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「セックスとオナニーでは

小説家としても活躍しているお笑い芸人・ニシダ(ラランド)が、ファンの方々とただただセックスの話をしていくシリーズ連載「ラランド・ニシダと『みんなのセックス大全!』」。

特にお悩みには答えないし、何かしらの答えも出さないし、ジャッジもしません。

ただただ、セックスの、話を、していきます。

* * *

【No.09】

――前回に引き続き、Fさん(20代、男性)です。Fさんはニシダさんに質問があるそうです。

ニシダ なんでしょう?

Fさん ずばり、セックスとオナニーどっちが好きですか?

ニシダ あぁ~......。

Fさん いや、そんな「良い質問した」みたいな反応されても(笑)。

ニシダ 難しい問題ですよね。やっぱり大人になってからセックスへの渇望はだいぶ減っている気はする。「こんなもんなんだろうな」っていう感じになっちゃったというか。

Fさん それでいうと、セックスを知る前のオナニーが一番"イケてた"かもしれないですね。オナニーしながら、「セックスの気持ち良さはこんなもんじゃないんだろうな......」みたいな。

ニシダ まだまだ上がある感じがしましたもんね、やっぱり。

Fさん ニシダさんは現状、どっちが好きですか?

ニシダ うーん。

セックスとオナニーで"埋まる穴"が違う感じがするから、なんとも言えないですね。

Fさん "埋まる穴"、ですか。

ニシダ そう。「性欲の解消」という面ではどっちも同じなんですけど、人とするセックスにしか埋められない穴がある。一方で、セックスでは埋められない穴がオナニーで埋められることもある。なんていうか......、シャドーボクシングのほうがカマキリとかティラノサウルスとかと戦えるじゃないですか。

Fさん 急に『刃牙』。

ニシダ そこに技の発展する余地があるっていうか。自分しかいないからこそ、無限の可能性を秘めていると思う。

Fさん なるほど。ちなみに、初めてのオナニーって覚えてます?

ニシダ 僕は教わりましたね、クラスのエロ博士に。小5か小6くらいのときかな。

Fさん それってどういう伝達方法で?

ニシダ 最初は多分そいつもよくわかってなくて、「エロい行為の中に、"オナニー"という技があるらしい」みたいな。で、やり方はおいおい共有された感じだったと思う。

Fさん 挑戦したんですか?

ニシダ そうそう。「やったろ!」っていう感じ。Fさんは?

Fさん 僕は自分でたどり着いたんですよ、オナニーに。

ニシダ すごい。たどり着けたんですね。

Fさん 小さい頃から、ブランコに乗っていると、ちんちんが硬くなってることに気付いていたんです。ズボンの隙間から入る風が、当たると気持ちよくて。それを小6かなんかのタイミングで「これ......自分で動かしたらどうなるんだろう......?」みたいな。

ニシダ はーん、なるほど。

Fさん それをやってみたら、ちんちんから明らかに尿とは違うものが出て。

「なんだこれは!?」ってなって。

ニシダ そうか、初めてはビックリするのか。

Fさん マジで何かわからなくて、怖くなって、親に相談しました。

ニシダ えっ、親に!? 父親ですか、母親ですか?

Fさん 家族会議を開いてもらいました。

ニシダ 家族会議!?(笑)どんな空気になるの、それ。

Fさん 夜、父親が仕事から帰ってきたときに集まってもらって。

ニシダ 自分で招集したんだ(笑)。

【性の対談連載:ラランド・ニシダと『みんなのセックス大全!』】「セックスとオナニーでは"埋まる穴"が違う」
ラランド・ニシダさんと対談相手のFさん(20代、男性)

ラランド・ニシダさんと対談相手のFさん(20代、男性)

Fさん はい、自分で招集しました。心配だったんで、マジで。体に異常があるなら、病院に行かなきゃいけないかもしれないって本気で思ったんで。それで説明したんですね。「こういう動きをしたら、こういうものが出て、気持ちは良かったんだけど......」って。

ニシダ 気持ちはよかったんだけど(笑)。それで、どういう反応されたんですか?

Fさん 母親は黙っちゃって。で、父親は「行為としては正しい。間違っていることじゃないけど、回数が多すぎると頭が悪くなるぞ」って。

ニシダ 迷信ではありますけどね。まあ、親御さんもそう説明するしかないか。Fさんは「頭悪くなっちゃうから控えよう」ってなったんですか?

Fさん 当時は小学6年生で、中学受験するか家族で決めかねていた時期だったんですけど、受験しないって決まってからめちゃくちゃしました。

ニシダ もうバカでいいやって(笑)。

Fさん そうです(笑)。

――ちなみにFさんはオナニーとセックスはどっちが好きですか?

Fさん 僕は、オナニーですかね。

ニシダ ほう。それはどうして?

Fさん やっぱり、自分で練習してきたものっていう自負というか、愛着なんですかね。

最初の性の入口だったし、年を取っても向き合ってる自分っていうか。セックスも楽しいけど、「自分のためにしてあげないと」って気持ちがあるというか。

ニシダ ルーティンワークでもありますもんね。自分を一定に保つための行為というか。一方で、セックスって性欲に加えて、いろんな欲求や感情が入ってくるじゃないですか。愛情だったり、独占欲だったり、経験人数を誇りに思う人だったらコレクション欲だったり。そういう意味で言うと、オナニーってピュアな性欲だけで成立するんですよね。セックスで「僕は100%性欲だけです」って臨んだら、それはそれで問題だと思うし。

Fさん 確かに。

ニシダ 僕の友人に、オナニーのときアナルに何かを入れるって人がいるんですけど、セックスのときはそれを相手に言えないらしいんですよ。入れてほしいって。アナルが一番気持ちいいけど言えないから、結局一番気持ちいいのはひとりでしてるとき......っていう。

セックスが他者とのコミュニケーションである以上、やっぱどうしても限界がありますよね。

Fさん ありますね。関係性や信頼関係、「相手からこう思われたい」っていうイメージのせいで、共有しづらい性癖もあるかもしれないですね。

――次回は引き続きFさんと「浮気」をテーマに語ります。

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ニシダ(ラランド)

1994年7月24日生まれ、山口県宇部市出身。2014年、サーヤとともにお笑いコンビ「ラランド」を結成。著作に小説集『不器用で』『ただ君に幸あらんことを』(いずれも角川書店)がある

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撮影/鈴木大喜

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