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「正常位は、極めたら無音になるのかもしれない」と語るラランド・ニシダさん

小説家としても活躍しているお笑い芸人・ニシダ(ラランド)が、ファンの方々とただただセックスの話をしていくシリーズ連載「ラランド・ニシダと『みんなのセックス大全!』」

特にお悩みには答えないし、何かしらの答えも出さないし、ジャッジもしません。

ただただ、セックスの、話を、していきます。

* * *

【No.04】

――『みんなのセックス大全!』、ふたり目のゲストは会社員のJさん。ニシダさんと同じ30代の男性です。

Jさん よろしくお願いします! いつもラジオ聞いてます!

ニシダ ありがとうございます!

――Jさんはニシダさんと話してみたいテーマがあるそうです。

ニシダ なんでしょう?

Jさん 僕が話したいのは「男性はセックスをどこで学ぶのか」っていうテーマなんですけど。

ニシダ よく話題になりますよね。

Jさん はい。なんか僕らの情報源って限られている気がしていて。というのも、童貞時代ってAVがすべてじゃないですか。

ニシダ そうですねえ。性教育でも、行為そのものはほぼ掘り下げられないですもんね。

Jさん 僕はたまたまセックスの師匠がいたので、その人から行為の極意は叩きこまれたんですけど、プレイの技術は教えてもらったりしてなくて。

ニシダ セックスの師匠。

Jさん 大学時代の音楽サークルの先生です。かなり高齢のプロの音楽家なんですけど、お酒が大好きで、一緒に飲みに行くといろんな格言を教えてくれて。

ニシダ 行為の極意、というのは?

Jさん まず一番念頭に置くべきは「自分がイこうと思うな」......みたいな。

ニシダ なんかちょっといいセリフかもな。

Jさん 要は自分ばかり気持ちよくなろうと思うな、と。「俺クラスになると、自分よりも相手をとにかく気持ちよくさせることしか考えていない」みたいなことを言っていて、なるほどな、と。

ニシダ まあ、悪いことじゃないですもんね。

Jさん ほかにも、「デートに行ったとき対面で座るのはNG。カウンターのある店に行け」とか「お店を出たら既に雰囲気づくりが始まっている」とか「ラブホテルの部屋に入ったら、ドアがバタンと閉まった瞬間にチューしろ」とか。

ニシダ けっこうなプレイボーイっぷりですね。

Jさん 「バタンチュー」っていうんですけど。

ニシダ そんな「バタンキュー」みたいに。

【性の対談連載:ラランド・ニシダと『みんなのセックス大全!』】「正常位は、極めたら無音になるのかもしれない」
ラランド・ニシダさんと対談相手のJさん(30代、男性)

ラランド・ニシダさんと対談相手のJさん(30代、男性)

Jさん 最初は「男性目線すぎるんじゃないかな」「女性はそれうれしいのかな」って半信半疑だったんですけど、実践してみたらどうも正しいらしいぞ、と。

それで「師匠」と呼ぶようになったんですけど、行為そのものに関しては実戦のみ、という感じで。

ニシダ なるほど。今思ったんですけど、男性ってプレイの技術を教えてもらう機会ってないですよね。

Jさん そうなんです。

ニシダ いきなりぶっつけ本番で「じゃあ、やってみましょう!」みたいな。

Jさん どこが何かもよく知らないのに。

ニシダ 最初から経験豊富な人が相手なら手ほどきを受けたり、教えてもらったりみたいなのはあるかもしれないけど、基本的にはAVでなんとなく知るか、クラスにひとりはいるエロ博士が教えてくれるか......。

Jさん あのエロ博士も、どこで情報を仕入れてるんですかね。

ニシダ わからない。しかも、エロ博士って大体あんまり経験のなさそうなやつがなっているイメージもあるし。

Jさん あれも頭でっかちな人なんでしょうね。体験からというよりかは。

ニシダ 理論派のパターンですよね、どっちかっていうと。

Jさん これはその後の実戦を経て学び得たことなんですけど、AVみたいな演出的なピストンって人によっては気持ちよくないらしいんですよね。

ニシダ ほう。

Jさん 普通は、挿れて、ピストンするものって思うじゃないですか。

ニシダ まあ前後運動ですよね。

Jさん AVもそうしているしって思って、挿入中、ピストンをしっかりやってたんです。なのに、ずっと正常位で相手をイかせられなくて。

それであるとき、4人目くらいの相手と行為に至りまして。それが大学の先輩だったんですけど。

ニシダ もうなんかエッチですね。

Jさん その人に、「奥まで押し付けて、そのままちょっとだけ腰を動かすくらいが一番いいよ」って教えてもらったんです。

ニシダ なるほど。

Jさん 「そうなんだ!」と思って、その後、ほかの人にやってみても反応が良くて。

ニシダ 激しい前後運動じゃなくて、奥まで挿れたら小刻みで動き、みたいなことですか?

Jさん 先っちょがこう、上下するみたいな感じの腰の動きですね。

ニシダ なるほどなるほど。

Jさん もちろん個人差や好みもあるんでしょうけど、正常位でやるときにはそれが一番多くの人が喜んでくれて。

じゃあ、今まで教科書だと思っていた、AVでやっている激しいピストンと激しい喘ぎ声ってなんだったんだろうっていう。

ニシダ やっぱりAVは視覚的にも聴覚的にも派手だと見ている側はうれしいっていうやつなんですかね。アクションが大きくないと意味わからないですもんね、映像作品として。

Jさん 奥に挿入してちょっと動くってほとんど音しないですしね。

ニシダ ちゃんとした正常位というか、お互いを高め合う本当の正常位を研究しつくしたら、無音なのかもしれない。

Jさん 思ってみれば、騎乗位のときに「気持ちいいようにやってみて」って言って、M字杭打ちピストンみたいなことする人っていないですもんね(笑)。

ニシダ 確かに。あの僕、動物の交尾の映像めっちゃ見るんですけど。

Jさん え、なんでですか?

ニシダ 競馬が好きだから馬の交尾とか見るんです。

Jさん びっくりした。はい。

ニシダ 思えば馬もそんなにはピストンしないかもしれない。

Jさん そうなんだ。

ニシダ だから実は人間本来のプリミティブなセックスは音を立ててやるものじゃないかもしれないのかもなと。

Jさん 全部の動物のセックスを見ていったら、人間のが一番激しかったっていう可能性もありますね(笑)。

ニシダ 可能性ありますよね。派手なセックスってどこから始まってるんだろうな。

――次回も引き続きJさんと「男性はセックスをどこで学ぶのか」について話していきます。

* * *

ニシダ(ラランド) 
1994年7月24日生まれ、山口県宇部市出身。2014年、サーヤとともにお笑いコンビ「ラランド」を結成。著作に小説集『不器用で』『ただ君に幸あらんことを』(いずれも角川書店)がある

撮影/鈴木大喜

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