2015年12月21日に発売されたアイリスオーヤマ『スチームオーブンレンジ』(MS-2401)。 給水タンク式を採用し、100℃の水蒸気を更に加熱した「過熱水蒸気」調理が出来る。
■シンプルで使いやすい構造・手ごろな大きさがいい

この『スチームオーブンレンジ』、庫内には赤外線センサーを搭載しており、食品の表面温度を感知することにより、加熱時間を自動で調整。レンジ、グリル、スチーム、オーブンの4つの加熱法に合わせて、37種類の自動メニューも搭載と構造的にも堅実な内容。
本体の大きさは51.3(幅)×40.3(奥行き)×33.2(高さ)cm。重量は14.5kg。庫内容量は24リットル。 下部に排水トレーと水タンクがある。付属品は、角皿と取扱説明書。
■主な機能を見てみよう

レンジ加熱、ヒーター加熱(グリル)、スチーム加熱、ヒーター加熱(オーブン)の機能がある。それぞれの機能を単独で使用できる他、自動メニューではこれらを組み合わせて適切な加熱方法で調理する。
レンジ加熱:庫内に電波が放射されると、食品に含まれる水分子が吸収され加熱。
ヒーター加熱(グリル):上下にあるヒーターで高温で一気に焼き上げる。
スチーム加熱:蒸気で加熱。レンジ加熱と併用できる「スチームあたため」自動メニューあり。
ヒーター加熱(オーブン):上下にあるヒーターで庫内の温度を一定に保ち、じっくり焼き上げる。
■使い方もわかりやすい上、チャイルドロックも装備
操作部には「自動メニューボタン」、「手動メニュー」(レンジ・グリル・スチーム・オーブン)、「あたためスタートボタン」、「とりけしボタン」。メニューや時間を選ぶ「つまみ」。仕上がりや温度を調整する「仕上がり/温度ボタン」がある。 また、とりけしボタンを押しながらあたためスタートボタンを押すことで チャイルドロックをかけることが出来る。解除するには、同じ方法を取ればよい。

スチームを利用する場合には、本体下部にある水タンクに給水をして行う。水タンクは手前に引き出すことで取り外しが出来る。

それでは実際に使用してみよう。
■自動メニュー(あたため) /基本的なあたため操作

扉を開けると電源が入り、庫内灯が点灯。 食品はできるだけ中央に均等に配置し、あたためスタートボタンを押す。 残り時間が表示される前に、仕上がり/温度ボタンで仕上がり具合(弱~強5段階)を調整できる。センサーが働くと残り時間が表示。加熱が終了すると「ピッ♪」と5回鳴って知らせてくれる。どの操作も5分以上放置すると、その操作はキャンセルされる。
それでは、自動メニューより「レンジ+スチーム」、「オーブン+スチーム」を使ったメニューを実際に作ってみよう。
■自動メニュー:お赤飯(レンジ+スチーム)

自動メニューより、スチームとレンジ機能を使ったお赤飯を作ってみる。小豆はあらかじめ別茹でにしておき、もち米とゆで汁、小豆を合わせて1時間ほどつけておく。耐熱ボールを使い調理スタート。水タンクに給水して自動メニューから【9:赤飯】を選びスタートするだけ。

約30分後、お赤飯の完成。ふっくら、もっちりと美味しいお赤飯が簡単に作ることが出来た。スチームを使用した場合は、ドアを開ける時に 大量のスチームが吹き出すので、顔などを近づけすぎないように注意。 調理中、背面のスチーム排気口からも蒸気が出てくるので、上部にもスペースがあった方が良い。

また、庫内には水滴がつき、水浸しの状態になるのでスチーム使用後はしっかりと水気を拭き取ろう。

次ページではスチーム調理の底力ともいうべきヘルシー唐揚げに挑戦する!
■自動メニュー:唐揚げ(オーブン+スチーム)

鶏もも肉を一口大に切り、市販の唐揚げ粉をまぶし、10分ほど馴染ませる。角皿にクッキングシートを敷き、鶏肉の皮を上にして並べ、上段にセット。水タンクに給水をして、自動メニューから【16:唐揚げ】を選び、あたためスタートを押す。調理時間は4人分で約25分。

時間通りに作ってみると、表面はややカリっとしているのだが天板にふれている下の部分は柔らかい感じ。 熱風で焼き上げるわけではないので、ノンフライヤーなどで作る表面がサクっとした感じの唐揚げではなく、 どちらかというと唐揚げ風のローストチキンと言った感じだろうか。

ただスチームを使っているので、鶏肉そのものはとてもジューシーな仕上がりであった。一般的な唐揚げとしてはやや物足りなさは感じてしまうかも。仕上がり調整をしないでスタートしたが、「強」にしてもよかったかもしれない。
自動メニューにある組み合わせ調理は、手動では行えないので加熱を追加する機能などはついていない。そのまま単独オーブン機能で、もう少し追加加熱をすればより唐揚げらしくなったかなとも思う。このあたり、自分の求める仕上がり具合にもよって変わってくるだろう。
■手動メニュー:スチームで肉まんを蒸す

