日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。名作を生み続ける
スタジオA24が新たに送る、規格外のクィア・ロマンス・スリラー。
* * *『愛はステロイド』評点:★4.5点(5点満点)

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「暴力」をテーマにした一風変わったノワール

レズビアンのカップルを主人公にした、ダークでツイストの効いたノワール作品である。

舞台は1989年、ニューメキシコ州の田舎のジムで事務員をしていたルー(クリステン・スチュワート)は、風来坊の女性ボディビルダー、ジャッキーと出会ってたちまち恋に落ちる。

ジャッキーの夢はラスベガスで行われるボディビル大会に出場することで、ルーはステロイド薬を横流ししてジャッキーを支えることになる(ここが邦題の由来である)。

しかし、そこに町の裏社会を牛耳るルーの父親(エド・ハリス)と、ルーの姉にDVを繰り返す義理の兄が絡んできたことで、カップルの行く手に暗雲が立ち込め始める。

主役の片方がボディビルダーではあるが、本作はボディビルディングの世界を色眼鏡で見るわけではなく、それがキャラクターを成す一要素でしかないところには好感が持てる。

というのもボディビルダーも「ボディビルダー」である以前に一人の人間であるからだ。その上で銃と筋肉が対比され、DVから殺人に至るさまざまな暴力が対比される。端的に言って本作は「暴力」についての物語なのである。

筋肉がもりもりと盛り上がり、服がびりびり破れる『超人ハルク』的な見せ場があるのも嬉しい。

STORY:1989年、トレーニングジムで働くルーは野心家のボディビルダー、ジャッキーに夢中になる。しかしルーは家族にさまざまな問題を抱えていた。そんなルーをかばおうとするジャッキーは、思いもよらぬ犯罪網へと引きずり込まれていく


監督・脚本:ローズ・グラス
出演:クリステン・スチュワートほか
上映時間:104分

全国公開中

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