予知能力者による犯罪予知システムが稼働する近未来の世界を描いたトム・クルーズ主演のSF映画「マイノリティ・リポート」。犯罪の予防が可能になり、犯罪率が劇的に低下した社会が舞台となっている。
この映画の世界が日本でついに現実になろうとしている、と中国メディアの捜狐がこのほど報じた。一体どういうことなのか。

 日本企業が先ごろ、人工知能(AI)を活用した犯罪予知システムを開発した。防犯カメラ解析AI「VAAK EYE(バークアイ)」である。万引き犯特有の不審な動きを自動的に検知するというもので、コンビニエンスストアでの実証実験では、10日間で7件の万引き検挙に貢献した。開発したのは2017年設立のスタートアップ企業、株式会社VAAKだ。

 同社代表取締役社長の田中遼氏によると、このシステムはすでに東京都内の数十店舗で試験導入されている。発売は3月5日。今後3年以内に全国10万店舗での導入を目指すという。

 小売業者向けのソリューションを展開するタイコ・リテール・ソリューションズによると、2017年の世界の小売業者の万引きによる被害総額は340億ドル(約3兆7400億円)で、売上高全体の2%に相当する。もともと粗利益率の低い小売業者にとっては見過ごせない数字であり、こうした万引き防止システムの登場は朗報といえるだろう。

 一方、「マイノリティ・リポート」の世界に近づきつつある日本の動きを中国人読者はどう感じたのだろうか。
「レ・ミゼラブルのジャン・ヴァルジャンのように飢えをしのぐために万引きせざるを得ない、社会の底辺層はどうなる? そんなところに金を使うなら、貧困層の救済に使うべきだ」「階下のコンビニにちょくちょくリフレッシュしに行くんだけど、何も買わないことが多いから、万引き犯に間違われないよね?」「疑いの眼差しでこの俺の高尚な人格を侮辱するな!」「『万引き家族』がトイレで泣いているよ・・・」「これって買い物に行っただけなのに、システムに検知されてしまったら、店側に警戒されちゃうわけ?」と否定的な意見が多かった。

 前出の田中氏はこうしたAI解析技術は万引き防止だけでなく、鉄道など公共施設での自殺防止にも活用できると見込んでいる。自殺する人特有の動きを検知することで、人身事故などの悲劇を未然に防ぐというものだ。自殺率の低下に貢献するだけでなく、人身事故によるダイヤ乱れの激減にもつながる。通勤・通学で電車を利用する方にとっては、こちらへの期待の方が大きいかもしれない。(編集担当:仙道計子)(イメージ写真提供:123RF)


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