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報道陣向けに開催された新型ルークスの試乗会。会場は、日産の追浜工場に隣接する先進技術開発拠点「グランドライブ」。
実際の道路環境を再現したテストコースで、最新技術と走行性能をじっくり取材できた

"再建の切り札"は見た目も走りも激変の軽スーパーハイトワゴン!? 日産4代目「ルークス」がフルチェンで大勝負!

経営再建中の日産が、軽スーパーハイトワゴン・ルークスを4代目へとフルモデルチェンジ! 見た目も走りもガッツリ進化ってマジ!? 崖っぷちからの反撃となるのか? 自動車研究家・山本シンヤが、先行試乗&徹底取材でその進化をチェックした!

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■軽自動車の枠を超えた完成度!?

――8月22日に、日産の軽スーパーハイトワゴン・ルークスがフルモデルチェンジしました。

山本 はい。日産の軽自動車にはデイズもありますが、人気のスーパーハイト系であるルークスが先に新型となりました。テストコースで試乗しましたが、非常に完成度の高い仕上がりです。

――まずはルークスの歴史から教えてください。

山本 初代(2009~13年)はスズキからのOEM供給モデルでした。2代目(14~20年)は日産と三菱の合弁会社「NMKV」が企画・開発を担当し、三菱が生産。車名はデイズ ルークスでした。

現行の3代目は20年に登場し、設計は日産オートモーティブテクノロジーが担当。車名も再びルークスに戻りました。兄弟車は三菱のデリカミニになります。

――ルークスの累計販売台数はどんな感じなんですか?

山本 約41万台です。

――ライバル車は?

山本 ホンダ・N-BOX、スズキ・スペーシア、ダイハツ・タントの3車が直接の競合になります。

"再建の切り札"は見た目も走りも激変の軽スーパーハイトワゴン!? 日産4代目「ルークス」がフルチェンで大勝負!
外観は洗練された印象。運転席に座ると、広々とした視界が広がり、安心してドライビングできる

外観は洗練された印象。運転席に座ると、広々とした視界が広がり、安心してドライビングできる

――その競合に新型ルークスが挑むわけですね。実際に見て、触れて、乗ってみた感想はいかがでしたか?

山本 率直に言って、軽自動車の枠を超えた完成度です。

――具体的に言うと?

山本 外観は、〝かどまる四角〟というコンセプトで、軽規格の中で最大限のスペースが表現されています。どこか日産の名車キューブを思わせる親しみやすいデザインです。ボディカラーも豊富で、特にツートンカラーの塗り分けが魅力的です。

――ノーマルとハイウェイスターの2タイプが用意されていますが、ハイウェイスターは従来モデルと違いますね。

山本 ハイウェイスターはカスタム系ですが、ライバル車のような派手なメッキや押し出し感ではなく、控えめで洗練された新しい提案です。

"再建の切り札"は見た目も走りも激変の軽スーパーハイトワゴン!? 日産4代目「ルークス」がフルチェンで大勝負!
運転席に滑り込むと目に飛び込むのが大型ディスプレー。メーターが7インチ、中央が12.3インチ!!

運転席に滑り込むと目に飛び込むのが大型ディスプレー。メーターが7インチ、中央が12.3インチ!!

"再建の切り札"は見た目も走りも激変の軽スーパーハイトワゴン!? 日産4代目「ルークス」がフルチェンで大勝負!
注目は収納力の高さ。助手席前には、ティッシュボックスもすっぽり収まる。超便利

注目は収納力の高さ。助手席前には、ティッシュボックスもすっぽり収まる。
超便利

――インテリアは?

山本 クラストップの室内長に加え、外観と同じ〝かどまる四角〟がコンセプトで、リビングのようなすっきりした空間に仕上がっています。大型ディスプレーやファブリック巻きのインパネ、本革以上の手触りのステアリングなど、上級モデルのノートと比べても遜色がない質感となっています。

――走りの性能は?

山本 パワートレインはNA(自然吸気)とターボの2種類。マイルドハイブリッドは廃止され、ガソリン車のみとなりました。費用対効果を考えた結果でしょう。

エンジンとトランスミッションは最適化され、3種類のドライブモードも搭載。静粛性にもこだわり、遮音ガラスや吸音材、シーリングの工夫で、軽自動車トップクラスの静かさを実現しています。

"再建の切り札"は見た目も走りも激変の軽スーパーハイトワゴン!? 日産4代目「ルークス」がフルチェンで大勝負!
荷室の広さに加え、後席のロングスライドで多彩なシートアレンジも可能

荷室の広さに加え、後席のロングスライドで多彩なシートアレンジも可能

――フットワークは?

山本 現行モデルも優秀でしたが、新型はそれを上回ります。スーパーハイト系は走行安定性と快適性の両立が難しいのですが、新型はデイズと錯覚するほど安定した走りと快適性を誇ります。

――安定した走りの背景には何があるんでしょうか?

山本 電動パワーステアリング、サスペンション、体をしっかり支えるシートなどの要素をバランス良くチューニングした結果です。その開発を担ったのが、日産のスポーツカー開発の第一線で活躍してきた永井暁氏です。

"再建の切り札"は見た目も走りも激変の軽スーパーハイトワゴン!? 日産4代目「ルークス」がフルチェンで大勝負!
日産の名車を手がけてきた永井暁氏(右)がルークスの開発に携わっている

日産の名車を手がけてきた永井暁氏(右)がルークスの開発に携わっている

――永井氏は具体的にどんなクルマを開発してきたの?

山本 スカイラインGT-R、フェアレディZ、シルビアなど、日産の高性能車を手がけてきた技術者です。

軽自動車には興味がなかったそうですが、「自分が欲しいと思える軽を造る」と発想を転換し、開発に没頭したそうです。

――とはいえ、スポーツカーと軽自動車ってまったく違うジャンルですよね?

山本 永井氏は、「タイヤが4つついている以上は同じクルマ。制約の中でベストを尽くす軽自動車にこそロマンがある」と語っていました。

――ズバリ、4代目ルークスは経営再建中の日産の反転攻勢の嚆矢になりますか?

山本 GT-RやフェアレディZで培った「走る・曲がる・止まる」の基本性能へのこだわりは、軽EV・サクラにも活用され、新型ルークスにも息づいています。今、日産は厳しい状況にありますが、復活には〝いい商品〟が必要です。新型ルークスはそのきっかけになるはずです。

――気になるのはお値段です。

山本 正式発表されていませんが、「価格も頑張りました。ご期待ください」とのことでした。今後に注目です。

撮影/山本佳吾

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