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「幼少期から『女性に踏まれるのがエロい』という刷り込みがある」と語るラランド・ニシダさん

小説家としても活躍しているお笑い芸人・ニシダ(ラランド)が、ファンの方々とただただセックスの話をしていくシリーズ連載「ラランド・ニシダと『みんなのセックス大全!』」。特にお悩みには答えないし、何かしらの答えも出さないし、ジャッジもしません。

ただただ、セックスの、話を、していきます。

* * *

【No.08】

――『みんなのセックス大全!』、今回のゲストは20代男性のFさんです。

Fさん よろしくお願いします!

ニシダ こちらこそ、よろしくお願いします!

――Fさんはニシダさんと「性癖」の話がしたいそうです。

ニシダ 性癖、ですか。

Fさん はい。というのも、僕が一番好きなのが「時間停止モノ」とか「透明人間モノ」のAVで。そういう、現実世界でありえない設定に性的興奮を感じることが多いんです。

ニシダ へえ。それはなんかきっかけみたいなのがあったり?

Fさん 昔から『仮面ライダー』や『レンジャー』などの特撮モノが好きで、思い出してみると、ある作品のヒロインが怪物に襲われてピンチになるシーンを見たときに「なんかエロいな......」って感じたのが、僕の性の目覚めだったんですよね。

ニシダ なるほど。確かに性癖って、見てきたエロ漫画とかエロアニメとかのアダルトコンテンツじゃない、また別のどこかに由来してますよね。

Fさん そうなんですよ。

それ以降はずっとそういう"ファンタジーもの"というか、完全なるフィクションに興奮するようになっちゃって。

ニシダ 最初の性の目覚めって大人になっても背負っちゃうものなのかもな。僕も誰に教わったわけでもなく、「踏まれる」っていうのがすごくエロいものだという刷り込みがあって。それも、最初は子供向けのアニメとか漫画だった気がする。

Fさん エロい文脈で出てきたわけじゃなく、ワンシーンにグッときちゃった感じですよね。

ニシダ そうそう。男性が女性に踏まれて「わー!」ってなってるギャグシーンとかだったんじゃないかな。それをなんか、「これって超エロいのでは?」って思っちゃって。見る人が見たらなんでもないシーンなのに。

Fさん めっちゃわかります。僕もカスミがタケシに怒って耳を引っ張るシーンで興奮したんで。

ニシダ カスミなんだ(笑)。

でも実際、性癖ってそういう、幼少期のなんでもない体験に導かれている気もする。心はどこから来たのか、じゃないけど、性癖ってどこから形成されてるんでしょうね。生まれつきもあるのかな。

Fさん ニシダさんは今でも「踏まれる」って行為はエロい感じしますか?

ニシダ エロいとはやっぱり思う。自分がされることは基本あんまないですけど。

Fさん 例えば、バラエティ番組なんかで、芸人が四つん這いになってアイドルが踏む......みたいなノリとかでもですか?

ニシダ うん。エロい感じしますね。ちなみに、Fさんは時間停止系や透明人間系AVのどういうところが好きなんですか?

Fさん こっちの想像力にも委ねられている感じがあって好きなんですよね。そのAVを見ている間は、そのAVと同等な感覚があるんです。お互いに向き合ってるというか、戦っている感じがするというか。

ニシダ ほう?

Fさん AVって基本的に崇(あが)めるもの、自分よりも上にあるものって感覚があるんですけど、"ファンタジーもの"に限っていえば、見ている側の想像力で補って完成するから、一緒にエロを作り上げている感覚がある......みたいな。

ニシダ 見ている側のリテラシーが問われている感じがするんだ。

思えばAVって大きくふたつに分けられますよね。時間停止系とかいわゆる"ファンタジーもの"と、素人とか歯科衛生士とかリアリティ寄りのものと。Fさんはそれでいうと、後者のノンフィクションっぽい作品に関してはどう思うんですか?

