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シュワシュワと泡を立てる「スパークリング日本酒」の勢いが止まらない。本日は、この冬特に注目したい3ブランドを比較検証! 宝酒造株式会社『澪』(みお)、月桂冠株式会社『うたかた』、株式会社一ノ蔵『すず音』を飲み比べてみた!

スパークリング日本酒の歴史とは

女性をターゲットにしたアルコール飲料が続々登場する中、20代・30代女性のハートをぐっとつかんでいるのが「スパークリング日本酒」の存在。

いまやスーパーやコンビニでも数多くのスパークリング日本酒を見かけるようになったが、人気の発端となったのは2011年に発売された宝酒造株式会社『澪』である。発売当時は百貨店やオンラインショッピング、一部の提携レストランなどでのみ購入できる限定ブランドだったが昨年2013年から大々的なテレビCMと共に、スーパーなど身近なお店にも並ぶようになった。いま、最も入手しやすいスパークリング日本酒は『澪』で間違いないだろう。

スパークリング日本酒自体は『澪』以前からあり、1998年に発売された宮城県一ノ蔵の『すず音』が長らくトップブランドの地位に君臨していた。『澪』が登場する前は、こだわりの居酒屋やリカーショップでおすすめされるスパークリング日本酒といえば『すず音』が定番だったのだ。

そして2014年、『澪』が大きく拡げたこのスパークリング日本酒の市場に、業界大手の月桂冠が『うたかた』で殴り込みをかけた。

今回は王者『澪』、チャレンジャー『うたかた』、そして古豪『すず音』という観点で3ブランドを飲み比べて人気の理由を検証! お気に入りのスパークリング日本酒を見つけたい方、必見!

『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?

ファーストインプレッション比較!

まずは、3種類のスパークリング日本酒の見た目を比較してみよう。
宝酒造の『澪』は、鮮やかなブルーの300ml瓶。デザインは泡がたちのぼる様子をイメージした、水玉と花びら模様。澪は広告も盛んに行っていて、女優・杏さんがイメージキャラクターをつとめるCMやポスターを飲食店やスーパーで目にした方も多いはず。お値段は1本あたり475円(税込513円)。

『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?

『澪』のキャップを開け、香りを確かめてみる。

いかにも日本酒という香りはしないが、アルコールの香りがとても控えめにふんわり香る。見た目の色は、すっきりとした濁りのない透明。

『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?

続いて月桂冠の『うたかた』をチェック。こちらは、和の情緒あふれる紅白の花柄305ml瓶。瓶のデザインは京都で人気の和装・家具・和菓子などのテキスタイルブランド「SOU・SOU」とのコラボレーション! この花柄は、SOU・SOUの人気柄である金襴緞子(きんらんどんす)という。すごくオシャレ!

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しかも、花柄は瓶に直接プリントされており、商品名など表示のラベルを被せてある形なので、飲み終わった後はラベルだけ剥がせば綺麗な花柄ボトルが手に入り、一輪ざしの花瓶として使用できるという。

『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?

「日本酒ってニオイが強いから花瓶なんて……」と一瞬不安に思ったが、水道水でさっと流しただけで瓶のにおいは完全に消えた。

さて、『うたかた』のキャップを開け、香りを確かめてみる。ちょっぴり日本酒の香りがする。見た目の色は、澪と同じくすっきりとした濁りのない透明だが、炭酸の気泡は多くシュワシュワ感が強めな印象。お値段は、澪と同じ1本あたり475円(税込513円)。

最後は一ノ蔵の『すず音』。

すりガラスのような美しいグリーンの300ml瓶。正面には、雪国を思わせる南天の赤い実と葉がかわいらしく描かれている。昭和48年創業の宮城県の蔵元らしい洗練された美しさを感じた。

『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?

『すず音』は、3つの中では唯一、キャップを開ける前にゆっくり2~3度振るようにと書かれている。理由は「にごり」にあった。すず音だけが淡い雪のような濁りある色なのだ。濁り成分と混ぜるために、飲む前に振る必要があるらしい。キャップを開けると、香りはこちらもとても控えめ。3種類の中では『すず音』が最も日本酒らしい香りがした! 見た目も中身も特徴的だが、すず音にはさらに驚きあり。なんとお値段は1本あたり715円(税込772円)! とても高級なスパークリング日本酒だったのだ。このあたり、大手酒造メーカーによる大量生産品である『澪』 『うたかた』とは、別格の印象さえ受ける。

『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?

写真は、左から『澪』『うたかた』『すず音』。

並べると一目瞭然、『すず音』のみに濁りが見られる。

『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?

三者三様だが、共通するのはかなりボトルデザインへのこだわりが強いということ。お酒もパッケージ買いをする女性は多いので、3種類ともチューハイや梅酒が1本150円前後で購入できるのに比べるとお値段は高めだが、プチ贅沢ブームさえも牽引してしまえるビジュアルの美しさに惹かれて、これはついつい買ってしまいそうだ!

成分を比べてみる

では続いて、3種類の原材料やアルコール度数などを比較していこう。まず初めてに伝えておくと、3種類ともすべてアルコール分は5%である。というより、市場に出ているスパークリング日本酒はほとんどがアルコール分5%。日本酒と比べるとアルコールは控えめなことがスパークリングの共通点である。ビールがおよそ7%程度なので、スパークリング日本酒は飲みやすいといえる。

『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?

