キュートな女子高生があの競技のギネス記録保持者! "インドア...の画像はこちら >>

「インドアスカイダイビング」と聞いて、ピンとくる人はまだ少ないかもしれない。その名の通り「室内で行うスカイダイビング」のことで、直径4.5m、高さ20mの筒状の「ウインドトンネル」に入り、4基のエンジンにより下から吹き上げる気流によって、室内にいながらスカイダイビングのフライトを体験できる、というものだ。

日本での知名度はまだ低いが、各国で国際大会も開かれるほど、世界的にはメジャーな競技になりつつある。その発祥は米軍の降下訓練用施設とも言われているが、近年ではレジャー用として、誰でも楽しむことができるのだ。

そんな「インドアスカイダイビング」で2つのギネス記録を持つのは、意外なことに日本の女子高生。現在17歳、河野冬妃(こうの・ふゆき)さんに話を聞いた。

キュートな女子高生があの競技のギネス記録保持者! "インドアスカイダイビング"って何?
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――実際にお会いすると小柄なんですね。河野さんのご出身は?

河野 東京生まれの東京育ちなんですけど、小学校2年生のときにオーストラリアに長期滞在する機会があって。せっかくのオーストラリアなのに雨が降ってやることがなく、すごく暇だったときに「インドアスカイダイビング」が体験できる施設があるらしいって聞いて、そこに家族で行ったら楽しくて! それから頻繁に通ううちに、だんだん新しい技ができるようになって、どんどん面白くなって。

――最初は怖くなかったですか? 

河野 もともとジェットコースターが好きなタイプだったので、大丈夫でした。浮遊感が初めての感覚で、怖いより楽しい!って感じで。

その後、小学5年生から6年生にかけての10か月間、オーストラリアに留学して現地校に通うことになったんですけど、そのときに本格的にインドアスカイダイビングを始めようと、習い事としてスタートしました。週に3、4日は通っていたんですけど、日本に帰ってきてからは学校も忙しいし施設までが遠いから、なかなかできなくて。

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――今回取材させていただいている埼玉県越谷市の「Fly Station」が、日本で唯一のインドアスカイダイビング施設なんですよね。

日本に帰ってきて、他の習い事にシフトしようとは思わなかった?

河野 不思議とならなかったです。その後、中学生から完全にオーストラリアに留学する予定だったので、また始められる予定でしたし。ただ、コロナの影響で留学できなくなってしまって。中学1年生の間は学校に通わず、ずっと自宅待機していたんです。でも、いつまで待ってもコロナが収束しないので、方向性を変えるしかないなということで、中学2年生からは日本で中学校に通い始めました。

――そんな中でもトレーニングはしていた?

河野 ほとんどしてなかったです。一回飛んだら3カ月休んで、また飛んで、みたいな。そんなときに、インストラクターの方が「ギネスに挑戦してみたら?」みたいに、軽いノリで誘ってくれて。それで「やるか!」みたいな感じになって、それ以降は週1回とか、2週に1回は練習に通うようになりました。

――それでも、ギネス記録を達成するためには練習量が少なくない? 

河野 そうなんです。気持ちとしてはもっと練習したいんですけど、学校もあるし施設も遠いしそういうわけにもいかず。でも、結果的には取れちゃいましたね(笑)

――すごいですね。

どういう記録なんですか?

河野 「1分間に前後開脚回転を行った最多数」という、もともと66回だった記録を78回に塗り替えていて、もうひとつ「360度の水平回転を行った最多数」というやつが、確か44回から60回に塗り替えました。

――いきなりふたつのギネス記録を達成したわけですね。満足に練習できない中での達成だと、「私、天才?」って思いませんでした?

河野 確かにうれしかったんですけど、練習ではもっとできていたので、悔しい部分もありました。開脚は90回まで回れていたし。だから個人的には、もうちょっとできたのにっていう悔しさが強かったですね。

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――競技としての「インドアスカイダイビング」のルールは採点方式?

河野 複雑といったら複雑で、大雑把といったら大雑把な採点方法なんです。私がやっている「フリースタイル」は、大会前に演技の動画を提出して、その動画が「技術点」になります。そして、その動画を元に本番で演技したときにどれぐらい減点されるか、みたいな採点方式です。

フィギュアスケートみたいに技を決めたら何点、みたいなのはまだなくて。ただ、競技としてはフィギュアスケートとか新体操に似ていますね。曲を決めて演技を作って、音楽とシンクロしたほうが点数的にいい、みたいな感じで。

――演技プランは自分で決めるんですか? 