次に手動メニューのスチーム機能を使って肉まんを蒸してみた。給水タンクに水を入れて、調理時間は20分に設定。通常、蒸し器を使う時は大量の水をしっかり沸かして蒸す。その点、使用する水の分量も少ないので発生する水蒸気の量がやはり違う。ふわふわには蒸せているが、冷めやすいような気がした。蒸し網などを使わずお皿を使って蒸した為、肉まん全体を包み込むような蒸気ではなかったのも原因のひとつかもしれない。

肉まんなどは手動のスチーム機能ではなく、自動メニューのスチームあたため(スチーム加熱とレンジ加熱の組み合わせ)の方がうまくいくような気がした。
■手動メニュー:オーブンでピザを焼く

お菓子やパン作りをする人にとっては、手動のオーブン機能も見逃せない。設定温度の範囲は100℃~250℃。今回は250℃でピザを焼いてみる。(自動メニューにも「ピザ」(オーブン使用)があるが、あえて手動メニューで検証。) オーブンは「予熱あり」と「予熱なし」が選べる。まずは250℃で予熱開始。予熱完了までの時間を計ってみると約18分とかなり時間がかかった。250℃で約5分の焼き上げ。

イメージとしては、この温度と時間で焼き上げればサッと焦げ目がついたりすると思っていたのだが、焼き色はそれほどつかず。しかし、チーズはぐつぐつと溶けていたので、追加で加熱すればもう少し焼き色がついたのだろう。
■オーブンはヒーター加熱である
ここで押さえておきたいのは、このスチームオーブンレンジはファンで熱を循環させるコンベクションオーブンではなく、ヒーター利用のオーブンだということにある。
■発酵機能もついている
ヒーター加熱を使用した発酵機能もついているので、パンの生地作りなども行える。(この機能ではスチームは使えない。) 温度設定は35℃と40℃のみ。
次ページでは最後の仕上げ。お手入れ方法も検証しよう。
■お手入れ

通常使用での本体のお手入れは、よく絞ったふきんで拭けば良い。特にスチームを使った場合は、庫内が水浸しになるので必ず拭こう。排水トレー、水タンクも取り外して洗う。また、お手入れメニューもあり「清掃」「ボイラー洗浄」の機能が備わっている。どちらも水タンクに給水をして使用。 庫内の汚れが落ちにくい時はこちらを利用してみよう。
清掃メニューでは庫内をスチーム加熱して汚れを落としやすくしてくれる。目安時間は20分。ボイラー洗浄は、ボイラー内部を洗浄してくれるもの。目安時間は18分。終了後は庫内に水分が溜まっているのでよく拭こう。庫内にあるスチーム出口部分は乾くと白く結晶化したものが残ってしまうので、この部分もよく拭く必要がある。
■気軽にスチームオーブンレンジを使ってみたい人におすすめ
気軽に使ってみたい人への『スチームオーブンレンジ』としては満足 。「過熱水蒸気」とは、300℃以上の超高温の水蒸気を食材に吹き付けることで調理する加熱方法。高価格帯で過熱水蒸気調理を得意とする機種には、400℃以上になるものもある。
アイリスオーヤマの『スチームオーブンレンジ』も過熱水蒸気調理が出来るとされており、100℃以上とはなっているが、何度の過熱水蒸気なのかは記載がない。 実際に使ってみた感じでは、高価格帯のものと比べるとその点はややパワー不足。

また、低価格帯である要素のひとつとして、組み合わせ調理は最初からプログラムされている自動メニューでしか選べない。手動で「レンジ+スチーム」、「レンジ+オーブン」という使い方は出来ないのだ。自分好みに時間と温度設定が出来るのはあくまでも手動の単独機能(レンジ、グリル、オーブン、スチーム)のみ。
調理方法を色々試してみたり、自分好みで設定したい人にはこの点も物足りなさを感じるだろう。しかし、そこまでこだわらないのであればもちろんこれでも十分。3万円台という低価格帯の『スチームオーブンレンジ』は簡単に気兼ねなく使ってみたい人向きだ。一般的なレンジ加熱も赤外線センサーの働きによりムラなく温められる。
一方でお菓子作りやパン作りなどを頻繁に楽しむ人にはややパワー不足かもしれない。オーブンについてはヒーター加熱であり、熱風を出すものとは違う。もちろん、この機種でも焼くことは出来るが、機能の組み合わせなど細かな設定があまり出来ないことや、予熱温度に達するまでの時間の長さなど、パワーと機能に物足りなさを感じてしまうかもしれない。時々楽しむ程度あれば、もちろん十分に使える。スチームやオーブン機能には、やはりその機種の調理のクセというのがありそれを見抜いて使いこなしていく必要はあるだろう。
アイリスオーヤマ公式通販サイトをはじめ、全国の家電量販店やインターネット通販で購入出来る。
