新型コロナウイルスの感染拡大で、サプライチェーンのぜい弱性が浮き彫りになった日本では、企業による生産拠点の国内回帰を政府が後押しすることになった。これにより日本企業の中国離れが加速することが予想され、中国では焦りが見られるようだ。
中国メディアの今日頭条は18日、「日本企業の中国撤退で心配すべきこと」について考察する記事を掲載した。 
 
 日本政府は、特定の国に生産が一極集中している製品や部品に関して、生産拠点を国内に回帰させる、または東南アジアに移転させるよう促している。これは主に中国を指しており、日本はマスクや防護服の不足を通じて「中国にいかに依存してきたか」を痛切に再認識させられたといえるだろう。

 記事はまず、日本のサプライチェーンが中国から離れるのは短期的には現実的ではないと指摘。すでにかなりの投資を中国で行っており、日本政府も企業に撤退を強制することはできないと指摘した。企業は国内回帰するかどうかをコストと収益の面から考慮するからだとしている。ほかにも人件費、労働力不足、輸出コスト、税金、中国市場を失うなどデメリットが多く「割にも合わない」とも主張した。これまでも国内回帰すると言いながら「実行した日本企業は少ない」のはそれだけ現実的ではないためだとした。

 では、東南アジアへの移転はどうだろうか。記事は、例えばタイは洪水が発生するという問題があるほか、停電、断水が頻発する東南アジアではインフラが不安要素で、物流にも影響を与えるので、「中国の代替案にはならない」と断言。そのため、日本政府が目指している「国内回帰と多元化は現実的ではない」と主張した。

 結局のところ、中国としては日本企業が続々と撤退していくのは避けたいところなのだろう。
記事は、中国の製造業は「基幹技術」がないので、中国とはけた違いの技術力を持つ日本の技術を失えば、広東地区だけでも「電子工場の3分の2が倒産するだろう」と不安をにじませている。どれだけの企業が中国依存から脱するかは分からないが、生産拠点の国内回帰には緊急経済対策に2400億円が盛り込まれており、政府はそれだけ本気のようだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)


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