの間のギャップは小から中程度であった。「発展中」と分類された都市は、期待とパフォーマンスの間のギャップが中程度で、「台頭中」の都市は4つの側面全てのスコアが低い。3グループの中で期待と都市のパフォーマンスのギャップが最も大きく、生活全般の満足感が最も低くなっている。

 スコア順に15都市を並べると、「先進的」のグループで1位はインドのハイデラバード、2位に中国の青島、3位はインドのアーメダバード、以下にメキシコのグアダラハラ、中国の杭州、メキシコのモンテレー、インドのチェンナイ、中国の成都、南京の順だった。相対的にインドの都市が上位にランクされているが、中国は4都市全てが「先進的」に区分され、全体的なレベルが高いことがわかる。

 「発展中」は、インドのコルカタ、ブラジルのクリチバ、モロッコのカサブランカ、ブラジルのベロオリゾンテ。
そして、「発展中」は、ケニアのナイロビ、ナイジェリアのラゴス。アフリカの都市は、相対的に評価が低い。

  同様に、オートメーション、AI、そしてロボティクスの影響は国によって大きく異なり、ポジティブな影響を感じる人の割合は中国が最も高く、アフリカが一番低くなっている。

 今回の調査で、人々が新しい都市へ移住を検討する際の判断基準として、従業員は「生活に対する満足感」を重視していることがわかった。雇用主の認識より2倍も重視している。その次に「安全・安心」、「収入」は3番目。「家族や友人と近いこと」が4位、そして、「就業の機会」は5位になった。働く場所を用意して求人をするだけでは人は集まらず、その地域の暮らしやすさを向上させることが、優れた人材を惹きつける上では重要だ。

 ただし、新しい都市に移住すると決めた後は、金銭や仕事の要因が重要になっていくる。そして、同じ都市の中で別の仕事を探す場合、動機のトップは給与、より良いキャリアのチャンス、そして、昇進になる。

 「我々の調査は、人々が最も望んでいるのは、自分たちと家族のより良い生活だ、ということを歴然と示しています。急速な都市化、あるいは成長経済は確かに大きなテーマはありますが、どの都市で暮らし働くかという意思決定を促す、人々のニーズや、人的および社会的要因に対する取り組みはまだ不十分といえます。
この事実を把握することは、都市の未来、仕事の未来がかかっているのはまさに『人』だということを認識する上で、重要なことです」とマーサーのインターナショナル・プレジデントのデービッド・アンダーソン氏は述べている。(写真は、マーサーの調査による新興国メガシティの3区分)


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