制服姿の中国の学生たち。手にはモバイル端末を持っている。
食い入るように見ているのは「マンガ」だ。戦後日本で急速に発展したマンガ産業。「ジャパニメーション」という言葉も生まれ、アジアではマンガと言えば日本のもの、と考えられてきた状況が今変わりつつある。中国でマンガ産業が急速な勢いで成長しているのだ。そして、読まれているマンガも日本の翻訳ものから、中国人作家によるものなど様々だ。

 このほど、中国におけるLINEにあたるWechat(微信)などを運営するテンセント騰訊)がマンガプリに本格的に投資をした。投資規模も1億2500万ドル(約134億円)と巨額で、テンセントのマンガへの本気度をうかがわせる。こうした、成長を支えるのは2000年代以降に生まれた世代。つまり、現在19歳以下の中高生、小学生たちが、この産業の主なターゲットになっている。

 中国におけるインターネット産業の巨人、テンセントがマンガ雑誌などのマンガ媒体ではなく、「マンガアプリ」にこれほどの巨額投資をしたのはなぜか? マンガを好む2000年代以降の世代にとって、マンガとはアプリで読むもの、になっているからだ。しかも、多くのマンガはフルカラー、モバイル端末でスクロールしながら読めるよう、すべて縦向きのコマ構成(縦スクロール)になっている。

 こうした状況を、日本のマンガ産業は脅威とみなすべきなのだろうか。
マンガ人口が増えるということはそれだけ良い作品を評価する人口も増えたとも考えられる。中国の作家も好きだが、日本の作家のマンガも好きと考える若者たちも圧倒的にいるのも事実。さらに、マンガの歴史も長く、ジャンルも豊富、作家の数も多い日本には、圧倒的なコンテンツ力という底力がある。この流れを日本のマンガ産業にとって追い風と考え、今こそさらに中国市場を視野に入れたコンテンツの開発に本腰を入れる時なのかもしれない。(編集担当:時田瑞樹)(イメージ写真提供:123RF)


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