ゼロ・コーラシーンで頭ひとつ抜き出ている「コカ・コーラゼロ」、そこに「ペプシネックス」と「キリンメッツ」がしのぎを削りながら「コカ」の牙城を崩そうと狙っているのが今の状況。そんな中サントリーはネックスブランドを捨て去って『ペプシストロング ゼロ』(500ml・希望小売価格 税抜140円・2015年6月16日発売)で一気に巻き返しを図る。

後発の「キリンメッツ」を別として、日本でコーラといえば長いことコカ・コーラとペプシ・コーラの2強だった。ところが2005年にカロリーオフでありながら味の面で大きく進化した「コカ・コーラゼロ」が登場し、ゼロコーラシーンに革命が起こる。
それに対するペプシの回答が翌2006年の日本発ブランド「ペプシネックス(ゼロ)」。ただこれはちょっと王道コーラとしては異色のレモン風味を強調したもので、日本マーケットを意識してこうなったそうだが、普通のコーラとしてはちょっと変わり味過ぎる印象は拭えなかった。
確かに、昔ながらの喫茶店で出されるコーラにはレモンの輪切りが浮かべられることが多々あり「ネックス」のレモン風味を支持する層もいたとは思うが、いまどきファストフード店等ではレモン無しがスタンダードであり、若い世代には意外な味わいと受け止められたのではないか。

そして今回の『ペプシストロング ゼロ』の登場である。メーカーに確認したところ、ネックス後継品となるそうなので、ネックスの歴史は10年持たなかったことになる。その間に「キリンメッツ」のトクホ戦略に対応した形で王道コーラに近い味わいの「ペプシスペシャル」が登場したり、今回の強カフェイン化を暗示する小さな缶の「ペプシストロングショット」(現在は「ペプシリフレッシュショット」)を発売したりと実験的な動きを繰り返してきたペプシ。その到達点がこの『ペプシストロング ゼロ』なのだ。

ただこれ、デジャブーを感じた人も少なくないと思う。つい昨年セブン-イレブン限定ではあったが強カフェインを売りにした「ペプシビッグ」というものが出ていたから。

カフェイン量の比較でいくと、100mlあたり「ペプシリフレッシュショット」が19mgで「ペプシビッグ」も同様。そして肝心の『ペプシストロング ゼロ』もまた19mgと強カフェインの数値は一定している。ちなみに「コカ・コーラ」系はカフェイン量を公表していないので比べることはできない。

『ペプシストロング ゼロ』肝心の味は?
さて肝心の味だが、レモン風味は若干抑えめではあるが、やはりネックス系統の味わいだ。炭酸は確かに強く、そのぶん爽やかさが前面に出ているが、特有の強い甘みが舌に残る。これは「コカ・コーラライフ」でも感じたことのあるステビアの味だ。
「コカ・コーラゼロ」の甘味料はアスパルテームが主でステビアは含有していないので、そこが大きな違いとなる。同じくゼロコーラである「ペプシスペシャル」がステビア不使用ですっきりした味わいを実現しているというのに、なぜここでステビア? 確かに自然由来の甘味料で安全性は高いかもしれないが、この癖のある味わいを持ってきたのは何故なのか。

従って「コカ・コーラゼロ」を押しのけて、この『ペプシストロング ゼロ』を選ぶ理由は3つに絞られる。昔ながらの輪切りのレモンが浮いたコーラが好きな人と、健康意識が高くステビア使用が素敵と感じる人、刺激は欲しいが太りたくない人の3種類。
記者としては「ペプシネックス」よりコーラらしい味わいになった点は評価するが、やはりレモンコーラの域は出ない気がした。ゼロカロリーであることと強炭酸の刺激もうれしいが、カフェイン増量は「レッドブル」方向への色気なのかもしれないが、お茶・コーヒーなどでも摂取してしまうもので、過剰摂取のもとになるので必ずしも利点とはいえないと感じた。ただし好みによるところが大きい、それがコーラの味なので、コーラファンなら必ず一度は自分の舌で試してみるべきである!


ちなみにこの「ストロング」ブランドは有糖コーラでも展開する模様。6月16日より自動販売機で先行発売し、7月14日に全国発売となる。コーラにゼロを求めない人はこちらも要チェックだ。