レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
さて、今やファッションアイテム、ミュージシャンのグッズとして定番なのがシリコン製のリストバンドです。これが日本で普及したのも平成時代。その源流と言える2005年の「ホワイトバンド」を振り返ってみましょう。


LIVESTRONGのリストバンド
ホワイトバンドより先にリストバンドを販売したのは、自転車ロードレースのランス・アームストロング選手でした。
精巣がんに罹患した彼は、がん患者とその家族の支援団体であるリブストロング財団を97年に設立。04年に「LIVESTRONG」と刻印された黄色いシリコン製リストバンドをナイキとタイアップして販売します。これは、がん患者と家族を勇気づけ支援するというキャンペーン目的のものでした。


日本で販売されたホワイトバンド
その翌年、グローバルな貧困根絶キャンペーンのひとつとしてホワイトバンドプロジェクトが始動。リストバンドなど、白いものを腕に着けて「貧困の撲滅を優先課題にしてほしいという意思を示す」というテーマがありました。
日本では同年「特定非営利活動法人ほっとけない 世界のまずしさ」により、3秒に1人の子供が死んでいることを表す3つのアスタリスクが刻まれたホワイトバンドが販売されます。
中田英寿さんをはじめアスリートやアーティストなどがキャンペーンに参加。ホワイトバンドを着けて指を鳴らす映像を覚えている人も多いのではないでしょうか。
その後、ホワイトバンドを着けている人を街で見かけることも増えていきました。本家が300円のところ、刻印のないただの白いリストバンドが100円や200円で販売されることも。さらに白以外の色も販売されるようになり、ファッションアイテムとしてリストバンドを買う人も増えていったのです。


キリンのサッカー日本代表シリコンバンド

『アイドルマスター』のバンド

タワレコの「ラバーバンドコレクションタワー」。リストバンドを収納できる
今ではプロジェクトや意思表示とは関係なくいろいろなリストバンドが発売されるようになりました。しかし、そろそろ原点に立ち返ってみるのもいいかもしれません。
撮影/榊 智朗 山下メロ