住みたい駅ランキング上位の駅で本当に便利なのは? ウーバーイ...の画像はこちら >>

ウーバーイーツで配達したことのあるエリアから、人気の駅周辺のプラス面、マイナス面を紹介します

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第116回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

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賃貸物件の紹介サイトを運営する企業や住宅メーカーなど、さまざまなところから定期的に発表される「住みたい駅ランキング」。

2025年版のランキングを見ると、上位に入る駅の中にはウーバーイーツ配達員として自転車で訪れた場所がたくさん入っていました。

その多くの駅は「確かに住みやすくて交通も便利」と感じたのですが、中には「交通は便利だけど......」と感じるところも。

そこで、住みたい駅ランキングの上位に入る駅の中から、私が配達したことのあるエリアをピックアップ。ウーバーイーツ自転車配達員視点で人気の駅周辺のプラス面、マイナス面を書いていこうと思います。

オススメできるのは「恵比寿」「渋谷」。

恵比寿はJR山手線、湘南新宿ライン、埼京線と東京メトロ日比谷線の通る駅。渋谷の隣の駅で、湘南新宿ラインなら新宿まで2駅、日比谷線で六本木まで2駅という便利な場所。

飲食店も多く、駅の北側にも南側にもマンションが多いエリアです。街の北側と南側の間に大きな坂がありますが、北側には古くからの飲食店街やスーパーマーケットが、南側にも恵比寿ガーデンプレイスを中心としたエリアに店がそろっているので、住むにはいい場所だと思います。

このエリアで自転車配達をすると、坂道を何度も往復するので大変ですが、坂はJRの駅の北口と南口の間にあるのでJRを使うなら坂道を上ったり下りたりすることはありません。南側のスーパーは高級食材が多く、少々お高いですが、恵比寿に住む財力のある方にとっては痛い出費とはならないと思います。

渋谷は繁華街の1本裏の通りなど、駅から意外と近い場所にマンションがあります。坂の多い街ですが、渋谷駅からそんなに坂を上らない場所にもマンションはあるので、家賃相場は高いでしょうが住むにはいいと思います。

住む際に店などの環境を確認した方がいいのが「東京」「新宿」「池袋」。

東京は新幹線が通る東京の玄関口。駅の西側、丸の内口はオフィスビルしかありませんが、東側、八重洲口を出て10分ほど歩くとマンション、雑居ビル、ビジネスホテルが立ち並ぶエリア。

東京駅まで歩いて行けるので出張の多い方、旅行によく出かける方には便利です。駅周辺に坂道がなく、23時まで営業するスーパーマーケットもあるので住みやすい街といえます。ただ、23時を過ぎると営業を終了する飲食店が一気に増えます。また、深夜や土休日に営業しないコンビニがあります。そのあたりが住む際の検討ポイントとなるかと思います。

新宿は住宅が集まるエリアが微妙な位置にあります。駅南側の住宅エリアは駅からは近いのですが、繁華街の歌舞伎町へは歩いて15分以上かかります。東側の住宅地は伊勢丹などがある新宿三丁目エリアへは近いのですが、駅までは歩いて15分以上。北側のエリアも歌舞伎町は近いのですが駅までは15分以上かかりますし、西側も駅までの時間は同様です。

駅や繁華街と住宅地が離れているので、配達員にとっては注文依頼の多いありがたいエリアなのですが、住もうと考えている場合は新宿の繁華街で働くのか、新宿から電車で通勤するのか、状況をしっかり整理して検討した方がいいかと思います。

池袋は東口、西口とも駅から10分も歩かない場所にマンションがあります。東口エリアはアニメ関連のショップが並ぶエリアの近くにマンションが多いので、好きな方にとってはいい場所かと思います。西口エリアは場所によってはラブホテル街の近くとなります。同じ池袋でも東西で街の特徴が大きく変わるので、住む際には現地まで足を運んで内見した方がいいと思います。

ランキング上位に入っていることに「?」と感じるのは「勝どき」「品川」「目黒」。

勝どきはタワーマンションが立ち並ぶ、都内でも屈指の人口増加エリアですが、飲食店の数や交通インフラがマンションの増加数に追いついていない状況です。

周辺を自転車で配達していると、朝は駅へ続く歩道が大混雑。駅周辺に飲食店が少な過ぎるため、夜になると銀座や新橋方面から勝どき方面への配達依頼がものすごく増えます。

最近になってスーパーマーケットが3店舗ほどオープンして生活環境は少々改善しましたが、駅から歩いて15分から20分ほどかかる場所にもタワーマンションが建てられていて、さらなる駅の混雑、飲食店やスーパーマーケットの混雑が予想され、生活環境としては厳しくなるかと思います。ウーバーイーツの利用は増えそうなので、配達員にとってはより一層稼ぐことができる場所となりそうですが。

品川はマンションの多く立ち並ぶエリアが港南口に集中しています。

繁華街は反対の高輪口ですが、港南口と高輪口を結ぶ駅の通路が200m以上あるのが難点。さらに山手線などの在来線の改札口が高輪口の近くにあり、港南口から徒歩10 分のマンションでも、山手線の改札口までは15分ほどかかります。この駅の入口から改札までの「プラス5分」の距離に慣れてしまえばいいのですが、慣れなかったら少々きついかと思います。

目黒は駅のすぐ西側に権之助坂、行人坂があり、その坂を下りきった場所に住宅地が並びます。この坂の高低差は23m、マンション6階分の高さのある坂を毎日往復することや、西側に面しているので夕方には日光がモロに当たることを考えると、車での通勤ならまだしも、目黒駅から通勤することを前提として住むのは大変だなと感じます。

そんな環境なので、目黒駅周辺の店から坂の下の住宅地へ商品を配達することは多いのですが。自転車配達なので電動アシスト自転車を使っていますがこのエリアの配達は大変です。

あくまで配達員としての視点なので、「?」と思うエリアにも住んでみないと分からない街の魅力があると思います。住宅選びの際は、いろんな情報や内見などで得た情報を参考に、しっかりと選んでください。

文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明

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