欧州サッカーの新シーズン開幕に向けて、あまたの日本人選手たちに移籍のウワサが飛び交っている。来年6月に開催される北中米W杯での優勝を公言する日本代表戦士たちの新天地はどこになるのか!?
※情報はすべて日本時間6月24日時点
* * *
■W杯まであと1年...。森保ジャパン海外組、若手有望株の移籍クラブとは?
欧州サッカーの新シーズン(2025-26)開幕まで約1ヵ月半。森保ジャパンの絶対的存在から若手有望株まで、日本人選手が一斉に新天地へ向かう動きを見せているが、いったいどの選手がどのクラブへとステップアップするのだろうか?
ドイツ・ブンデスリーガを中心に欧州サッカーに精通するスポーツライターのミムラユウスケ氏、世界的サッカージャーナリストのファブリツィオ・ロマーノになぞらえた〝カキーノ〟の愛称で知られるスポーツニッポン記者の垣内一之氏に話を聞いた。
三笘 薫 ブライトン→バイエルン? 「本拠地がハイブリッド芝のバイエルンは、今季ケガ人が続出。腰に問題を抱える三笘選手にはあまりオススメできない」(ミムラ氏)
まずは、今季、イングランド・プレミアリーグで日本人初となる2桁得点を記録した三笘 薫。現時点で獲得の意思を示すクラブはどこなのか?
「個人的にはバイエルン移籍に近づいていると思います。もともと獲得を狙っていたニコ・ウィリアムズ(アスレチック・ビルバオ)がバルセロナ移籍へと傾いており、コーディ・ガクポ(リバプール)やラファエル・レオン(ACミラン)らと共に候補に挙がっています。
今のところ、プレミア上位クラブの第1候補ではありませんが、今後、玉突きでオファーが舞い込む可能性もあります」(垣内氏)

冨安健洋 アーセナル→セリエA名門? 右膝手術の影響で今季出場時間はわずか5分。「コンディション的には過去イチでフィーリングがいいとのこと。本人も出場機会を求めているようです」(垣内氏)
今年2月に自身2度目となる右膝の手術を受け、今季はわずか5分のみの出場に終わった冨安健洋はどうか?
「まずはチームに合流してコンディションを上げることが第一。アーセナルとの契約期間が残り1年なので、プレシーズンに高いレベルでプレーできることを証明できれば、クラブも放出を考えるかもしれません。
動きがあるとしても、マーケットが閉まる8月末頃になるでしょう。かつてプレーしたイタリアでは依然として注目度が高いです」

堂安 律 フライブルク→フランクフルト? 今季はキャリアハイの活躍を見せ、バイエルンやドルトムントからも関心を持たれる存在に。
ドイツで評価を高め、今夏の移籍が確実視されている堂安 律と板倉 滉。オランダ・フローニンゲン時代のチームメイトであり、公私共に仲の良いふたりだが、フランクフルトで再びチームメイトになる可能性も高まっているという。

板倉 滉 ボルシアMG→フランクフルト? 堂安と同様、バイエルンやドルトムントからも関心を寄せられる日本代表のDFリーダー。「主力DFの動向次第でフランクフルトとの交渉が進展していきそうです」(ミムラ氏)
「フランクフルトは昨冬から堂安選手に興味を持っていました。来季はCLにも出場しますし、将来的なステップアップ移籍も後押ししてくれるクラブなので申し分ない。板倉選手も決定的という報道が出ていましたが、主力DFの動向次第で交渉が進展していきそうです」(ミムラ氏)

久保建英 レアル・ソシエダ→??? 5月末にドイツの代理人事務所と新たに契約。「今夏も残留だと新事務所に一銭も入らないので、動かしたいはず」(垣内氏)
5月末にドイツの代理人事務所「Sports360」と新契約を結んだことが話題になった久保建英はどうか?
「今夏も残留すると、新たに契約した代理人事務所に一銭も入らないので、動かしたいはず。日本では『アトレティコ・マドリード待望論』もあるようですが、現地で名前はまったく挙がっておらず、その線は絶対になさそう。
移籍金も高額なので、スペイン以外のリーグでCLに出場する強豪クラブからオファーがあるかどうか」(垣内氏)

伊東純也 スタッド・ランス→リヨン? スタッド・ランスの2部降格で移籍確実。「『クラブW杯期間だけボタフォゴ(ブラジル)へ加入する』というフェイクニュースが流れました。Jクラブも狙っているようですが、さすがに行かないでしょう」(垣内氏)
フランス・リーグアンでは、今季2部降格となったスタッド・ランスの伊東純也と中村敬斗が移籍確実だ。
「伊東選手はリヨンが興味を持っているようです。

中村敬斗 スタッド・ランス→マルセイユ? 今季はキャリアハイの11ゴールを記録。「過去にはドルトムントやACミラン、ローマに興味を持たれていました。ロベルト・デ・ゼルビ監督率いるマルセイユが有力です」(垣内氏)
「2部に降格した際の移籍条項を契約書にしっかり盛り込んでいるかどうか。有名な話ですが、本田圭佑はオランダ・エールディビジのVVVフェンロ時代、2部に落ちた際の移籍条項を代理人が入れ忘れたため、翌年2部でプレーすることに。伊東選手も中村選手も、そこは問題ないと思いますが......」(ミムラ氏)

高井幸大 川崎フロンターレ→トッテナム Jリーグから史上最高額での欧州移籍が決定的。「レンタルで武者修行するのか、ビッグクラブに残って勝負するのか」(垣内氏)
最後に、昨年A代表デビューを果たした高井幸大(川崎フロンターレ)が、今夏に欧州挑戦するという。
「Jリーグ史上最高額でのプレミア名門のトッテナムへの移籍が決定的です。まずはレンタルで武者修行するのか、ビッグクラブに残って勝負するのか」(垣内氏)
来年6月開幕の北中米W杯へ向けて、来季は非常に重要なシーズンとなるが、ミムラ氏は過去の事例を踏まえて、日本人選手たちに積極的なステップアップを推奨する。
「過去にはW杯のために海外からJリーグへ戻ってきた選手もいましたが、結局、『W杯を見越して安パイな選択をしても意味がない』ということが明らかになっています。
20代の選手はいいステップを踏めれば、仮に次のW杯がダメでもその4年後、8年後にしっかりつながってくる。そういうベクトルで決断できるかどうかが大事です」
写真/時事通信社