Fさん そっちは、なんかもう「ありえる」って思っちゃってテンションが下がっちゃうんですよね。別に歯科衛生士をやっているからエロいって感じることはないっていうか。

ニシダ なるほど。最近、人気のエロ漫画作品がAVとコラボして実写化されたりと"ファンタジーもの"も増えている印象があるんですけど、トレンドはあるんですか?

Fさん 最近はやっぱりマインドコントロール系が来てますね。

ニシダ あー、ありますね。そういえば前にAV女優の方と仕事をしたときに、「ゾンビのAVを撮った」って話してて。「ゾンビのAV?」って思って、「なんですかそれ」って聞いたら「女性がゾンビになっちゃうけど、エッチするんです」みたいな。ちゃんと特殊メイクみたいなのしてゾンビになってエッチするんだって。

Fさん ありますあります。

ニシダ Fさんも好き?

Fさん すごくいいですね......。

それでいうと、時間停止系の亜種で、石像化っていうのもあるんですよ。

ニシダ 石像化!?(笑)

Fさん メデューサみたいな能力を持った男が、女性をどんどん石にしていくんです。

ニシダ 石......石かあ......。

【性の対談連載:ラランド・ニシダと『みんなのセックス大全!』】「幼少期から『女性に踏まれるのがエロい』という刷り込みがある」
ラランド・ニシダさんと対談相手のFさん(20代、男性)

ラランド・ニシダさんと対談相手のFさん(20代、男性)

Fさん 面白いのが、時間停止系とはちょっと違っていて、女性を少しずつ石にしていくんですよ。だんだんと体が動かせなくなっていく、みたいな。

ニシダ なるほど! 時間停止は0か100だけど、石像化って固まっていくグラデーションができるのか。

Fさん そういうことです。

ニシダ 発明ですね。なんか、時間停止ものって楽しみ方が2種類あると思っていて、Fさんみたいにその世界観に没入する人もいれば、「時間停止しているはずなのに反応しちゃっている」のを楽しむっていう派もいると思うんです。

Fさん いますね。僕としては女優の方々には、できるだけ時間停止に徹してほしい。この界隈にはやっぱり猛者もいて、時間停止ものに出演している女優の方の瞬きの回数を数えてまとめてるブロガーとかいるんですよ。

「この人は瞬きが少なくてすごくいい!」みたいな。

ニシダ えー、すごい。そっち派の人は世界観を守ってほしいんだ。そういう、オナニーのときの性癖って、現実世界のセックスに持ち込んだりするんですか?

Fさん もちろん現実は現実で、別で考えるようにはしているんですけど。

ニシダ 別で考えるようにしている(笑)。

Fさん 学生のころはちょっとしてましたね、相手にお願いを。

ニシダ どれですか?

Fさん 時間停止です。

ニシダ なんてお願いするんです?

Fさん 「僕が指を鳴らしたら止まってほしい」と。

ニシダ えええ(笑)。それ、「OK!」ってなりました? 引かれました?

Fさん 僕がその人にとっての初めての彼氏だったので、引かれたりはなかったですね。今思うと申し訳ないですが......。

ニシダ 確かに最初の相手ならわからないもんな、ノーマルなのかアブノーマルなのか。

セックスって、それまで付き合ってきた人たちとの平均値でしかないから。その人、次の人とのセックスで、「じゃあ次は時間停止する?」って言っちゃってそうだもん。

Fさん そう思います。

ニシダ それはやっぱり楽しかったですか?

Fさん いやー、本当に楽しかったですね。

ニシダ そうなんだ(笑)。まあ仲良くなりそうな感じもするもんな。カップル間での合意さえあればセックス中って意外と何してもいいですしね。それこそ、首絞めセックスって意味わかんなくないですか? 普通に考えたら、暴力だし。

Fさん 確かに。

ニシダ それもお互いがオッケーなのであればいいわけで。基本的にふたりでしかしない、プライベートなものですから。

――次回も引き続きFさんとお話していきます。

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■ニシダ(ラランド)

1994年7月24日生まれ、山口県宇部市出身。2014年、サーヤとともにお笑いコンビ「ラランド」を結成。著作に小説集『不器用で』『ただ君に幸あらんことを』(いずれも角川書店)がある

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撮影/鈴木大喜

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