展示もレースも激アツのサーキットで特攻取材! 鈴鹿8耐202...の画像はこちら >>

ホンダは今季もワークス体制で鈴鹿8耐に参戦。開幕直前、選手の負傷により2人態勢を強いられる事態になったのだが――

8月1~3日に開催された第46回鈴鹿8時間耐久ロードレースには3日間で6万1500人が来場し、猛暑の中で熱狂した。

実は今回の鈴鹿は、展示なども超絶進化していたというのだ。現地を徹底取材したモーターサイクルジャーナリスト・青木タカオ氏が、新時代の祭典を熱く語る!

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■猛暑の影響で、路面温度は65℃!

青木 真夏のバイクの祭典「鈴鹿8耐」(2025 FIM世界耐久選手権〝コカ・コーラ〟鈴鹿8時間耐久ロードレース)の第46回大会が、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催されました!

――現地取材されたわけですが、いかがでした?

青木 今年は例年以上の猛暑。気温36℃、路面温度はなんと65℃という過酷なコンディションの中、午前11時30分から午後7時30分までの8時間耐久レースがスタートしました。最も多く周回したチームが優勝となるこのレース、ホンダHRCが217周を走破し、見事4連覇を達成。通算31回目の優勝です。

――ホンダ、圧巻ですね。

青木 しかも今回は、高橋 巧選手とヨハン・ザルコ選手の2人態勢で完走。通常は3人で走るところを、ふたりだけで走り切ったんです。ファンの間では、涙を流すほどの感動が広がりました。

展示もレースも激アツのサーキットで特攻取材! 鈴鹿8耐2025で見えたホンダ・ヤマハ・スズキ"バイクの底力"
第46回鈴鹿8耐でホンダHRCが優勝。高橋 巧は通算7勝目を挙げ、鈴鹿最多勝記録を更新!!

第46回鈴鹿8耐でホンダHRCが優勝。高橋 巧は通算7勝目を挙げ、鈴鹿最多勝記録を更新!!

――なぜ3人目が不在だったのでしょうか?

青木 本来3人目として予定されていたイケル・レクオーナ選手が、スーパーバイク世界選手権(第8戦・ハンガリー)で多重クラッシュに巻き込まれ、左手首を骨折。代役としてチャビ・ビエルゲ選手が発表されましたが、手続き上の問題で参戦できず、急遽2人態勢となったのです。

――それでもホンダHRCが勝てた理由はどこに?

青木 熱中症や脱水症状のリスクと闘いながらの長丁場。1時間ごとのピットインでは、ライダー交代・給油・タイヤ交換が行なわれますが、ホンダHRCはこのピット作業が全チーム中最速。松原輝明監督は「チームワークの神髄」と語っていました。

――マシンの性能もスゴい?

青木 もちろんです。CBR1000RR-Rを駆るザルコ選手は、決勝前日のトップ10トライアルで2分04秒290を記録し、ポールポジションを獲得。スタートライダーの高橋選手はレース中盤で2位に1周差をつける快走を見せました。ちなみにザルコ選手はレース後、「もう2人態勢では走りたくない」と語るほどの疲労ぶりでした。

――2位は?

青木 ヤマハが同じ217周を走破しましたが、34秒243差で2位に。中須賀克行選手、ジャック・ミラー選手、アンドレア・ロカテッリ選手の盤石の布陣で臨み、ロカテッリ選手が190周目に記録した2分06秒604は、レース中のベストラップでした。

――レース以外も盛り上がったとか?

青木 今年の来場者数は3日間で合計6万1500人でした。前年比約5500人増で、人気は回復傾向にあり、会場は活気に満ちていました。鈴鹿市民応援席の新設に加え、16~23歳の若者を対象にした特別招待チケット「ZERO円パス」も話題に。

レース観戦はもちろん、アトラクションやプール、音楽フェスまで無料で楽しめるこの施策が、若年層の来場を後押ししました。

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ホンダがポケモンのコライドンを実物大で再現。鈴鹿サーキットで自律走行を世界初公開して話題を集めた

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――展示も話題だったとか?

青木 決勝前には「ホンダコライドン」がコース上に登場。ゲーム『ポケモン』に登場する乗用ポケモンを、ほぼ原寸大で再現したもので、ホンダの各部署から集まった約40人が製作。自立バイクやアシモの技術も盛り込まれています。

展示もレースも激アツのサーキットで特攻取材! 鈴鹿8耐2025で見えたホンダ・ヤマハ・スズキ"バイクの底力"
ホンダブースではCBR1000RR-Rのハングオン体験も

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「CB1000Fコンセプト」などを初公開。またがり&エンジン始動にファンは歓喜

「CB1000Fコンセプト」などを初公開。またがり&エンジン始動にファンは歓喜

――展示ブースの様子は?

青木 まるでモーターサイクルショーのようなにぎわいでした。ホンダは「CB1000Fコンセプト」と「CB1000F SEコンセプト」を初公開。エンジン始動体験までできる大盤振る舞いで、長蛇の列ができました。

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今年、創立70周年を迎えたヤマハ。赤×白がまぶしい伝説のマシンをご開帳

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――ヤマハは?

青木 歴代の鈴鹿8耐マシンがズラリと並ぶ圧巻の展示に、ファンは思わず感涙。そして注目の最新モデル、YZF-R9は、発売前にもかかわらずまたがりOKという気前の良さ! ヤマハの本気が伝わるブースに、来場者の熱視線が集まりました。

――スズキはどうでした?

青木 GSX-8T、GSX-8TT、そしてGSX-Rシリーズ40周年記念モデルとなるGSX-R1000Rを初披露。こちらもまたがりOKで、ファンの視線をくぎづけにしました。

ちなみに今回のレースは、社員で構成されたチームスズキCNチャレンジで参戦。昨年は40%バイオ燃料でしたが、今年はついに100%サステナブル燃料を導入。102周目に転倒するも、約1時間でマシンを修復し、見事33位で完走しました。鈴木俊宏社長は、「トラブルがチームをひとつにまとめた」と社員たちをたたえていました。

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スズキが電動バイクをサプライズ公開。ベースは折り畳み式のモペット「e-PO」

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――スズキには隠し玉もあったそうですね?

青木 ファンの注目を集めたのが「CNチャレンジ ミニ」です。電動折り畳みモペット「e-PO」は、GSX-R風のデザインでファンの心を直撃! 開発責任者の神谷洋三氏は、「1000台受注があれば発売を考える」と語ってくれました。

――では、最後に総括を!

青木 灼熱の中、サーキットでも展示でも熱いバトルが繰り広げられた鈴鹿8耐。バイクブーム再来の予感が漂う盛り上がりでした。近い将来、来場者10万人も夢ではありません!

写真/ホンダモーターサイクルジャパン 撮影/青木タカオ 柴田直行

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