矢継ぎ早に投下される新製品の嵐。自動販売機にはちょっと目を離した隙に新しい缶コーヒーが並べられている。
コンビニコーヒーが全盛、缶コーヒーの存在感も若干薄れ気味の昨今だけれど、道端で購入できてサッと手軽にリフレッシュできる缶コーヒーの魅力は捨てがたい。今回は微糖缶コーヒー・5種類を比較した! どれが一番美味いのか?

■「微糖」こそが缶コーヒーの王道だ!
ただ一口に缶コーヒーと言っても大きく分けて3つある。きっちり砂糖を入れて甘くしたノーマルタイプと、コーヒーの美味しさのみを追求した無糖タイプ、そしてその中間の微糖タイプだ。
正直、中途半端と言われがちな微糖。ノーマルタイプよりは太りにくいんじゃないかという期待を胸に、ブラックを楽しむほど本格派じゃないけどそれなりにこだわりがあると主張しているようなその存在感はまさに微妙と言われても仕方ないかもしれない。
それでも微糖缶コーヒーは、缶コーヒー趣味の王道と言いたい。記者は普段家でもカフェでもブラックでコーヒーを飲む。挽きたてで淹れたてのコーヒーはすごく美味しいと思う。それでも自動販売機の前に立つと微糖を選ぶ。なぜか。
道を歩いていると目に入る自動販売機。飲みたくなるタイミングはずばりリフレッシュしたい時だ。
それも一瞬で。喫茶店などに入るほど時間はないがリフレッシュが必要な時に自動販売機に頼る。家やカフェならばケーキやちょっとした甘いモノと一緒にコーヒーを楽しむのは至福のひととき。しかし道端ではそうもいかない。
そんな時の微糖。程よく甘い微糖缶コーヒーは覚醒成分のカフェイン補給はもちろん、さりげなくスイーツの役目である糖分補給もありつつ、コーヒーの味わいもしっかりしていることが多い。その大半はミルクが入っているので微量ながら乳たんぱく=アミノ酸の摂取も可能。ノーマルタイプは甘みの存在感が大きすぎスイーツに近づいてしまうし、無糖ブラックはもちろん甘くない。その中庸を絶妙なバランスで実現しているのが微糖缶コーヒーなのだ。
微糖缶コーヒー5種類比較! コーヒー好きの記者が飲み比べて一番美味しいのは、やっぱり〇〇〇〇〇だった!

従って缶コーヒーで手軽で安価なリフレッシュという点では”微糖こそが王道”と考える。そこで今回はトップシェアの日本コカ・コーラの「ジョージア」と、近年はほとんど同率首位と言えるサントリー「ボス」を筆頭に、アサヒの「WONDA」、キリンの「FIRE」を加え、最近「世界一のバリスタ監修」で息を吹き返した感のあるダイドードリンコの同製品を含めて5種の微糖缶コーヒーを飲み比べてみた。
ちなみに缶コーヒーがミリリットル表示でなくてグラム表記なのは高温で充填されるため冷えると体積であるミリリットル表示だと変わってしまうことから。
高温充填でないペットボトルだとミリリットル表示なことが多い。

■日本コカ・コーラ『ジョージア エメラルドマウンテンブレンド 至福の微糖』(185g・オープン価格・発売中)
微糖缶コーヒー5種類比較! コーヒー好きの記者が飲み比べて一番美味しいのは、やっぱり〇〇〇〇〇だった!

程よく甘い、程よく苦い、それでいてコクがあって絶妙なバランスを実現しているスタンダードがこの『ジョージア エメラルドマウンテンブレンド 至福の微糖』。先代である「キレの微糖」からミルク感を40%高めたところで絶妙バランスとなった。原材料名にコーヒーより牛乳が先に来ているけれどコーヒー感が強いのはエメラルドマウンテンならではの味わいの強さが原因か。
微糖缶コーヒー5種類比較! コーヒー好きの記者が飲み比べて一番美味しいのは、やっぱり〇〇〇〇〇だった!

その高級豆を51%使用して仕上がった厚みのある味わいはまさに微糖缶コーヒーの鉄板。迷った時はこれにしておけば間違いない。2014年9月に発売して同年内に一億本出荷したというからすごい。
微糖缶コーヒー5種類比較! コーヒー好きの記者が飲み比べて一番美味しいのは、やっぱり〇〇〇〇〇だった!

1975年スタートの「ジョージア」ブランドの特色はこのエメマンシリーズとスペシャルティコーヒーの猿田彦珈琲を監修に迎えた「ヨーロピアン」シリーズの2路線展開のみに絞っているところ。「ヨーロピアン」にも「コクの微糖」が存在するのだが、缶コーヒーとしての味わいではすっきりしすぎていてガッツリ感が弱めだ。

■サントリー『高原のボス 微糖』(185g・オープン価格・発売中)
微糖缶コーヒー5種類比較! コーヒー好きの記者が飲み比べて一番美味しいのは、やっぱり〇〇〇〇〇だった!

シェアとしては「ジョージア」に追いつけ追い越せ状態の「ボス」。その要因の一つとなっているのが矢継ぎ早の新製品展開。コンビニの棚でも自販機でもめくるめく入れ替わりでクラクラするほど。
記者も大概追っかけているが油断ならない存在だ。
正直新製品の味に大差は無いのだけれど、ちゃんと美味しい範囲内で冒険してくれているのがうれしい。この『高原のボス 微糖』も若干深煎りの高地産豆で苦味を強めた味わいとなめらかなミルク感を共存させて、さすがの味わい。牛乳に加えて全粉乳と脱脂粉乳を加えるというミルク三羽ガラスで攻めこむ。
微糖缶コーヒー5種類比較! コーヒー好きの記者が飲み比べて一番美味しいのは、やっぱり〇〇〇〇〇だった!