まずは『澪』の原材料をチェック。ジャンルは清酒(発泡性)で、国産の米と米麹からできている。(清酒は日本酒の一種で、米と米麴で醸造したもろみを濾した、濁りのないお酒のこと。)しかも、糖類・酸味料不使用。カロリーは非公表だが、女性向け商品らしい気遣いを感じる。

『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?

続いて『うたかた』の原材料をチェック。ジャンルはリキュール(発泡性)と書かれている。リキュールとはスピリッツ(蒸溜酒)に果実や花などの香り付けをした混成酒のこと。ただし、糖類や香料と共に「清酒」とはっきり書かれているので、米と米麴は入っているらしい。気になるカロリーは1本あたり約222kcal(100mlあたり73kcal)。

『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?

最後は『すず音』。澪と同じく、ジャンルは清酒(発泡性)で、国産の米と米麹からできている。気になるカロリーは、澪と同じく非公表。ここで注目は、すず音だけが「要冷蔵」だということ! ネット通販で購入する際も、クール便の扱いであった。気温や光の影響を受けやすいとてもデリケートなお酒なのだという。この点でもすず音は別格だ!

いよいよ、お味の比較!

それでは、いよいよ試飲して比較してみよう!
香りに関しては『すず音』が最も日本酒に近かったが、3種類とも日本酒の香りとは少々異なるように思えたのが正直なところ。味はどうだろうか?

『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?

まずは『澪』をごくっと飲んでみた。

日本酒の風味はややあるが、どちらかというとチューハイに近く、果実チューハイのような甘さがあり、フルーティーだ。ラベルを見ずに飲むと、カクテルかチューハイと思うかもしれない。炭酸もそれほどキツくないし、かなり飲みやすい! たとえ日本酒が苦手な人でも、これならいけるはず。大ヒットも納得である。食前酒として飲むのもよし、肉や魚料理とも相性が良さそうだ。

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続いては『うたかた』を飲んでみた。ごくっと飲んだ瞬間、炭酸のシュワシュワ感が強くて刺激的! 後味が日本酒風味の果実系サイダーといった印象。清酒ではなくリキュールに分類される『うたかた』だが、『澪』とまったく方向性が違うかといえば、そうではない。どちらも甘さは共通で、『うたかた』の方が炭酸が強めのドライ風な味付けだ。スッキリしている。これは濃い味の食事によく合い、すでに色々なお酒を飲んでいても飲みたくなる味だと思う。

『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?

最後は『すず音』。

ひと口飲んでみると、炭酸のやさしさに驚く。発泡が細かく繊細な印象で、飲み心地まろやか! 濁りのおかげか、上品で優しい味わいがする。日本酒特有のクセが抑えられているのは他の2種と共通。最後にふわっとフルーティーな香り。これはシャンパンに近い。すず音は味も別格だった。日本酒とも違うが、缶チューハイやカクテルの延長線上の味では決してない。これは美味しい。

総評は?

『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?

今回、3種類のスパークリング日本酒を試飲してまずわかったことは、どれも「日本酒仕立て」であり、従来の日本酒の味とは大きく違う、ということ。これは、日本酒特有のにおい等を敬遠しがちな女性をターゲットとしているのだから、大成功という意味である。「日本酒はどうしても苦手なんだよなあ……」という方にも、これなら安心しておすすめできる。女性向けの視点で考え抜かれたパッケージや瓶全体の「デザイン性」も含めて、ぜひ多くの方に楽しんでほしいと感じた! とにかく3商品とも「飲みやすさ」は抜群である。甘いだけのジュースでは物足りない、新しいチャレンジがしたいという女性にはかなりオススメである。

「味」で圧倒的に上質な印象を受けたのは『すず音』だ。ただし他の2商品と比べて価格は1.5倍だから当然とも言える。要冷蔵という面倒さも伴うし、メーカーのホームページによればキャップに記載の仕上日から1ヶ月以内が美味しく飲める期間だそうで、ちょっとした生鮮食品のような位置付けなのだ。そもそも全国のコンビニに流通させる商品とは、目指すところが違ったのだろう。

もちろん他の2商品も、間違いなく美味しい。『澪』はさすがのバランス感で優等生的。『うたかた』は強めの炭酸とドライさが特徴。これは好みで選べば良い。

「価格」の面では最初こそ高いと感じたが、美しいボトルを選んで、飲み終わるまでのトータルの体験で振り返ってみると、妥当性があるように思えた。むしろプチ贅沢気分を味わわせてくれる特別な1本として、印象に残りそうだ。

販売ルートについて、ここ数週間ショップの棚をチェックしてみたが、やはり断トツでよく見かけるのは『澪』。一方『うたかた』の姿は大型酒店でのみ確認できた。月桂冠としては、これから販路を広げたいところだろう。『すず音』に関しては、一ノ蔵の取扱店が限られているので、日本全国どこでも手に入るというわけではない。3種類ともインターネットでの購入は可能。3種類セットを取り扱うお店もあるので、これからの忘年会やパーティーシーズンにぜひチェックしてもらいたい。

『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?
宝酒造 松竹梅白壁蔵 澪 スパークリング清酒 300ml
『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?
月桂冠 うたかた スパークリング 日本酒仕立て 305ml
『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?
発泡清酒 すず音 300ml×3本セット

ちなみに『うたかた』のボトルを花瓶にする件だが、なかなか可愛らしくて、記者は気に入っている。

『澪』『うたかた』『すず音』人気スパークリング日本酒3種を比較! どれが一番美味しい!?

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