ウーバーイーツの公式XやYouTubeチャンネルには闇深いコメントであふれています
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第115回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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配達員だけならまだしも、注文者や店側に対しても、警察などに届出が必要な交通事故や事件に関すること以外のトラブルを電話で受け付けず、状況を細かく説明した文章を送信しても瞬時に定型文が返信されてくる、でおなじみのウーバーイーツのサポートセンター。
私も、ほぼ電話で対応しない現在のサポート体制になった当初は「何もサポートしてくれないサポートセンターだな」と感じていましたが、最近は「サービス業の場合、お金を払って利用する方へのサポートは手厚くするのが一般的なのに、注文される方にも塩対応なのはある意味平等」と思うほど、ウーバーイーツのトラブル対応への感覚がバグっています。
このようなシステムなので、何かトラブルが起こった際のウーバーの対応にはストレスが溜まります。しかも、サポートに苦情を送っても定型文しか戻ってきませんし、電話で受付もしないので、ウーバーの運営に対する不満を直接ぶつけるところはありません。
では、そんなモヤモヤをどこにぶつけているのか。今回はそれを垣間見られる場所を紹介します。
定番の溜まり場はウーバーイーツジャパンの公式X。ここにはキャンペーンの告知や配達エリア拡大のお知らせなどが投稿されているのですが、コメントが投稿に関係のない苦情であふれています。
「芸能人に広告の出演料を払う前に配達員に還元しろ」
今年投稿された配達員と思われる方からのコメント。35度を超える猛暑の中、3km以上自転車を漕いで500円ももらえない現状、YouTubeなどの媒体で広告を出しまくっている状況を考えると、言いたくなる気持ちもわかります。
「配達員の単価を低く設定しすぎているのか商品が届かないです」
2024年12月中旬に注文された方が書かれたと思われるコメント。この数週間後に「年末年始に配達員が足りなすぎてウーバーが届かない」ということがメディアで取り上げられましたが、年末年始の注文が増える時期の前から配達員不足は起きており、対策を取られていなかったことが感じられます。
「クーポンが使えない件で問い合わせていますが返信がありません。決済前の画面で使用可能なプロモーションがあると表示されるのに、その先でクーポンが選択できない状態です」
こちらも24年12月中旬に注文された方が書かれたと思われるコメント。
以前「配達員じゃなくても面白い『ウーバーイーツ公式YouTubeチャンネル』を100倍楽しく見る方法」でも紹介した、ウーバーイーツ公式YouTubeチャンネルのコメント欄もなかなかの荒れっぷりです。
「こんな中、320円で配達をさせる鬼畜企業」
25年7月末に配達員と思われる方が書いたコメント。「暑くて外に出るのがきつい季節はウーバーイーツでいいんじゃないの」みたいなCM動画についてコメントされていました。猛暑の中の配達はきついというレベルではないので、金額を上げていただきたいです。
「数回利用したが、トラブルが発生した時、その解決のために消費者がアクセスする手段がほぼ無い。誰も責任取らない。消費者は泣き寝入りを強いられる」
25年3月ごろに注文者と思われる方が書いたコメント。消費者(注文された方)同様、配達員も「この注文はお客さんが〇分前に注文された商品です」といったことが表示されないため、たまたま受けて最短距離で商品を受け取り、商品を届けても配達が遅いとBAD評価をつけられ、泣き寝入りを強いられます。
「注文した品のひとつが間違って届きました。Uber Eatsに電話して苦情を申し立てましたが、どうやら無視されているようです。その日はランチだったのですが受け取れず、ランチも食べませんでした」
25年2月に注文者と思われる方が書いたコメント。
配達員の荒ぶる感情が抽出されているのが、ウーバーイーツ配達員用アプリ「ウーバードライバー」のダウンロードページにあるコメント欄。GooglePlayのページで検索すると、511万件のユーザーレビューの平均評価が★2.7。すごいことになっています。
「車が脱輪して、配達出来なくなってしまったため、個別チャットより連絡させていただきましたが、返信がありませんでした。夜遅い時間帯だったためなのかは分かりませんが、注文者も配達員も取引のキャンセルが出来ませんでした。幸いにもレッカーが数分で到着し、問題が解決されたため事なきを得ましたが、深夜の時間帯にもサポートしていただけたら有り難いなと思いました」
「2件で1400円台のリクエストを受け、途中で600円台の追加がきたので受けた。計3件、2100円前後の見込み。しかし配達終わってみたら1865円。問い合わせするにもチャットのみ。3分の待ち時間は4分になり5分になり、しまいにはすぐ対応できずメッセージ対応となる。『6~12時間以内に返信できるよう最善を尽くす』と書かれていた。
『配送料は、原則として見積もり料金として提示された金額となります。また、ご利用のアプリと弊社システムとの間に多少の誤差が発生する場合がございますが、正しく計算がされておりますのでどうぞご安心くださいませ。※弊社システムとご利用いただいておりますアプリに誤差が生じた場合につきましては、弊社システムを優先致します事をご了承ください』
最終的に大幅な差額じゃないから調整対象じゃないとのこと。つまり、アプリはUberのシステムじゃないから知らんってこと。320円で配達させるのに大幅な差額じゃないらしい。今後、見積額は詐欺の疑いがあるので、1000円超はスクショ必須」
「本人確認書類提出の写真アップロードで原本を撮って写真を2度、3度再提出しましたが受理されず、サポートに問い合わせましたが、メッセージは受信するのにこちらからメッセージを送れません。システムの不具合かどうかわかりませんが。もし緊急時にサポートを利用する場合に連絡が取れないなんて問題外です。あと、本人の指名入力で姓と名を正しく書いたはずなのに、何故姓が2回書かれているとなっているのか意味が分かりません。すぐに利用したい方向けのものではありませんのでご注意ください」
それぞれのコメントが具体的で非常に長く、配達員の怒りのようなものが伝わってきます。
検索サイトで「ウーバー 苦情」と調べても、個人のSNSのコメントがポツン、ポツンと出てくるだけなので、さまざまな心の荒ぶりをまとめて見てみたい場合は、今回紹介したページを見るのがオススメです。
注文する前にあらかじめ知っておくことで、何かあった時に怒りの感情がスパークして暴力を、なんてことにならずに済みますので。
文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明