シャープの『ヘルシオお茶プレッソ』の新モデルである。第1弾モデルの登場から約1年。
2014年に登場したシャープ『ヘルシオお茶プレッソ』。今までにない「お茶のためのメーカー」で、茶葉を「挽く」から「沸かす」「点てる」ことで、本格的なお茶を手軽に楽しむことが出来る新家電。急須よりもカテキンやクロロフィル、食物繊維などの栄養成分を多く含んだお茶を手軽に淹れられることから、一躍人気となった。おためし新商品ナビでは、2014年秋に第1弾モデルヘルシオお茶プレッソ「TE-GS10A」について検証している。
リンク : 大人気のシャープ『ヘルシオお茶プレッソ』新色登場!これは本当に買いか? 徹底検証してみた!
新機種『TE-TS56V』が前機種と大きく変わった点は、まずはお茶うす。そして、お湯の温度。お茶を淹れられる容量。全体の大きさなどがある。細かくご紹介していこう。
TE-TS56V 本体の構造

本体の大きさは、幅233mm×奥行225mm×高さ296mm。

同封されているのは、取り扱い説明書、メニュー集、「お茶うすの組立方法」と「お手入れワンポイントアドバイス」が書かれた紙が1枚(裏表)。

旧機種では、置き台のみしか取り外せなかったのが、置き台・つゆ受けトレイの両方が取り外せるようになっている。お茶うすの分解パターンは同じ。付属品として、茶葉を挽いたときの受け皿、お茶スプーン、清掃用のブラシがついている。
湯ざまし機能がついて「ぬるめ」が選択できるようになった!

旧機種では80℃~90度の沸かしたてのお湯でお茶を淹れていたのに対し、新機種では「ぬるめ」の選択が出来るようになった。通常の「温茶」は約85℃。「ぬるめ」は約70℃でお茶を点てる。

この改良は非常に大きな意味があると考える。旧機種の検証時に指摘したのだが、お湯の温度が高すぎてお茶の風味を逃している印象があった。 「ぬるめ」の選択が出来るようになったことにより、 カフェインやカテキンの苦味がより抑えられるようになり、まろやかな風味が味わえるようになるはず。それもただのぬる湯ではなく、一度沸騰させカルキ成分を取り除いた後、空冷方式で通常の約85℃から約70℃まで温度を下げてからお茶を点ててくれるという。そして旧機種では一度に抽出できるお茶は最大420ml(湯のみ大で約3杯分)だったのに対し、新機種では最大560ml(湯のみ大で約4杯分)となった。
旧機種より全体の大きさがひとまわり程度大きくなったのも、「湯ざまし機能」搭載により、内部に冷却ファンが取り付けられたことや、最大容量が増えたことが主な理由だ。
進化した「お茶うす」でより細かな粉末茶に!

「お茶うす」が進化したのも新機種の特徴。抹茶のようなきめ細かい粉末茶に近づけるためである。

臼の溝(紋様)に粉末を留める「ふくみ」部分を設け、約15~20ミクロンの粒度を実現(1ミクロン=1ミリの1000分の1)。
基本的な使い方は旧機種と同じ!

操作の仕方は旧機種とほぼ同じ。まずはお茶うすで茶葉を挽く。
新機種は前面パネルと「お茶うす」のセット箇所に帯電防止樹脂を採用しており、 茶葉の飛散や粉末の付着を抑えられるようになったという。なるほど、旧機種は埃などの付着なども目立ちやすく気になっていたのだが、 幾分、付着は抑制されているように感じた。細かな工夫を評価したい。
お茶うすの茶葉投入口も、旧機種より大きくなっており使いやすさは向上している。お茶うすが動いている時はモーター音があるのでそれなりに音がする。振動はないが、壁にぴったりと設置したりすると音が響くおそれがあるので、集合住宅などでは設置場所に注意したほうが良いだろう。

挽かれた茶葉を見てみると、確かに細かさが全然違う。とても細かいため、ふわっと舞ってしまうほどだ。茶葉はその都度挽くのも良いが、1日分などをまとめて挽いておけば、好きな時に飲みやすい。また1人分だけ挽きたい場合は、やや多めの2人分で挽いた方がうまくいくと感じた。

お茶の淹れ方も旧機種と変わらない。分量分の水をタンクに入れ、挽いた粉茶をお茶容器に入れる。「温茶」・新機種から搭載の「ぬるめ」を選択して、スタートボタンを押す。湯を沸かすゴボゴボという音がして、中の回転はねが回る音がする。湯気が出るので、お茶容器を覗き込んだりしないように注意しよう。冷却ファンがついたということだが、抽出中の音の大きさはそれほど気にならなかった。
肝心の味わいはどうだろうか?

