東京では昨年「9月に35.1℃」「10月に31.9℃」を記録。それを超える気温になる?
今夏は歴代最高気温が更新されるほどの暑さだった。
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■今年の夏は、早く始まり遅く終わる
危険な暑さが止まらない!
今年の夏は、7月、8月に昨年までの国内最高気温を5つの地点で更新した。また、東京都心では猛暑日(35℃以上)の年間日数が過去最多を記録。今年は、昨年よりも確実に暑い夏になっている。
さらに気象庁が「9月、10月は平年より気温が高くなる」と予想するように、この暑さは秋まで続くようなのだ。
三重大学気象・気候ダイナミクス研究室の立花義裕教授が解説する。
「昨年も日本近海の海面水温は観測史上最高を記録したのですが、今年はそれを超えています。関東から西は30℃以上。東北地方や北海道周辺も平年だと20℃を超えることはないのですが、今年は25℃を超えている海域もある。
普通、9月、10月になれば日照時間が短くなって、海面水温も低くなるはずですが、これだけ水温が上がってしまうと、そう簡単には下がりません。
水は土に比べて比熱が大きいので温度が下がりにくいんです。しかも、海面の空気には水蒸気が多く含まれています。水蒸気ガスは温室効果があるので熱を逃がしにくい。
このような高い水温の影響を受けた暖かい空気が海から吹いてくるわけですから、当然、いつもより長期間、暑くなります。9月も10月も気温の高い日が続くでしょう。
また、8月はチベット高気圧と太平洋高気圧が日本付近を覆っていました。9月になるとチベット高気圧は消えて、太平洋高気圧は日本上空から南下して気温が下がるというのが通常です。
しかし今年は、チベット高気圧は消えたとしても、太平洋高気圧がなかなか南下しない。理由は偏西風が日本の北に蛇行しているため、偏西風の影響を受けずに居座っていられること。そして、海面水温がなかなか低くならないため、南下がゆっくりになってしまうことです。
そのため10月くらいまでは暑い日が続くでしょう。10月になっても、場所によっては30℃を超える気温になることがあるかもしれません」
昨年は、9月18日に東京都心で35.1℃を記録した。また、10月2日には31.9℃になった。今年はそれを超える気温になるかもしれないということだろうか?
「その可能性は高いと思いますね。
そして、昨年よりも暑い期間が長くなるかもしれません。昨年、東京での初めての猛暑日は7月4日でしたが、今年は6月17日です。6月中旬から猛烈な暑さが続いているということは、逆に秋になっても暑さが収まらないということではないでしょうか。
日本の夏は普段よりも早く始まり、遅く終わる。季節の進行がこの秋は1ヵ月以上、遅くなると思います」
ということは、今年の暑さは10月頃まで続くのかもしれない。
■11月でも25℃を超える夏日になる!?
今年の秋は「9月が8月で、10月が9月です」と言うのは、『サン!シャイン』(月~金曜、8時14分~、フジテレビ系)で気象防災キャスターを務める気象予報士の天達武史氏だ。
「今年は9月も8月のような暑い日があり、特に関東から西は猛暑日になる日も出ると思います。
ただ、猛暑日もあるんですが、大雨にも注意していただきたい。というのも9月になると秋雨前線が下りてきます。すると、1週間のうちに太平洋高気圧の影響で猛暑の日もあれば、秋雨前線の影響で大雨の日もある。猛暑と大雨の二極化が心配です。
そして、台風が発生して日本に近づくと、台風が上陸しなくても豪雨になる可能性があります。というのは、台風が秋雨前線に大量の水蒸気を送り込んで、秋雨前線が刺激されるからです。そのため、大荒れの天候になります。10月になっても、前半はこの太平洋高気圧と秋雨前線のせめぎ合いが続きそうです。
平年は10月といえば秋本番ですが、今年はまだ夏の名残があります。30℃を超える真夏日になる日もあるかもしれません。
そして、普段は8月、9月が台風のトップシーズンなのですが、今年は10月まで台風シーズンが続くと思ったほうがいいかもしれません。太平洋高気圧の張り出しが強いことと、10月でも海面水温が高いために季節が1ヵ月以上ズレているイメージです。
11月になると前半と後半で気温は大きく変わると思います。前半は関東から西は25℃を超える夏日になってもおかしくありませんが、後半になるとシベリアから寒気が流れ込んで一気に15℃くらいになる。寒暖差がすごく大きいと思います。
そして、この頃からやっと暑さが和らいで、秋になるというイメージではないでしょうか」

2025年8月25日の日本近海の海面水温。
今年は11月頃まで猛烈な暑さが続くかもしれない。昨年より確実に暑くて長い夏。
ヤバい夏(秋?)になりそうだ。
取材・文/村上隆保 写真/時事通信社