早いもので2014年も残りわずか。今回はこの時期にもぴったりなお掃除ロボットをご紹介しよう。
雑巾ルンバ、と呼ぶのはあまりスマートではないかもしれないが、これが『Braava 380j』(ブラーバ)の特徴を一言で表しているように思う。「ルンバ」は全自動ロボット掃除機のパイオニアである。数多の類似商品が発売されたが、「ルンバ」はもはやロボット掃除機の代名詞として、日本人に定着した感さえある。ブラーバは、雑巾がけができる、はじめてのロボット掃除機なのである。

「ルンバ」が人気を博したのは、その性能の高さに理由がある。コンセプトが面白いだけでなく、ちゃんと床が綺麗になる。だからこそ、販売台数を伸ばした。そして今回の『ブラーバ』は、ルンバと同じiRobot社製の新商品。きっと機能面でも満足させてくれるのではないかと、期待が膨らむ。
「ルンバ」は自動掃除機として埃などを吸ってくれるが『ブラーバ 380j』は拭き掃除専用のロボット。水拭きとから拭きの2つの清掃モードが選べ、皮脂汚れなどのベタベタ汚れやほこりなどのザラザラ汚れを残さず綺麗にしてくれる。拭き掃除専用ということで、使用できる場所はフローリングやタイルのある場所。木材、タイル、ビニール、リノリウム、ラミネートなどが使われた床材となる。畳やじゅうたん、カーペットなどには使用できない。
つまり、細かいゴミを取るだけなら『ブラーバ』はルンバの上位互換的な使い方ができるが、じゅうたんまでは掃除できない、というニュアンスだ。じゅうたんは3mm以上の厚みがあれば自動で認識するので、乗り上げてしまう恐れはない。

まずは中身を見ていこう。

セット内容は、ブラーバ本体、ACアダプター、急速充電スタンド、NorthStarキューブ、ウェットクリーニングパッド、ドライクロス(白)、ウェットクロス(青)、導水キャップ(交換用)、単2形電池(2本)、取扱説明書。

はじめに本体の充電をする。急速充電スタンドにACアダプタをとりつける。
ここで気付くのが、ルンバとの大きな違いである。

スタンドにブラーバを載せると、充電が開始される。充電開始時はランプは「赤」、完了すると「青」に変わり、メロディー音でもお知らせしてくれる。
ブラーバ本体の大きさは幅が約24cm、奥行き約21cm、高さ(厚み)約8cm。重さは約1.8kg。女性でも片手で楽に持ち運びできる。立てて充電することが出来るので、スペースを占領される感じはあまりなく、好印象。ブラーバに雑巾(クリーニングパッド)をセットする

次にクリーニングパッドを準備する。ドライクロス(白)はから拭き用、ウェットクロス(青)は水拭き用。

クリーニングパッドの本体への取り付けはマグネット式なので、カチッと簡単に取り外し・装着が出来る。ブラーバはNorthStar(北極星)を基準に動く

続いてはNorthStar(ノーススター)キューブ。これもルンバには無い、赤外線信号を発信してブラーバを誘導してくれるアイテムだ。付属の単2形乾電池を2本セットしておく。ブラーバの基本的な動きはジグザグに、部屋の隅から隅まで雑巾がけをしていくものだが、このNorthStarキューブを使うことで、より正確に部屋の形状や家具の配置を記憶しながら掃除をしてくれる。つまり拭き残しが減るのだ! もちろんNorthStarキューブがなくてもお掃除は可能だが、できれば設置すべきだろう。
部屋が広い場合は、別売りのキューブを追加して2個使いすることで清掃範囲を広げることが出来る。具体的にはキューブ1個で56畳までの広さに対応しており、1個5,400円(税別)のキューブを買い足せば、倍の112畳までの範囲をカバーする。ただしこれはから拭き(ドライモード)のみで、水拭き(ウェットモード)の場合はキューブの数に関わらず20畳を最大としている。これは水拭き用の水タンクが空になってしまう為と思われる。

キューブを設置する場所は、清掃したいエリアのなるべく中央。テーブルやカウンターなどの上に設置するとよい。電源ランプを部屋の中央に向けて、電源ボタンを押すと青色に点滅して、ブラーバ本体に赤外線信号を送信する。信号がきちんと届くと青色の点灯に変わる。

それではお掃除スタート。電源ボタンを押して、ドライモードボタンかウェットモードボタンを押すだけ。この辺り、複雑な操作がなく本当にボタンを押すだけなのも簡単で良い!
ブラーバは、想像以上に音が静か!

