「浮気相手に『好き』と言えないなら、浮気すべきじゃない」と語るラランド・ニシダさん
小説家としても活躍しているお笑い芸人・ニシダ(ラランド)が、ファンの方々とただただセックスの話をしていくシリーズ連載「ラランド・ニシダと『みんなのセックス大全!』」。
特にお悩みには答えないし、何かしらの答えも出さないし、ジャッジもしません。
* * *
【No.10】
――前回、前々回に引き続き、Fさん(20代、男性)。今回のテーマは「浮気」です。
Fさん かなり前の話なんですけど、仕事で地方に飛ばされてたことがあって。
ニシダ はいはい。
Fさん その間、若気の至りでふたりの女性と同時に付き合ってたんです。赴任の期間が決まっていたので、戻るタイミングで別れればいいかな、みたいな感じで。その期間さえ乗り切れば大丈夫だろうと思って。
ニシダ なるほど。
Fさん 社宅みたいなところに住んでたんですけど、午前中にひとりが着て、午後にもうひとりが来る、みたいな日もありました。
ニシダ え、同じ日に?
Fさん はい。
ニシダ それ、ふたり目にバレません?
Fさん 3時間くらい間が空いていたので、ひとり目が帰ったあと、家をめっちゃコロコロして、ファブリーズもかけまくってました。
ニシダ それは、午前も午後もセックスしてる?
Fさん はい。
ニシダ すごい、ダブルヘッダーだ。浮気するのって体力もいるんでしょうね。
Fさん だからAV見ながらコロコロしてました。ちょっと溜めとく、みたいな。
ニシダ アップみたいな時間なんだ(笑)。まあ、バレてないのであれば誰も傷つけていないのかな。
Fさん 最後は別れましたし、相手にはつらい思いをさせたとは思いますが......。
――そんなFさんは、「浮気」に関してニシダさんに聞きたいことがあるそうです。
Fさん 浮気相手やワンナイトの相手にも「好き」って言うんですけど、これを友人に話したらドン引かれたんです。「好き」ってそんなにダメなんですか?
ニシダ うわ~......。まあ、大前提として「好き」って言わないのはリスクヘッジの意味合いが強いですよね。
Fさん あー、なるほど。
ニシダ でも、本当に「好き」って思ったら、言っていいとも思う。ただ、思わず出ちゃった「好き」ならいいけど、雰囲気を盛り上げるためのリップサービスとしての「好き」は誠実じゃない気がしますね。
Fさん 僕の場合、半分本音で、半分は雰囲気だったかもしれないです。愛おしく見える瞬間があって、つい「好き」って言いたくなるんですよね。自分のしていることは過ちだっていうのはわかってても、その場ではそれが本番だから。
ニシダ なるほど。浮気してるときって、やっぱり心の揺らぎが出ると思うんですよ。本命の恋人の顔がよぎる瞬間とかもあるはずで。そんなときに「好き」って言うのはちょっと違う気がしますよね。とはいえ「もう浮気はしているのになんでそこだけ誠意を見せたいの?」とも思う。
Fさん 確かに(笑)。
ニシダ だって意味わからないじゃないですか。もう罪を犯してるのに、「俺、魂までは売ってないっすから!」って言い訳してるみたいな。それってめっちゃ器が小さいなって。昔の大俳優とかだったら、Fさんみたいに「今はこの場がステージだから」って思って「好き」って言ってそうだし。浮気しているのに逃げ道を作るのって一層ダサいと思う。だから「好き」って言えないならすべきじゃないし、言えるなら言えばいいんじゃないかとも思いますね。
――もうこすられ尽くされたテーマですが、ニシダさんはどこからが浮気だと思いますか?
ニシダ 正直に言うと、自分でするときと相手にされたときで線引きが違うというか。
Fさん 正直すぎますって(笑)。そりゃあそうですけど。
ニシダ する場合とされる場合で明確に違うルールを適用してしまうのが人間だと思う。する場合でいえば、「好き」って言ってないから魂は売り渡してませんよ、みたいなのをラインにしようとしちゃうけど、恋人が異性とご飯行くってなったら浮気だと思っちゃうみたいな。
Fさん いや、すごいわかります。
ニシダ この話題になると、毎回サッカーの話をするんですけど。
Fさん サッカー?
ニシダ こっちは点を取りたいけど、点は取られたくないじゃないですか。「相手も自分も点を取るべき」とか「相手も自分も点は取らないべき」とかじゃなくて、自分は得点したいけど相手の得点はイヤ、っていう。
Fさん ......なんでパートナー、敵チームなんですか?(笑)
ニシダ いや、確かに(笑)。
Fさん 本来、味方なはずじゃないですか(笑)。
ニシダ まあ、つまり僕が言いたいのは、浮気のラインの話になると、皆で一本のラインしか設定しないけど、複数のラインを設定するべきなんじゃないかなってことです。ラインってひとつじゃないと思うし。Fさんのラインはどこなんですか?
Fさん 正直、恋人がほかの人とキスしようが、キス以上のことをしようが感情は動かないですね。
ニシダ ええ、そうなんだ。それも珍しい気がするけど。
Fさん セックスしたところでレベルアップしてすごい人間が変わるかっていったら何も変わらないし。逆に、挿入させたからって何か変わるわけでもないし。だから、浮気のラインの話は僕もよくわかってないんですよね。僕自身が変なんだろうとは思うんですけど。
ニシダ そもそも恋人だからってどこまで縛っていいのかって、意外とルールとして明文化されてないですよね。AV見るのすらイヤって人もいれば、風俗OKって人もいるし。
Fさん うんうん。
ニシダ そもそも他者の体を好きに縛りつけていいのかっていう。身体的な関係を契約で制限してるわけでもないし、どこまでがOKかって本当に人によるし。
Fさん そうですね。
ニシダ 個人的には、彼氏が風俗行ってたら、「うちの彼氏、お金を払わないと女性と遊べないランクなの?」ってなりそうだけど。
Fさん 逆に、浮気できるってことは魅力があるっていう見方もできますよね。
ニシダ そうそう。そういう価値観の社会もありえたかもしれないからね。
Fさん ですね。
ニシダ まあ、浮気しない人がベストなんでしょうけど......。
Fさん それはそうなんですよね......。
――最後に恒例の質問です。Fさんがご自身のセックスに取り入れているテクニックってありますか?
Fさん テクニック......。
ニシダ 「これをやると喜ばれますよ」的なやつです。
Fさん 僕は耳を舐められるのも舐めるのも好きなんで、耳を舐めながらこう、左手で、乳首をいじる、みたいな。

ラランド・ニシダさんと対談相手のFさん(20代、男性)
ニシダ あー......。なんか今、測らずも結婚指輪が見えて複雑な気持ちになりましたね。結婚してるんかい!
Fさん はい、結婚しているんですよ......(笑)。お話できてよかったです。ありがとうございました!
ニシダ こちらこそ、ありがとうございました!
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■ニシダ(ラランド)
1994年7月24日生まれ、山口県宇部市出身。2014年、サーヤとともにお笑いコンビ「ラランド」を結成。著書に小説集『不器用で』『ただ君に幸あらんことを』(いずれも角川書店)
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撮影/鈴木大喜