恐らく長命ではないだろうな、と思いつつこの『高原のボス 微糖』を紹介したのは、それこそがサントリーの「ボス」ならではの上手い戦略だから。というのも記者は”缶コーヒーは時分の花”だと思っているから。
微糖缶コーヒー5種類比較! コーヒー好きの記者が飲み比べて一番美味しいのは、やっぱり〇〇〇〇〇だった!

時分の花とは室町時代に観阿弥・世阿弥によって生み出された能楽を題材とした芸術書「花伝書」によるものだが、そこに答えが書いてある。つまり若手が登場する時の瞬間風速にはどんなベテラン役者でさえかなわない、その時だけの勢いがあるということ。つまりどんなに美味しい鉄板缶コーヒーがあったとしても新製品の勢いには勝てないのである。

■アサヒ『グランドワンダ 微糖』(185g・希望小売価格 税抜115円・発売中)
微糖缶コーヒー5種類比較! コーヒー好きの記者が飲み比べて一番美味しいのは、やっぱり〇〇〇〇〇だった!

昨今、名門焙煎機「プロバット」を使用したスペシャルティコーヒー店「ブルーボトルコーヒー」が上陸して話題となったが、その「プロバット」を使用して作られたのがこの『グランドワンダ 微糖』。熱風焙煎を猛然とアピールしているが、糖類33%カットを謳っているだけあって若干甘みを抑えすぎたのと、豆自体のコクが薄いのが惜しい。
微糖缶コーヒー5種類比較! コーヒー好きの記者が飲み比べて一番美味しいのは、やっぱり〇〇〇〇〇だった!

薄いけど苦味は強いというこのバランスは絶妙とは言い難いので今後の展開に期待しよう。

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■ キリン『ファイア 挽きたて微糖』(185g・希望小売価格 税抜115円・発売中)
微糖缶コーヒー5種類比較! コーヒー好きの記者が飲み比べて一番美味しいのは、やっぱり〇〇〇〇〇だった!

ブラジルのスル・デ・ミナス地域のベローゾ農園の豆だけを使いましたという単一農園新豆使用が謳い文句の『ファイア 挽きたて微糖』。ただ残念ながら本来ブラジル産コーヒー豆自体、本来は大量生産が特徴ゆえに評価が高くないので味わいは落ちる。豆本来の味わいを引き出す「直火焙煎」と豊かな香りを保つ「挽きたて18時間以内抽出」をもってしても本来の豆自体が弱いので残念。
微糖缶コーヒー5種類比較! コーヒー好きの記者が飲み比べて一番美味しいのは、やっぱり〇〇〇〇〇だった!

ブラジル使用ということで飲み始めから酸味が目立ち、原材料名に牛乳が先頭に来ているのは『ジョージア エメラルドマウンテンブレンド 至福の微糖』と同じなのだけれど、甘酸っぱい方向に振れすぎているのが特徴。
微糖缶コーヒー5種類比較! コーヒー好きの記者が飲み比べて一番美味しいのは、やっぱり〇〇〇〇〇だった!


■ ダイドードリンコ『ダイドーブレンド微糖 世界一のバリスタ監修~コクの飲みごたえ~』(185g・希望小売価格 税抜115円・発売中)
微糖缶コーヒー5種類比較! コーヒー好きの記者が飲み比べて一番美味しいのは、やっぱり〇〇〇〇〇だった!

正直ダイドードリンコの自動販売機自体がレアと言えばレアなところが不利な『ダイドーブレンド微糖 世界一のバリスタ監修~コクの飲みごたえ~』。ラインナップ自体どうしても昭和の香りが漂い、甘みが強いのが特徴でB級な印象が強かったが、ここに来てCMに松山ケンイチを起用したこの製品で一気に巻き返しを図っている印象。
微糖缶コーヒー5種類比較! コーヒー好きの記者が飲み比べて一番美味しいのは、やっぱり〇〇〇〇〇だった!

確かにワールドバリスタチャンピオンシップ2013年チャンピオンのピート・リカータ監修は成功。5ヵ国の豆を4段階に焼きわけた20種焙煎豆ブレンドにさらにエスプレッソを滴らせたという、さながら魔女鍋な製法だけれど、キリッとした苦味と原材料の先頭に牛乳を持ってきた豊かなミルク感のバランスはまさに絶妙。飲んだことがない人はぜひ飲んでみて欲しい。
微糖缶コーヒー5種類比較! コーヒー好きの記者が飲み比べて一番美味しいのは、やっぱり〇〇〇〇〇だった!


■結果、一番美味しい微糖缶コーヒーはどれ?
さて5種の微糖缶コーヒーを飲み比べてみたが、やはり『ジョージア エメラルドマウンテンブレンド 至福の微糖』がベストだろう。次いでサントリーの『ボス』と『ダイドーブレンド微糖 世界一のバリスタ監修~コクの飲みごたえ~』が競る。
ジョージア、ボスの順番で憶えておけば間違いない。
市場シェアにはきちんと理由があるということだ。
微糖缶コーヒー5種類比較! コーヒー好きの記者が飲み比べて一番美味しいのは、やっぱり〇〇〇〇〇だった!

ところで微糖缶コーヒーは、実はコンビニおにぎりと抜群に相性が良いのも特徴なので、ぜひおにぎり片手に飲み比べてみて欲しい。パリパリの海苔の香り立ちと微糖缶コーヒーの香りのハーモニーは日本人だけが楽しめる美味しさだと思う。
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