日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。痛みを感じない男が奮闘する、"痛々しい"アクションコメディ!* * *『Mr.ノボカイン』
評点:★2点(5点満点)

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©2025 PARAMOUNT PICTURES.

「痛みを感じない」のを笑えない理由

スパイや特殊部隊員など、超人的な身体能力や問題解決能力を誇るヒーローはアクション映画の定番だが、一方でごく普通の、「市井の人」が意外な活躍をみせるパターンもよくある。

その場合、TVゲームがうまいとか、反射神経だけは優れているとか、そういうちょっとした得意技が「武器」として活かされることになる。

本作の「ヒーロー」は物静かな銀行員の青年だが、彼の武器は「痛みを一切感じない」というところにある。刃物で刺されようが、高温の油に手を突っ込もうが、まったく痛みを感じないのである。

かくして強盗に人質としてさらわれた彼女を救うべく、「痛みを感じない男」の血まみれの死闘が始まるわけだが、映画の冒頭で語られるとおり、彼が痛みを感じないのは先天性無痛無汗症という疾患によるものだ。

この病気が深刻なのは、痛みを感じないため知らないうちにさまざまな怪我をしてしまうことで、関節や骨を繰り返し損傷し、どんどん悪化してしまうこともある。

本作はゴアもたっぷりで、過剰なバイオレンスをギャグとして描く場面も多いが、さすがにちょっと悪ノリが過ぎる感は否めない。「設定」の扱いが雑すぎて素直に楽しみづらくなっている。

STORY:生まれつきどんな痛みも感じない体を持つネイトは、気弱で真面目な銀行員としてごく普通の人生を歩んでいる。ある日、大切な恋人が銀行強盗の人質にとられ、ネイトは痛みを感じない体を生かして彼女を助け出そうとするが......

監督:ダン・バーク&ロバート・オルセン
出演:ジャック・クエイド、アンバー・ミッドサンダー、レイ・ニコルソンほか
上映時間:110分

全国公開中

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