さて、肝心の味わい。「温茶」と「ぬるめ」を飲み比べてみた。
TE-TS56V 使用後のお手入れと、気になる点

使うたびに洗うのは、お茶容器、置き台、つゆ受けトレイ、水タンク。お茶容器内にある回転はねは取り外すことが出来るが、小さいので 無くさないようにしたい。

お茶うすについては付属の清掃用ブラシで付着した粉末を取り除き、乾いた布で拭き取る。普段のお手入れはこれだけで良いが、1ヶ月に1回程度水洗いをする。

ただし、お茶うすは水気が残っていると粉末茶が詰まりやすくなるので、しっかりと自然乾燥(8時間以上)させる必要がある。検証した季節が初夏の為、1日の終わりに洗っておけば、翌朝には乾いており、その点は問題なかったが、季節により差があるかもしれない。

また、お茶容器内の給水部分に取り外しが出来ないパッキンがついているのだが、この部分にとても水が溜まりやすい。

下から覗いた給水部分も同じく水が溜まりやすい。何度も水気を飛ばしてみるのだが、細かな水滴が入り込んでおり、なかなか完全に乾かすことが出来ない。お茶の給水部だけに、清潔さを求めたいところで、お手入れの際はこの部分の水気を念入りに取り除いた方が良いだろう。

もう一点気になったところは、取り外しが出来るようになった「置き台」と「つゆ受けトレイ」。すべて水洗い出来るようになったのは良いが、置き台がなぜか浮いてしまいがちで、安定感がない。ピタッとはまらない為、トレイがずれやすいのが気になった。

お茶うすにはフタがついているが、その下の受け皿にはフタがない。そのまま、お茶うすの下にセットしておく分には問題ないが、本体を移動させる時などには、これは外しておかなければならない。そういう時に、中に粉末茶が入っていると飛び散りやすいので、欲を言えば、受け皿にも個別にフタがあるといいような気がする。そうすれば、まとめて挽いた時などに、フタをすることで空気に触れるのを少しでも防げると思うし、移動もさせやすい。
『ヘルシオお茶プレッソ』で実現する、粉末茶の様々な楽しみ方

茶葉の挽き方は、旧機種同様に「細」と「粗」。緑茶を楽しむ時は「細」。料理に使うときは「粗」を選ぶと良い。 また、お菓子作りなどであれば粒子のより細かい「細」で挽いた粉末茶を使用すると良いだろう。なにせ小麦粉よりも細かい粒子なので、素材にもなじみやすい。

「細」で挽いた粉末茶を、バニラアイスクリームにトッピングして頂いてみた。お茶の香りと味わいがクリーミーなバニラアイスに加わり風味豊かに。食後のデザートやおもてなしにも良さそうだ。
公式ページにも『ヘルシオお茶プレッソ』で挽いた茶葉を使用した飲み物・お料理レシピが公開されているので、ぜひそちらも参考にしてもらいたい。緑茶だけでなく紅茶やほうじ茶なども楽しめるし、ラテも作ることが出来る。
リンク : ヘルシオお茶プレッソ 飲み物・お料理レシピ

また作ったお茶を急須や水筒に注ぎたい場合は、給水レバーではなく、お茶容器を取り外して注ぎ入れることも出来る。なお、お茶容器そのものには保温機能はついていない。

第2弾モデルとして2015年4月より発売されているのは、今回ご紹介した上位モデル「TE-TS56V」の他に、スタンダードモデル「TE-GS10B」もある。スタンダードモデル「TE-GS10B」は第1弾モデルのお茶うすや帯電防止加工が進化したもので、温度調整機能はない。またつゆ受けトレイも取り外しできない。最大容量も、第1弾モデルの420mlと同じ。
本体カラーは上位モデル「TE-TS56V」がグリーンとレッドの2種。「TE-GS10B」がグリーンとブラウンの2種となっている。希望小売価格はTE-TS56Vが2万8000円(税別)、TE-GS10Bが2万5000円(税別)。
総評今回ご紹介した上位モデル「TE-TS56V」は、お茶うすの進化による粉末茶の細かさ、湯ざまし機能搭載により「ぬるめ」を設定出来ることで、お茶のまろやかさ、美味しさが旧機種より格段に良くなっていると思う。これから購入するのであれば、記者としてはやはり「TE-TS56V」をオススメする。

茶葉を挽いておけば、水タンクに水を入れ、お茶容器に粉末茶を入れて、ボタンを押すだけでお茶が出来上がっているのは、なかなか面白い。コーヒーメーカーと同じような感覚だ。毎回、安定した温度と美味しさを楽しめるし、お茶を淹れている時間に他の作業が出来る。茶葉を丸ごと摂取できるので、作り終わった後に茶殻も出ない。家庭で使うのはもちろんのこと、オフィスや事務所など人が集まるところに置いておくのも良さそうだ。
近年、海外にも注目されている日本のお茶文化。『ヘルシオお茶プレッソ』は今夏には北米にも進出する。