日本はここ最近、毎年のようにノーベル賞受賞者を輩出しているが、2019年もリチウムイオン電池を開発した旭化成名誉フェローの吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞した。中国メディアの澎湖新聞は26日、「日本のノーベル賞神話と中国に対する警告」と題する記事を掲載した。


 記事はまず、中国が目指す姿を体現している国こそ日本だと紹介。日本は欧米以外で最も多くノーベル賞受賞者を輩出している国であるため、2035年までに「教育強国」になることを目指した「中国教育現代化2035」を発表した中国は、日本から学ぶことがあるという。

 記事によると、日本は欧米を目指した高等教育の改革を段階的に進めたことが成果を上げてきたと分析。そのうえで、これまで積み重ねてきた人材育成が結果を出していると論じた。

 しかし記事は、現状の教育環境を考慮すると、日本がこの先ノーベル賞受賞者を輩出し続けるのは難しいと指摘。科学予算が減り、論文の被引用数も減少しているためで、日本の科学技術レベルは全体的に落ちると警鐘を鳴らす声も多いことを指摘した。

 このほか、海外留学希望者が減少していて海外交流も減っていることや、OECDの学習到達度調査で日本は読解力などで大幅にダウンしており、日本の基礎教育能力が中国より低くなっていると問題点を指摘した。中国の教育は、科学研究の予算や競争とゆとりある研究環境のバランス、人材育成、基礎教育の詰め込み式など、日本と共通して面している問題点が多く、大いに参考になるとしている。

 最後に記事は、中国は論文の数、引用の増加が目立っており、「20年後には中国は日本の後を継いでノーベル賞受賞者を次々輩出する国になるのではないか」と将来を楽観視。しかし、日本は現在多くの問題を抱えるようになっており、中国はそこから多くの教訓を得られると結んだ。

 ノーベル賞受賞者でまだ中国は目立った成果が出てはいないものの、科学技術の分野は確実に力をつけてきている。日本に追いつき、追い越そうとしている中国は、日本にとって将来良きライバルになるかもしれない。
(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)


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