動き始めて驚いたのが音の静かさ! 拭き掃除なので、掃除機と違い吸う時の音がなく、動く時のモーター音のみ。 それほど大きな音ではないので、TVを見たり、会話をしたりが普通に出来る。また、とても滑らかに動くので振動がなく、マンションなどでは階下にそれほど気を使わなくても大丈夫そうだ。ある程度の時間帯も気にせずに使える程、静かである。

NorthStarキューブは、まさに星座の中心に位置する北極星のように、ブラーバに指示を送っている模様。リビングダイニングを掃除する間は、電波が途切れることはなかった。

幅30cm、高さ8cmの隙間があれば、ソファやベッドの下にも潜り込んで、奥まで掃除をしてくれる。これはルンバと同じ、ロボット掃除機ならではの魅力である。


部屋の隅、ギリギリまで掃除してくれる点や、段差で落ちない機能もルンバ譲り。家具や部屋のコーナーにぶつかる時も、クリーニングヘッドにバンパーがついているので大きな音はせず、衝撃を吸収してくれている。このあたりは熟成の域に達していると言えそうだ。

隅から隅まで雑巾がけを終えると、ブラーバはスタート地点に戻って機能停止する。ドライモードで、細かな埃や髪の毛までしっかりとキャッチしていた。
ブラーバの水拭き(ウェットモード)を検証する

ウェットモードを使う時はパッドを取り替える。水を入れ、ウェットクロス(青)を取り付ける。

水拭きで心配なのが床が濡れすぎてしまうことだが、ビショビショになるようなことはなく、常に程よく水が出ている状態。水拭き後の乾きも早い。しかし、専用のクロスを利用しているとは言え、ただの水拭き。

とはいえ、トータルの性能には大満足! 普段から拭き掃除をしているはずだが、ブラーバで拭いた床はとてもサラサラで、気を抜くとうっかり靴下で滑ってしまいそうになるほどであった。部屋の端から愚直に掃除してくれるおかげで、細かなゴミまで除去されているのだろう。尚、使用する時には、床に物が置いてない状態の方がやはり掃除が早い。交換用のクロスは定期的に買い替えが必要!
ランニングコストとしてかかるのは、専用のクロス。購入時にはドライ・ウェットが1枚ずつ入っているが、交換用の専用クロスは必須であると感じた。別売り(3枚セット)で1,800円(税別)となっており、1枚あたり600円である。ポリエステル80%、ナイロン20%のクロスで、市販の雑巾でも代用できそうな気はするが、厚みやサイズがピッタリのものはなかなか無さそう。
また、長期間の使用を続けるにはバッテリーの交換も必要だ。充電と放電を繰り返すと、稼働時間が短くなる。バッテリーには個体差があり、また使用する環境(部屋の広さ)によって必要な稼働時間は変わってくるはずだが、メーカーは1年半ごとの交換を推奨しており、こちらは8,200円(税別)。
このあたりは「ルンバ」と同様のシステムである。購入検討時に、よくチェックしておきたい。
本体のお手入れは、難しくない。クロスは通常通りの洗濯を、そして本体も軽く拭いてあげるだけでよい。何度か使っていると、車輪の隙間にゴミが入ってしまうことがあるので、そういう時はピンセットなどを使って取り除こう。
また、本体とキューブにセンサーがついているのでその部分は汚れを拭きとっておこう。しかし、それほど激しく汚れたりはしないので毎回サッと拭く程度で大丈夫だ!
コンパクトで賢い家電!拭き掃除が格段に楽になる。拭き掃除は、体に負担のかかる姿勢でもあり大変なもの。それが『ブラーバ』のスイッチを押せば自動で綺麗になってしまうのはこんなにも楽なのかと感動した! 1度使ってしまうと、自分ではもう拭き掃除はしたくなくなるほど。
「拭き掃除ぐらい自分で出来る」と思うかもしれないが、実際に使ってみると、やはりこの便利さと快適さには適わない。
どんなに疲れていてもスイッチを押さえば掃除をしてくれる。それだけ自分の時間も増えるので、忙しい現代人にはやはりオススメである。また、腰を曲げたり首を下げたりしなくて良いので、拭き掃除をすることで体に負担を感じる人にもぜひオススメしたい。ランニングコストの問題さえクリアすれば、シニアにこそ喜ばれる商品である。

全体的にとてもコンパクトで、ちょっとした隙間にも立てておけるので収納に困ってしまうというような事も少ないだろう。
価格は36,000円(税別)。自分の時間が有効に使えることや、身体的なストレスなどを考慮すると十分に価値のある価格だと感じた!
日本での販売はiRobotの総代理店、セールス・オン・デマンド株式会社が行っており、公式サイト「iRobot Store」での購入が可能だが、大人気の為だろう。予約受付の状態になっており、2014年12月16日(火)より順次発送とのこと。ほか量販店や、インターネット通販等で購入できるが、公式サイトで発送待ちになっている現在、並行輸入品も多く見られるため、あくまで自己責任で購入されたし。