河野 コーチに演技を作ってもらう人もいますが、私は自分で作ってます。

他の選手からアイデアを得たりすることもあるし、私は新体操をやっていたので、そのときにやってた技を取り入れたりもします。ネットとかインスタで動画を見たり、サーカスの演技を参考にしたりとか、いろんな方法でアイデアを得ています。

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――どれくらいの年齢の人が中心の競技なんですか?

河野 レジャーとしてやるのは「3歳から103歳まで」というのがウリなんです。競技としても、小学生ぐらいの子から社会人の方、ご年配の方もいるので、かなり幅広めです。年齢というよりは、その人の練習量と技術と努力がものを言うのかなと。

――じゃあ、歳を取ってから始めても世界に行ける可能性はある?

河野 全然ありますね。世界大会の4位くらいの方は、確か40歳を超えていたと思います。男女混合で、ジュニア部門と大人部門に分かれているだけ。男女どっちが有利とか特にないので、それがすごくいい部分だと思います。女性は女性らしい柔らかい演技が武器ですし、男性は力強い演技傾向にはありますけど、男性でも柔らかい演技を取り入れたり、女性が力強さを表現したりもしていて、面白いなと思います。

――じゃあ、男女も年齢も関係ない?

河野 関係ないですね。練習量が違いを生むだけで。

身体的な違いはネックにはならない競技です。さらに今、日本では競技人口が少ないので、世界に行きたければ行けるんです。日本の高校生で世界を目標にやっているのは私だけなんです。だからみなさんも「飛べば世界は開かれる」って感じです(笑)。

キュートな女子高生があの競技のギネス記録保持者! "インドアスカイダイビング"って何?

――日本ではまだマイナー競技的な扱いですが。

河野 海外ではそれなりに競技としてのポジションが確立されてきているんですけど、日本だとまだ知名度もないので、手探り状態ではあります。今、コーチがいないのと練習時間が足りてないのが壁になっているので、高校を卒業したらもうちょっと真剣に考えようかなと。

――卒業後の進路は考えてるんですか?

河野 やっぱり大学には行って、学業と競技の両立はちゃんとしよう、という話を家族としていますね。

キュートな女子高生があの競技のギネス記録保持者! "インドアスカイダイビング"って何?

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――「インドアスカイダイビング」をオリンピック競技に、という動きもあるんですよね?

河野 パリオリンピックのときに一応選考までは行ったんですけど、結局採用されませんでした。でも、もしそうなったら出場したいですね。やっぱり選手として世界大会に出るのは名誉ですし、自国の国旗を背負って出るのはあこがれます。私が選手を続けている間に、正式競技になってほしいですね。

――競技中は緊張しますか?

河野 いや、元々緊張しいではないので、競技に関しては大丈夫です。普段は人とあんまりしゃべれなかったりするんですけど(笑)。

――すごいですね、全体的に運動神経がいいほうですか?

河野 よくないです。学校の授業とかまったくできなくて。評価も平均か平均以下っていう(笑)。特に球技が苦手だし、走ることもあまり好きじゃなくて。むしろ本を読んだりする方が昔から好きなんです。

――友達と遊んだりとか?

河野 友達があまりいないので(笑)。でも、この前仲がいい3人と日帰りで旅行に行きました。普通に神社に行ったり、すごく楽しかったです。

キュートな女子高生があの競技のギネス記録保持者! "インドアスカイダイビング"って何?

――普通の高校生らしい日常も送っているみたいで、ちょっと安心しました。最後に、河野さんの目標を聞かせてもらえますか?

河野 もちろん大会で勝つのが目標にはなるんですけど、結局勝つよりも自分が納得できるかどうかに目を向けている部分があって。

ギネス記録を取っても、練習のときより結果が出ていないのであまり納得できていないですし。なので、結果よりも自分が納得できる演技をしていきたいな、と思っています。

今、書道もやっているんですが、書道って自分がどれだけ努力して納得できるか、じゃないですか? 中途半端になるのだけは好きじゃないので、好きなことをやっているわけだから、自分が納得するまでちゃんとやりたい、というのが今の目標です!

キュートな女子高生があの競技のギネス記録保持者! "インドアスカイダイビング"って何?

河野冬妃(こうの・ふゆき)
2008年1月29日生まれ 東京都出身
〇小学校低学年でインドアスカイダイビングをはじめ、
13歳にして2つのギネス記録を達成。
現在はレーシングカートドライバーとしても活動しており、
大会での優勝経験もあるスーパー女子高生。
公式Instagram【@fuyuki.kono】

撮影/藤木裕之

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