インフレ&円安な今、高額当せんしたらどうしたらいいの? お金のプロと真剣に妄想する!
物価は高いし、円は安いし、賃金は横這い――。そんな現実を吹き飛ばす、7億円の話をしよう。
■株か、不動産か、暗号資産か?
今年もサマージャンボ宝くじの季節がやって来た! 1等は前後賞合わせて7億円。「そんな巨額が手に入ったら何しようか......」と妄想しちゃうのが人間の性(さが)だが、仮に当せんしても「散財してたら、いつの間にかなくなっちゃった!」なんてことにもなりかねない。
そこで、サマージャンボで7億円が当たった場合の使い方を、4人のお金のプロに考えてもらった!
まずは小型株投資家の中野勘十さん。7億円が当せんしたらどうしますか?
「考慮しなければならないのは、今がインフレ時代だということ。つまり、現金で保有しておくだけでは資産を減らすだけですから、常時運用させることが鉄則でしょう。
その投資先ですが、円安を考慮して、海外展開に注目して選ぶのが吉です。私なら、日本株では中古品の買い取り・販売をしているセカンドストリートを運営するゲオホールディングスの株を買います。
現状のゲオの利益率の低さは海外展開の攻めの投資姿勢の裏返しであり、成長加速の〝前夜〟とも言える状況にあると見ています。
飲食分野では、3度目となるサブウェイ日本事業の再進出に注目です。2024年秋にワタミが権利を取得してから再起を図っており、これまでとは異なるデジタル技術の活用による日本型のフランチャイズモデルの可能性を見込んでいます。
再評価が進む今こそ、巻き返しを狙うサブウェイは仕込みどきのブランドと言えるでしょう」

発売期間は8月11日(月)まで。抽せん日は21日(木)
続いて、FXトレーダーで経営者、美術家の加藤雄太さん。
「私はドローン関連企業にも投資していますが、軍需株でいえばパランティア・テクノロジーズ(米軍向けAI分析を手がけるIT企業)を特に推します。
また、日本に住み続けるなら災害は避けて通れません。特に南海トラフ巨大地震などに備えてシミュレーションしておくことは重要です。天災などの有事の際は、建設業関連株が跳ねたりしますから。
とはいえ、基本的に円安モードが続くはずなので、市場がパニックになって円高になったタイミングが絶好の買いどきかもしれません」
7億円もあれば投資先は選び放題だろう。それこそ、日本株の配当と優待を活用したつつましい生活を送ることだって可能だ。ファイナンシャルプランナーの村上賢さんは超堅実なプランを提案する。
「例えば、7億円のうちの2億円を投資して2%の配当を得るだけで、年間約400万円分が得られ、さらに株主優待までゲットできます。BtoCの個別株を選べば、飲食、移動、宿泊など、さまざまなサービスを享受できます。
もちろん優待は廃止リスクもありますが、経営姿勢を見極める目を養う意味でも、株主総会に足を運ぶことにも価値があります。大損をしないためにも、まずは投資に興味を持つところから始めるのも手だと思います」
では、株ではなく不動産投資でいえばどうだろうか。
「不動産では、愛知県豊橋市や静岡県掛川市など、地方都市の新幹線停車駅周辺が狙い目です。その中でも、駅前再開発の計画が進行中、あるいは準備段階にあるエリア。
老朽化したビルや空き地をあらかじめ買い占め、再開発が本格化するタイミングで売却や賃貸へと切り替えることで、資産価値の上昇を取り込むことができます。
少子高齢化が進む中、地方都市でもスマートシティ化の流れは加速しており、再開発が決まっている駅前の一等地を押さえておけば、将来的に大きなリターンが見込めるかもしれません」(前出・小型株投資家、中野さん)
続いて、アートコレクターで不動産オーナーでもある西本勇仁さんは、管理のしやすい不動産運用をオススメする。
「学生向けの賃貸マンションは不動産投資の中でも群を抜いて安定感があります。というのも、学生入居者は4~6年ごとに入れ替わるため、修繕や内装リフォームのサイクルが読みやすく、空室リスクが小さいのが魅力。
最近は家賃の値上げ交渉も話題になっていますが、入居者の家賃は親が支払っているケースが多いので、交渉も比較的しやすいというのも特長です」
不動産を検討する場合は「新幹線停車駅周辺」で「再開発の計画が進行中」の「大学の近く」で探せば手堅い投資になりそうだ!
とはいっても、7億円ですよ、7億円。もっと冒険してもいいんじゃないかと思うんですけど!
「もし、リスクを取ってでも増やしたいのであれば、私が推したいのは写真のアート市場。市場としてはまだ未成熟ですが、だからこそ1億円ほど投じれば一流の有名作家の一点物をいくつも入手できる。
ドイツの写真家、アンドレアス・グルスキー氏の作品のように、将来何倍にも価格が上がる作品もあるので、現時点で国際的に評価の高い写真家の作品を入手しておくのはいかがでしょうか」(前出・アートコレクター西本さん)
ほかにはこんな意見も。
「7億円を失ってもいいという気持ちがあるのであれば、暗号資産にするのもアリ。保険として2億~3億円は都心のタワーマンションに投資して、20%(1.4億円)を仮想通貨にするのも手です」(前出・ファイナンシャルプランナー村上さん)
さて、資産を増やすことばかり妄想してきてしまったが、資産を相続することも妄想しなければならない。
「億を保有する資産家になるわけですから、やはり次の世代へ引き継ぐことも考えなければなりません。米ドル建て債券や外貨建て一時払い保険を中心に構成し、死亡保険金まで考えられた商品を活用して、資産承継対策まで見据えるのも重要です。
また、大きな下落相場などの好機が到来したら投資するために、少し資金も残しておくのもいいでしょう」
ここまで7億円の妄想を膨らませてきたが、果たして本当にこんなに冷静な判断ができるだろうか。ファイナンシャルプランナーの村上さんは、メンタルも重要だと話す。
「ある日、いきなり7億円を手にしてしまったときを想像してください。確実に周囲の反応も変わっていくはずです。だからこそ、お金よりも大切なのは人間関係と健康、そしてメンタルの安定です。そのためにお金のプロやメンタルコーチに相談することも検討してください」
まあ、すべて当たったらの話ですけどね。当せんした方はぜひ参考にしてください!
取材・文/鈴木林太郎 イラスト・写真/Adobe Stock